行宮(読み)アングウ

世界大百科事典 第2版の解説

あんぐう【行宮】

頓宮とも書き,〈かりみや〉ともいった。天皇の諸国巡幸のとき,駐輦・宿泊のために設けられる施設・建物。平城宮・平安宮などの宮が,天皇常住のためのものであるのに対し,かりに造った宮の意。奈良時代には,巡幸に先だつ1ヵ月ほど前に,あらかじめ行程をはかって造営されるのがふつうであった。似た語句に〈行在所(あんざいしよ)〉がある。養老令の儀制令に,行幸中の天皇のことを〈車駕(きよが)〉といい,車駕の所に赴くことを,行在所にもうでるといえ,と規定している。

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大辞林 第三版の解説

あんぐう【行宮】

〔「あん」は唐音〕
天皇が外出したときの仮の御所。かりみや。行在所あんざいしよ。こうきゅう。

こうきゅう【行宮】

あんぐう(行宮)」に同じ。 「浪の上の-は静かなる時なし/平家 8

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

行宮
あんぐう

天皇の行幸(ぎょうこう)時の仮宮。「かりみや」とも読む。『延喜式(えんぎしき)』には、10日以上の行幸に際しては、あらかじめ造行宮使を任命すると規定している。『令義解(りょうのぎげ)』などの用法によると、行在所(あんざいしょ)が抽象的に天皇の所在をいうのに対し、行宮は具体的に仮宮そのものをさしたらしいが、のちには同じ意味に用いられた。明治以後の公式の文書では、天皇については行在所、皇后、皇太子などの行啓(ぎょうけい)中の在所は御泊所(ごはくしょ)といった。[橋本義彦]

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精選版 日本国語大辞典の解説

あん‐きゅう【行宮】

〘名〙 (「あん」は「行」の唐宋音) =あんぐう(行宮)
太平記(14C後)四「行宮(アンキウ)に月無き夏の夜は、蛍火(けいくゎ)を集めて燭(とぼしび)に易(か)ふ」

あん‐ぐう【行宮】

〘名〙 (「あん」は「行」の唐宋音) 天皇が行幸したとき、仮に設けられた御所。あんでん。仮宮(かりみや)。〔白居易‐長恨歌〕

こう‐きゅう カウ‥【行宮】

〘名〙 天皇が行幸のとき、その地に設ける仮の御殿。かりみや。あんぐう。あんきゅう。
※律(718)衛禁「凡行宮外営門、次営門与宮門同」
※和漢朗詠(1018頃)下「行宮(かうきう)に月を見れば心を傷ましむる色 夜の雨に猿を聞けば腸を断つ声〈白居易〉」
[補注]「あんぐう」とよむのは禅宗渡来以後とされる。

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世界大百科事典内の行宮の言及

【頓宮】より

…後世では行在所(あんざいしよ)という。行宮(あんぐう)ともほぼ同義であるが,滞在が比較的長期にわたる場合とくに行宮と呼ぶことが多い。斎宮(さいぐう)の京都~伊勢間の休泊所をさしてもいうことがあり,奈良~平安時代の記録にみえる。…

※「行宮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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