(読み)のぞむ

精選版 日本国語大辞典 「臨」の意味・読み・例文・類語

のぞ・む【臨】

〘自マ五(四)〙
① 高い所から低い所に向かい対する。
※車屋本謡曲・石橋(1465頃)「遙に、のぞみて谷を見れば、足すさましく肝きえ」
君主、治者として、人民、被治者に対する。君臨する。また、予想できる事態に対応した態度で人に対する。
書紀(720)神武即位前(北野本訓)「且、当に山林を披払(ひらきはら)宮室(をほみや)を経営(をさめつく)りて恭(つつし)むて宝位(たかみくらゐ)に臨(ノソム)て、元元(おほむたから)を鎮(しつ)むべし」
平家(13C前)四「母后いだいて朝(てう)にのぞむと見えたり」
身分の高い人が、身分の低い人の所に行く。身分の高い人が、ある席に出る。
※書紀(720)神代上(兼方本訓)「請ふ、姉(なねのみこと)、天国(あまつくに)に照(てら)し臨(ノソミ)たまふこと、自(をの)づからに、可平安(さきくま)しませ」
④ その場所に行く。出席する。
徒然草(1331頃)一六七「一道に携はる人、あらぬ道のむしろにのぞみて」
※太平記(14C後)二七「只今より其座に臨(ノゾミ)候共」
⑤ ある場合にぶつかる。際する。出あう。また、ある状態になる。
※観智院本三宝絵(984)上「形も毎日劣り疲て命ち既にあやふきに望みにたり」
※徒然草(1331頃)一三七「その死にのぞめる事、軍の陣に進めるに同じ」
⑥ 目の前にする。風景や物を前面にする。向かいあう。
和泉式部集(11C中)上「海にのぞみたる松に、つたの紅葉のかかりたるを」

りん【臨】

〘名〙
① のぞむこと。身分の高い者が身分の卑しい者の所に行くこと。また、高い所から低い所を見おろすこと。〔礼記‐曲礼下〕
② 易の六十四卦の一つ。、上卦は坤(地)、下卦は兌(沢)。地沢臨ともいう。坤は順、兌は悦を表わし、和順をもって人に接するさま。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「臨」の意味・読み・例文・類語

りん【臨】[漢字項目]

[音]リン(呉)(漢) [訓]のぞむ
学習漢字]6年
高い所から見おろす。「君臨照臨
その場、その時に直面する。「臨海臨界臨機臨月臨検臨港臨時臨終臨床臨戦臨場感
高位の人の来訪を敬っていう語。「臨御りんぎょ臨幸光臨降臨親臨台臨来臨
手本原本をそばに置いて見る。「臨画臨写臨書臨摸
「臨時」の略。「臨休
[名のり]み

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android