移ろう(読み)ウツロウ

デジタル大辞泉 「移ろう」の意味・読み・例文・類語

うつろ・う〔うつろふ〕【移ろう】

[動ワ五(ハ四)]《動詞「うつ(移)る」の未然形反復継続の助動詞「ふ」の付いた「うつらふ」の音変化》
位置住居を変える。移動する。「木の間を―・う月の光」
心変わりする。変心する。「―・いやすいは人の心」
移り変わっていく。物事がしだいに衰えてゆく。「時とともに―・いゆく町並み」
色が変わってゆく。
㋐色があせる。
「秋も暮れて、…菊の花の色香が―・う季節になった」〈谷崎・少将滋幹の母〉
㋑色づく。染まる。
「神な月時雨もいまだ降らなくにかねて―・ふ神なびの森」〈古今・秋下〉
花が散る。
「垂れこめて春の行くへも知らぬ間に待ちし桜も―・ひにけり」〈古今・春下〉
[類語]変わる化する変ずる動く移る変える転ずる化ける改まる変化する転化する変質する一変する一転する様変わりする豹変ひょうへんする急変する激変する変転する変動する変移する移行する推移する変遷する転変する流転する

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精選版 日本国語大辞典 「移ろう」の意味・読み・例文・類語

うつろ・ううつろふ【移】

  1. 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 ( 「移る」の未然形に反復・継続を表わす助動詞「ふ」の付いた「うつらふ」が変化したもの )
  2. [ 一 ] 位置がだんだんに変わっていく。
    1. 居場所が変わっていく。移動し続ける。また、移住する。
      1. [初出の実例]「木の間より移歴(うつろふ)月のかげを惜しみ徘徊(たちもとほ)るにさ夜ふけにけり」(出典万葉集(8C後)一一・二八二一)
      2. 「中陰のほど山里などにうつろひて」(出典:徒然草(1331頃)三〇)
    2. 心が他の方に移っていく。心変わりする。
      1. [初出の実例]「百(もも)に千(ち)に人は言ふとも月草の移(うつろふ)こころわれ持ためやも」(出典:万葉集(8C後)一二・三〇五九)
  3. [ 二 ] 状態がだんだんに変わっていく。
    1. 移り変わっていく。栄えていたものが衰えていく。
      1. [初出の実例]「世の中を常なきものと今そ知るならの都の移徙(うつろふ)見れば」(出典:万葉集(8C後)六・一〇四五)
      2. 「およそ容貌(かほかたち)の花の色は、老行くままに衰凋(ウツロ)へども」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉七)
    2. 色が変わっていく。
      1. (イ) 色が薄くなる。褪(あ)せる。また、変色する。
        1. [初出の実例]「紅は宇都呂布(ウツロフ)ものそつるばみのなれにし衣(きぬ)になほしかめやも」(出典:万葉集(8C後)一八・四一〇九)
        2. 「世におもしろき菊の根をたづねつつ掘りて参る。色々うつろひたるも、黄なるが見どころあるも、さまざまに」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一〇月十余日)
      2. (ロ) 驚きなどで顔色が変わる。
        1. [初出の実例]「御かほの色もうつろひて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
      3. (ハ) 色づく。染まる。特に、紅葉する。
        1. [初出の実例]「神無月時雨(しぐれ)もいまだ降らなくにかねてうつろふ神なびの森〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋下・二五三)
    3. 花が散る。
      1. [初出の実例]「春花の宇都路布(ウツロフ)までに相見ねば月日よみつつ妹待つらむそ」(出典:万葉集(8C後)一七・三九八二)
    4. なくなる。消える。
      1. [初出の実例]「橘のにほへる香かもほととぎす鳴く夜の雨に宇都路比(ウツロヒ)ぬらむ」(出典:万葉集(8C後)一七・三九一六)

ゆつろ・うゆつろふ【移】

  1. 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙うつろう(移)

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