出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
角度および時の単位。1度また1時の3600分の1を秒とする。元来は平均太陽日の8万6400分の1が1秒で、不変のものとして物理学の基本量の一つとしてCGS単位に採用されたが、地球自転に不整があることが判明し、地球の自転から定義した1秒は基本単位としての価値を失い、新しく地球の公転に基づく公転時によって定義されることになった。1950年天文基礎常数の会議がパリで開かれ、その席上、暦表時の概念が定義され、1952年国際天文学連合第8回総会で暦表時が採択されたが、時間の基本単位は恒星年によるとした。1955年第9回総会で太陽年を採用することになり、翌年パリで開催の国際度量衡委員会第10回総会でもこれを採用し、決議第5号で時間の基本単位秒を「秒は1900年1月0日正午に対応する太陽年の3155万6925.9747分の1とする」と定められた。日本においても1958年(昭和33)計量法を改正して、「秒は明治32年12月31日午後9時における地球の公転の平均速度に基づいて算定した1太陽年の3155万6925.9747分の1として東京天文台が現示する」と定めた。その後、原子時のセシウム原子133Csの固有振動数が暦表時との長期比較から決定され、固有振動数91億9263万1770ヘルツの時間間隔として1秒が定義されている。
[渡辺敏夫]
(1)時間の単位で,記号はs。国際単位系(SI)において,七つの基本単位のうちの一つである。秒は,もとは平均太陽日の1/86400として定義がなされていた。しかし,地球の自転が速くなったり遅くなったりすることがわかってきて,時間の単位の定義をさらに明確にするために,1960年に国際天文学連合によって出された太陽年に基づく定義にした。同じころ,原子や分子の二つのエネルギー準位間の遷移を用いて定義するほうがはるかによい精度で時間が正確に示されることがわかり,67年からは次のような定義がなされている。秒は,セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の9 192631 770周期の継続時間である。この定義のように秒を実現するため,世界のいくつかの研究所ではセシウムの時間標準器を研究し,製作している。また製品も市販されている。精度は,もっともよい装置の場合,相対値で10⁻13~10⁻14の不確かさに対応している。セシウム装置に比べると少し劣るが,安定性のよいルビジウム装置,水素メーザー,水晶時計などの時計があり,セシウムの時間標準器によって校正されている。一方,時刻は地球の動きにあわせた時刻目盛が協定世界時によって与えられており,これは標準電波方式によって報時信号が出されている。この時刻と秒の積算時間とには違いが出てくるので,年に1,2回必要に応じて閏(うるう)秒を用いて1秒だけ修正をしている。
(2)角度の単位。記号は〈″〉。1″=(1/60)′=(π/648000)radである。国際単位系(SI)以外の単位であるが,SIと併用される単位となっている。
執筆者:大井 みさほ
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(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
【Ⅰ】時間の単位.記号 s.国際単位系(SI単位)の基本単位の一つ.133Cs 原子の基底状態の二つの超微細構造の間の遷移に相当する電磁波の周期の9192631770倍と定義されている.【Ⅱ】角度の単位.1度の1/3600.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…セシウム原子がその二つのエネルギーレベル(3.0)と(4.0)の間を遷移するとき,そのレベル差に固有な周波数のエネルギーを放射または吸収する。現在の時間単位の〈秒〉はこの固有周波数で9 192 631 770回振動するのに要する時間として定義されている。セシウム原子時計はこの定義の〈秒〉を刻むように構成された時計である。…
…また,メーザー型は,スペクトル線を定める二つのエネルギー準位のうち上準位の原子や分子のみをマイクロ波空胴共振器中に集め,メーザー発振を生じさせることにより直接スペクトル線をとり出す方式で,アンモニアメーザー,水素メーザーなどによる例がある。
[原子時計の発達と秒の定義]
世界最初の原子時計は,1949年にアメリカ国立標準局(NBS)で試作されたアンモニア分子の吸収線を利用したものであった。同じころ,同局においてはセシウム原子による実験に成功し,次いでイギリス国立物理学研究所(NPL)のエッセンL.Essenが同じ原理の原子時計を製作し,55年より約3年間,その当時,時間の標準に採択された暦表時との比較を行った。…
※「秒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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