(読み)コク

デジタル大辞泉 「穀」の意味・読み・例文・類語

こく【穀】[漢字項目]

[音]コク(呉)(漢)
学習漢字]6年
米・麦・あわなど、常食とする作物。「穀物穀類五穀雑穀新穀脱穀百穀米穀
[名のり]よし・より
難読穀潰ごくつぶ

たな‐つ‐もの【穀】

《田からとれる物の意》
稲の種子。また、稲。
「稲を以て―と為す」〈神代紀・上〉
穀物。
五つの―を送り給ふ」〈天智紀〉

こく【穀】

人がその種子などを食用にする農作物。米・麦・豆など。

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精選版 日本国語大辞典 「穀」の意味・読み・例文・類語

たな‐つ‐もの【穀】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「つ」は「の」の意の古い格助詞 )
  2. 稲の種子。稲。
    1. [初出の実例]「粟稗麦豆(まめ)を以ては陸田種子(はたけつもの)とす。稲を以ては水田種子(タナツモノ)とす」(出典日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
  3. 五穀の総称。穀物。
    1. [初出の実例]「是歳、五の穀(タナツモノ)、登(みな)れり」(出典:日本書紀(720)推古二五年是歳(岩崎本訓))

こく【穀】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ごく」とも ) 田畑でつくられ、人が常食にするもの。また、麦、粟、キビヒエ、豆などのこと。特に米をいう場合もある。こくもつ。たなつもの。
    1. [初出の実例]「以災異頻見年穀不一レ登」(出典:続日本紀‐大宝三年(703)七月甲午)
    2. 「箕は穀の塵を去る器なり」(出典:小学読本(1873)〈榊原芳野〉一)
    3. [その他の文献]〔礼記‐曲礼下〕

ごく【穀】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 米麦などの穀物。穀類。また特に、質の悪い穀物。
    1. [初出の実例]「されば、くひ物をまいらせんも、ごくのたぐひ」(出典:御伽草子・戒言(神道物語集所収)(室町末))
  3. ごくつぶし(穀潰)」の略。
    1. [初出の実例]「飯喰時・ゴクが内証ぶち明る」(出典:雑俳・狂俳浦浪集(1854‐60))

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普及版 字通 「穀」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

(旧字)
人名用漢字 15画

[字音] コク
[字訓] こくもつ・やしなう

[説文解字]
[その他]

[字形] 形声
旧字はに作り、声符は(かく)。〔説文〕七上に「續(つ)ぐなり。百名なり」とあり、・續(続)の畳韻を以て字義を解する。粟字条七上に「孔子曰く、粟(ぞく)の言爲(た)る、續なり」とあるのと同じく、当時の音義説である。は草木の実の殻で、殳(しゆ)に従うのは脱穀の象。とは穀実、実の充実しているものを穆(ぼく)という。〔詩、小雅、甫田〕「以て我が士女を(やしな)ふ」、また〔詩、王風、大車〕「(い)きては則ち室を異にするも 死しては則ちを同じうせん」のように、生息の意に用いる。

[訓義]
1. こくもつ、百穀すべてをいう、食物。
2. やしなう、いきる。
3. よい、よくする、さいわい。
4. 禄、ふち。
5. 臧穀(ぞうこく)、年少の召使
6. 告と通じ、つげる。
7. 国語ではもみ、精白しない穀粒。

[古辞書の訓]
和名抄 日本紀私記に云ふ、伊豆々乃太奈毛乃(いつつのたなつもの) 〔名義抄〕 ヤシナフ・イク・オツ・イケルトキ・モミ/五 イツツノタナツモノ 〔字鏡集〕 オフ・イケルトキ・ヨシ・モミ・イネ・ヤシナフ・ナマシ・タナモミ

[熟語]
穀育・穀雨・穀価・穀稼・穀蛾・穀害・穀気・穀玉・穀狗・穀圭・穀犬・穀・穀公・穀穀・穀策・穀士・穀実・穀日・穀種・穀熟・穀食・穀神・穀人・穀成・穀積・穀籍・穀・穀善・穀租・穀粟・穀賊・穀旦・穀地・穀糶・穀糴・穀田・穀土・穀道・穀把・穀帛・穀伯・穀板・穀風・穀幣・穀米・穀璧・穀飽・穀物・穀廩・穀禄
[下接語]
禾穀・嘉穀・祈穀・九穀・旧穀・五穀・歳穀・雑穀・市穀・種穀・熟穀・出穀・舂穀・食穀・新穀・成穀・積穀・銭穀・倉穀・蔵穀・脱穀・貯穀・穀・田穀・登穀・稲穀・年穀・糜穀・百穀・不穀・布穀・糧穀・廩穀・斂穀

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「穀」の解説

穀 (コウゾ)

学名Broussonetia kazinoki
植物クワ科の落葉低木

穀 (カジ)

植物。クワ科の落葉小高木・高木,薬用植物カジノキ別称

穀 (タナツモノ)

植物。イネ科一年草,薬用植物。イネの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【米】より

…また収穫以後の炊飯に至るまでの諸操作においては,米の味を損なわないようにすることが必要である。例えばもみの火力乾燥では急速な乾燥を避け,穀温を40℃以上に上げないようにする。玄米の貯蔵では夏季でも低温貯蔵を行う。…

※「穀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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