伝える(読み)ツタエル

デジタル大辞泉 「伝える」の意味・読み・例文・類語

つた・える〔つたへる〕【伝える】

[動ア下一][文]つた・ふ[ハ下二]
言葉などで知らせる。伝達する。「電話で用件を―・える」「大統領選の速報を外電が―・える」「皆さんにもよろしく―・えて下さい」
あるものを受け継いで残す。また、あるものを受け継いで次の代に授け渡す。伝授する。「当時の農民の生活を今に―・える祭事」「家宝を―・える」「名を後世に―・える」「秘伝弟子に―・える」
よその土地から文物などを持ってくる。もたらす。「インドから経典を―・える」「キリスト教を日本に―・えた人物
熱・音などが、一方から他方へ移るように仲だちをする。「銅は熱をよく―・える」
[類語](1知らせる報ずる告げる言い送る申し送る達する伝達する通知する連絡する通告する通達する下達する令達する口達する通ずるコミュニケートする取り次ぐ伝言する宣する知らす触れる話す語るしゃべるしゃべくる物言う口を利く言う述べる物語る打ち明ける明かす説明する述懐する告白する口外こうがいする他言たごんする言い出す言い掛ける言い始める言い話し込む話しかける発言する口に出す口にする口に上る口の端に掛かる口を開く口を切る吐く漏らす口走る抜かすほざくうそぶくおっしゃる仰せられるのたま申し上げる申し述べる申す言上ごんじょうする/(2)(3伝授する口授くじゅする口承こうしょうする伝承するのこ口伝え語り継ぐ語り伝える言い伝える言い継ぐ

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精選版 日本国語大辞典 「伝える」の意味・読み・例文・類語

つた・えるつたへる【伝】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]つた・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 ものや事柄を一方から受けてそのまま他方へ移しやる。一方から他方へ取りつぐ。なかだちとなって移行させる。
    1. 受ける方に重点をおいて用いる場合。
      1. (イ) 物を受けつぐ。ひきつぐ。
        1. [初出の実例]「後賢燈を既夕に伝(ツタヘヨ)」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)一)
      2. (ロ) 人づてに聞く。うわさに聞く。
        1. [初出の実例]「また同じことをもものしたらば、つたへても聞くらむに」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
      3. (ハ) 学問技芸を授けてもらう。教わる。伝授を受ける。
        1. [初出の実例]「この御琴の音(ね)ばかりだにつたへたる人をさをさあらじとのたまへば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
    2. 渡しやる方に重点をおいて用いる場合。
      1. (イ) 手渡す。ゆずりわたす。
        1. [初出の実例]「壺の薬そへて頭中将呼びよせて奉らす。中将に天人取てつたふ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
      2. (ロ) 後代まで順送りに言い知らせる。語りつぐ。言い残す。申し送る。
        1. [初出の実例]「号(なづ)けて日本国現報善悪霊異記と曰(い)ひ、上中下の参巻を作して季(すゑ)の葉(よ)に流(ツタフ)。〈興福寺本訓釈 流 都太不〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
      3. (ハ) 広く言い知らせる。次から次へと言いひろめる。言いふらす。吹聴する。
        1. [初出の実例]「もろこしにももて渡りつたへまほしげなるよの文(ふみ)どもなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
      4. (ニ) 学問や技芸を授ける。教える。伝授する。
        1. [初出の実例]「琴におきては娘につたふ。娘、仲忠につたふ。それだにありがたし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上下)
      5. (ホ) 意向や情報などを知らせる。
        1. [初出の実例]「御父さんから云はれた通りを其儘御前に伝(ツタ)へて帰る丈の事だ」(出典:それから(1909)〈夏目漱石〉一七)
    3. 移行のなかだちとなることに重点をおいて用いる場合。
      1. (イ) ことばを取りつぐ。伝言する。なかだちをする。
        1. [初出の実例]「弁のおもとといふにつたへさすれば、消え入りつつ、えも言ひやらねば」(出典:枕草子(10C終)九〇)
      2. (ロ) はこぶ。運搬する。もってくる。
        1. [初出の実例]「鴈 カリガ 状ヲ ツタヱテ ウレシフゴザル」(出典:交隣須知(18C中か)二)
      3. (ハ) 移動させる。伝播(でんぱ)させる。「振動を伝える」「熱を伝える」
        1. [初出の実例]「単に外部の事件が鉢合せをして、其鉢合せが波動を乙な所に伝へるからではない」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一〇)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ハ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]つた・ふ 〘 自動詞 ハ行下二段活用 〙 渡る。来る。
    1. [初出の実例]「又、右衛門佐、中納言殿につたへ給へりけり、つひに大姫君の御方につたへ給へりけり」(出典:多武峰少将物語(10C中))

伝えるの補助注記

室町時代頃からヤ行にも活用した。→つたゆ(伝)

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