(読み)ジャク

デジタル大辞泉 「若」の意味・読み・例文・類語

じゃく【若】[漢字項目]

[音]ジャク(漢) ニャク(呉) ニャ(呉) [訓]わかい もしくは もし ごとし
学習漢字]6年
〈ジャク〉
わかい。「若年若輩
…のようだ。ごとし。「傍若無人ぼうじゃくぶじん
形容の語を作る助字。「自若瞠若どうじゃく
いくらか。「若干
若狭わかさ国。「若州
〈ニャク〉わかい。「老若男女ろうにゃくなんにょ
〈ニャ〉梵語の音訳字。「般若はんにゃ
〈わか〉「若手若者年若
[名のり]なお・まさ・よし・より・わか・わく
[難読]杜若かきつばた若干そこばく若布わかめ若人わこうど

わか【若】

形容詞「若い」の語幹から》
少年。
「―に似合ひたる職なり」〈申楽談儀
若君。若子。主に身分の高い家の幼い男児をいう。
「今ははや二人の―をぞまうけける」〈浄・出世景清
(他の語の上に付いて)
㋐若いの意を表す語。「夫婦」「しらが」「竹」「武者」
㋑新しいほうの世代の意を表す語。「奥様」「旦那」「女将おかみ
(他の語のあとに付いて)幼少の男子の名を表す語。「牛

にゃく【若/弱】[漢字項目]

〈若〉⇒じゃく
〈弱〉⇒じゃく

にゃ【若】[漢字項目]

じゃく

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精選版 日本国語大辞典 「若」の意味・読み・例文・類語

もし【若】

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙
    1. ( 仮定表現を伴って ) 現実には存在しない事態を、仮に存在したらと想定する気持を表わす。仮に。万一。もしも。もしか。
      1. [初出の実例]「君が行(ゆき)(もし)久にあらば梅柳誰とともにかわが蘰(かづら)かむ」(出典:万葉集(8C後)一九・四二三八)
      2. 「よもさやうにはあるまじけれども、もしまことならば、父の耳に入らぬさきに、鉢かづきをいだすべし」(出典:御伽草子・鉢かづき(室町末))
    2. ( 疑問や推量の表現で ) 確実ではないけれども、十分にあり得る事態を想定する気持を表わす。ひょっとしたら。あるいは。もしかして。もしや。もしか。もしも。
      1. [初出の実例]「此の魚は頭数為(若)し幾何か有る」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九)
      2. 「なんぢもし小督が行へや知りたる」(出典:平家物語(13C前)六)
  2. [ 2 ] 〘 接続詞 〙 同類の事態を列挙して、いずれも選択し得ることを示す。あるいは。
    1. [初出の実例]「持戒をば若(もシ)口に語し、若(もシ)心に生し、若(もシ)戒を受けて〈略〉四種の口の邪行を作らじといふに名づく」(出典:百論天安二年点(858))

わか【若】

  1. [ 1 ] ( 形容詞「わかい」の語幹 ) 若々しいこと。幼いこと。多く感動表現に用いる。
    1. [初出の実例]「あなわかと思はむこと恥づかしけれど」(出典:秋成本落窪(10C後)一)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. 若君、若子の意。主として、身分の高い家の男の幼児をさしていう。
      1. [初出の実例]「三歳のわかをうしなはれ、あまつさへ女房さへとりかへされて」(出典:曾我物語(南北朝頃)三)
    2. 少年。
      1. [初出の実例]「翁面(おきなめん)の箱持つこと、賞翫(しゃうくゎん)の職也、大かた見様のよきを選ぶべし、若に似あひたる職也」(出典:申楽談儀(1430)勧進の舞台、翁の事)
  3. [ 3 ] 〘 造語要素 〙
    1. 名詞や動詞と熟合して、若い、幼いの意を加えて、複合名詞複合動詞などをつくる。「若者」「若芽」「若武者」「年若」「若返る」など。
    2. 一家の中のある地位が二代にわたる時、世代の新しい方を表わす語。「若旦那」「若奥様」など。
    3. 名詞に付けて、幼少の男子の名を表わすのに用いる。

にゃく【若】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 年のわかいこと。弱々しいこと。また、そのさま。若年。
    1. [初出の実例]「君も若に御座る。我等も若者なれは、小山殿にいやしまれ」(出典:幸若・信太(室町末‐近世初))
  3. ( 形動 ) 柔弱なこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「繻子の半ゑりよき物なれど、着手によりてにゃくに見え」(出典:評判記・色道大鏡(1678)二)
  4. にゃくおうじ(若王子)」の略。
    1. [初出の実例]「大峯通るには、仏法修行する僧居たり、唯一人、若や子守は頭を摩でたまひ」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)
  5. 男色、または、男色の相手をいう、僧侶の隠語。
    1. [初出の実例]「若の道はみなもととをふして其根ふかし」(出典:評判記・剥野老(1662)序)

じゃく【若】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 形動 ) 年齢が少ないこと。わかいこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「小平太が下人佐五七は、いまだ若(ジャク)なり、まるごしなり」(出典:浮世草子・武道継穂の梅(1688‐1704頃か)第一〇)
  2. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙 落ち着いて動かないさま。ものに動じないさま。自若。
    1. [初出の実例]「一旦思ひ詰めたる諫言を御許容なきその内は、たとひ御咎め蒙るとも若(ジャク)として此の場を去らぬ」(出典:歌舞伎・狭間軍記鳴海録(桶狭間合戦)(1870)序幕)

わかくえわかくへ【若】

  1. 〘 名詞 〙 若い時。若いころ。
    1. [初出の実例]「引田(ひけた)若栗栖原(わかくるすばら) 和加久閇(ワカクヘ)率寝(ゐね)てましもの 老いにけるかも」(出典:古事記(712)下・歌謡)

若の補助注記

「若きうへ」の変化したものとの説がある。また、「え(へ)」については、「経(ふ)」の連用形名詞化したものとも、「いにしへ」「とこしへ」の「へ」と同源ともいう。


わかかえわかかへ【若】

  1. 〘 名詞 〙 「わかくえ(若)」の変化した語か。
    1. [初出の実例]「所射鹿(いゆしし)をつなぐ川辺和草(にこぐさ)の身の若可倍(わかカヘ)にさ寝し児らはも」(出典:万葉集(8C後)一六・三八七四)

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普及版 字通 「若」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(旧字)
9画

[字音] ジャク
[字訓] したがう・わかい・なんじ・もし

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
巫女が両手をあげて舞い、神託を受けようとしてエクスタシーの状態にあることを示す。艸はふりかざしている両手の形。口は(さい)、祝を収める器。〔説文〕一下に「を擇(えら)ぶなり。艸右に從ふ。右は手なり」という。〔詩、周南、関雎〕「參差(しんし)たる(かうさい)は 左右に之れをる」などの詩句によって解したものであろうが、卜文の字形は巫女の舞い、忘我の状態にある形で、神託を求める意。神が祈りをうけ入れることを(諾)といい、卜文・金文には、の意に用いる。卜辞に「王、邑を作るに、(よし)とせんか」「さんか、不(ふじやく)をさんか」のようにいい、不若とは邪神、邪悪なるものをいう。〔左伝、宣三年〕「民、川澤山林に入るも、不はず。魑魅(ちみ)罔兩(まうりやう)(怪物)も能く之れに(な)し」とみえる。金文に「上下の否」というのは、上下帝の諾否(だくひ)の意である。神意に従うことより若順の意となり、神意のままに伝達することから「若(かく)のごとし」の意となる。王が神意によって命を発することを、金文では「王、(かく)のごとく曰く」といい、〔書〕〔詩〕にもその形式の語が残されている。「若(わか)し」は神託を受ける女巫が若い女であることから、「若(ごと)し」はそのエクスタシーの状態になって神人一如の境にあることからの引伸義であろう。「若(なんじ)」「若(も)し」などは仮借。如もと同じく女巫が神託を求める象で、両字通用の例が多い。

[訓義]
1. したがう、神意を求めしたがう。
2. よい、神意がよしとする。の初文。
3. かくのごとく、しかく、神意のままに、そのまま。
4. わかい、若い巫女。弱と通用する。
5. この、強く特定する指示語。
6. 女・如・而・爾などと通じ、なんじ、すなわち、しかり、しかして、あるいは、もしなどの意に通用する。これらの義は本来その字がなく、みな仮借による用法である。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕 加太波美(かたばみ)〔名義抄〕 ニタリ・ヨシ・タスク・ナムチ・モシ・シク・ゴトク・ゴトシ・ワカシ・カクノゴトク・カクノゴトシ・タトヒ・シタガフ・イタル・モシクハ・ニタル/爲 イカスルカ/此 カクノゴトク・カクノゴトケム/箇 イカバカリ

[声系]
〔説文〕に声として(匿)など五字を収める。より分岐した字。は秘匿のところにおいて神託を求める呪儀を行う意である。

[語系]
njiak、如njiaは声近く、字の立意もまた近い。なんじ、もし、ごとしなどに通用し、また「若何(いかん)」を「如何」のようにしるす。

[熟語]
若何・若為・若英・若華・若干・若許・若箇・若公・若使・若時・若・若爾・若淑・若曹・若輩・若否・若木
[下接語]
何若・海若・赫若・煥若・若・欽若・奚若・儼若・兀若・嗟若・自若・若・杜若・瞠若・沛若・般若・不若・紛若・忙若・穆若・沃若・蘭若・老若

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【若衆】より

…若い衆,若者,若,若連,若勢,二才(にせ)ともよばれ,15歳前後から妻帯時までの男性を指す用語。若衆組に参加すると,若者宿に入って序列を相互に確認し合い,一定期間集団生活を体験し,地域共同体の生活に必要な事柄を習得する。…

※「若」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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