(読み)ショウ

デジタル大辞泉 「省」の意味・読み・例文・類語

しょう〔シヤウ〕【省】

明治2年(1869)の官制改革で設けられた政府の中央行政機関。その後、内閣制度に受け継がれ、現在は法務外務財務文部科学厚生労働農林水産経済産業国土交通総務環境防衛の11省。大臣を長とする。
律令制で、太政官だいじょうかんに属した中央官庁の称。中務なかつかさ式部治部民部兵部ひょうぶ刑部ぎょうぶ大蔵宮内の八省。
中国で、古代の中央政府または中央官庁。
中国の行政区画の一。地方行政区画のうち最上位のもの。代に始まり現在に至る。
[類語]セクション

せい【省】[漢字項目]

[音]セイ(漢) ショウ(シャウ)(呉) [訓]かえりみる はぶく
学習漢字]4年
〈セイ〉
振り返ってよく考えてみる。「省察三省自省内省反省
安否をたずねる。「帰省
はぶく。「省文
ショウ
中央官庁。「本省
中国の行政区画の一。「省都山東省
はぶく。「省力省略
[名のり]あきら・かみ・み・みる・よし

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精選版 日本国語大辞典 「省」の意味・読み・例文・類語

しょうシャウ【省】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制での官制の一つ。太政官に属し、中務、式部、治部、民部、兵部、刑部、大蔵、宮内の八省がある。職員として、卿、大・少輔、大・少弁、大・少主典(だい・しょうさかん)などが置かれた。
  3. 明治二年(一八六九)の官制改革で設けられた中央行政機関。同一八年の内閣制度に引き継がれ、変遷を経たのち、昭和二三年(一九四八)制定の国家行政組織法によって、法務、外務、大蔵、文部、厚生、農林(のち農林水産)、通商産業、運輸、郵政、労働、建設、自治の一二の省が置かれ、平成一三年(二〇〇一)には再編されて、総務、法務、外務、財務、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、環境の十の省となった。
    1. [初出の実例]「いつしかさる省(シャウ)へ召出されつ」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉四)
  4. 古代中国で、中央政府、中央官庁の呼び名。とくに、中書省をさす。〔新唐書‐百官志〕
  5. 中国の行政区画の一つ。地方行政区画のうち、最上位のもの。元のころ、中書省の地方機関として行中書省(行省)を置き、その地方の行政をつかさどったことから、地方行政区の名称となった。現在は区の管轄のもとに置かれている。

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普及版 字通 「省」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] セイ・ショウ(シャウ)
[字訓] みる・かえりみる・さとる・はぶく

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
卜文・金文の字形は生に従い、生(せい)声。〔説文〕四上(てつ)に従う形とし、「るなり。眉の省に從ひ、に從ふ」という。〔段注〕に「眉に從ふは、未だ目に形(あら)はれざるなり。に從ふは、之れをに察するなり」とするが、はおそらくもと目の上の呪飾、のち生の声が意識されての下部に肥点を加える形となったものであろう。卜辞に王の巡省を卜して、「王省するに、來災ひ(な)きか」という。金文に「省(いつせい)」の語があり、は矛(ほこ)を台上に樹(た)てて示威巡察を行う意。古くは眉飾などを施し、あるいは黥目(げいもく)を加えたものであろう。わが国の「など黥(さ)ける利目(とめ)」もその類であろう。巡察することより省察の意となり、省察して除くべきものを去るので省略の意となる。

[訓義]
1. みる、めぐりみる、つまびらかにみる。
2. かえりみる、あきらかにする、さとる。
3. あやまちをみる、あやまちをさる。
4. はぶく、さる、へらす、すくなくする。
5. 役所、公の居る所、禁中、行政の区画名。
6. と通じ、わざわい。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕省 カヘリミル・ハブク・ヨクス・ハググム・ミヨ・タスク・オボユ 〔字鏡集〕省 ハリ・ヨクス・カヘリミル・タスク・ヨシ・アキラカナリ・ミヨ・ミル・ハググム・ハブク・オボユ

[声系]
〔説文〕に省声としてなど四字を収める。十一上は「少しく減ずるなり」、十二下は「減ずるなり」とあって、みな省減の意をとる。

[語系]
省視のときは省sieng、相siangは声義近く、相は〔説文〕四上に「省するなり」とあり、視て察することをいう。省略のときは省・shengは同声。省視のときと、声を異にして用いた。

[熟語]
・省員・省魁・省官・省元・省試・省寺・省闥・省中・省庭・省門・省略・省愛・省易・省役・省改・省・省刑・省決・省見・省減・省悟・省行・省候・省耕・省曠・省察・省視・省事・省釈・省恤・省心・省審・省親・省素・省・省息・省読・省筆・省風・省文・省墓・省方・省問・省約・省覧
[下接語]
按省・簡省・観省・帰省・倹省・減省・顧省・三省・自省・修省・晨省・深省・尋省・節省・大省・退省・定省・内省・反省・猛省・黙省・問省・約省・覧省・略省

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改訂新版 世界大百科事典 「省」の意味・わかりやすい解説

省 (しょう)
shěng

中国の最高行政区画の名称。省の原義は宮中のことで,魏・晋のころから禁中におかれた天子の秘書室を中書省,尚書省などと呼ぶようになった。13世紀,モンゴル王朝は支配領域の拡大とともに,中央政府中書省の出先機関として行中書省,略して行省を各地に置いた。これが南宋の併合ののち,広い行政区域を持つ独立官庁となり,その管轄区域を省と呼ぶようになる。13世紀末には元帝国の領域は,河北,山西,山東は腹裏といって大都の中書省が直轄するほか,河南,陝西,四川,甘粛,遼陽,江浙,江西,湖広,雲南の9行省があり,のちモンゴリアの嶺北行省が加わった。行省の長官は平章政事といった。

 明は最初国都南京の周辺を直隷省とし,全国を北平,山東,河南,山西,陝西,江西,湖広,四川,浙江,福建,広東,広西の12省に分け,のち雲南,貴州を加えた。さらに永楽帝の北京遷都とともに北平を北直隷,南京周辺の直隷を南直隷に改めた。省の民政は布政使,監察は按察使が受け持ち,軍事を統轄する都指揮使もいたが,明中期以降はその上に総督巡撫が置かれるようになった。清朝は南直隷を江南に改め,ついでこれを江蘇と安徽に分かち,また陝西を陝西と甘粛,湖広を湖南と湖北に二分し,ここに本部18省が成立した。なお本部18省は皖(かん)省(安徽),予(よ)省(河南)のようにすべて雅名を持っている。このほか満州民族の根拠地東三省と異民族の多い新疆省があって統治方式を異にしたが,時代が下って中央化が進むとともに,遼寧,吉林,黒竜江,熱河,察哈爾(チヤハル),綏遠(すいえん),寧夏,青海,西康,新疆の10省が加わり,全国28省制ができあがった。

 清代は,省の最高長官は中央官待遇の総督または巡撫で,両者は一省一総督の場合の巡撫兼任を除き,同一府州に治所を置かない。巡撫はだいたいすべての省に置かれるが総督は数省を兼ねるのが普通である。その下に布政使,按察使と各種の道員が配備される。民国から人民共和国にいたる間(1912-49),とくに周辺部の省の改廃がしばしば行われたが,2006年現在の全国の省と省都(カッコ内)は以下のとおりである。河北(石家荘),山西(太原),遼寧(瀋陽),黒竜江(ハルビン),吉林(長春),陝西(西安),甘粛(蘭州),青海(西寧),山東(済南),江蘇(南京),浙江(杭州),安徽(合肥),江西(南昌),福建(福州),河南(鄭州),湖北(武漢),湖南(長沙),広東(広州),四川(成都),貴州(貴陽),雲南(昆明),海南(海口)。このほか少数民族の多い省格の自治区として,内モンゴル(フフホト),寧夏回族(銀川),広西チワン族(南寧),チベット(ラサ),新疆ウイグル(ウルムチ)があり,北京,天津,上海,重慶は省格の特別市とされており,台湾省を入れて全部で23省5自治区4特別市が省にあたると考えられる。

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省 (しょう)

国の基本的な行政機関。明治初期に大宝令にならって採用されて以来用いられている名称。第2次世界大戦後の行政組織の基本法である国家行政組織法の下では,府と省が基本的な行政機関であり,2001年の省庁再編を経て,現在,1府(内閣府のみ),11省(法務省外務省財務省文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省,総務省,環境省,防衛省)が設置されている。これらが内閣の統轄の下に行政事務を分担し,全体として国の行政組織を構成する。それぞれは国務大臣である各省大臣を長とし,それぞれの所掌事務と権限をもつ。内部は局-課などと構成される階統型に組織され,それぞれの所掌事務の領域について行政事務を行い,政策を実施する機能を果たす。しかし,単に国会,内閣で決定された政策を実施するだけでなく,政策の立案についても重要な役割を果たしている。
事務次官 →省令 →政務次官 →大臣
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「省」の意味・わかりやすい解説

省(中国の行政区画)
しょう

中国の最高行政区画の呼称。省とはもともと宮中のことで、漢代には省中ともいったが、3世紀の魏(ぎ)・晋(しん)のころから、宮中に置かれた官庁の呼称となった。13世紀の元代に中央の行政官庁として中書省を設け、国都(現北京(ペキン))に近い河北、山東、山西の地方の直轄を兼ね、その他の各地に、地方行政官庁として、中書省の地方出張所を意味する行中書省を置き、行省と略称し、これをその管轄地域の呼称ともした。嶺北(れいほく/リーペイ)、遼陽(りょうよう/リヤオニン)、河南江北、陝西(せんせい/シャンシー)、甘粛(かんしゅく/カンスー)、四川(しせん/スーチョワン)、雲南(うんなん/ユンナン)、江浙(こうせつ/チヤンチョー)、江西(こうせい/チヤンシー)、湖広(ここう/フーコワン)の10行省である。こうして省は初めて地方行政区画の呼称となった。14世紀の明(みん)代では、中書省も行省も廃し、地方の要地に三司(民政の布政使司、警察の按察(あんさつ)使司、軍事の指揮使司)を設けたが、その管轄地域は俗に省とよばれた。初め、三司を統括する官を置かず、ときに中央から巡撫(じゅんぶ)、総督を派遣したが、やがてこれを1省または2省を管理する常駐官とした。17世紀、清(しん)代では省を地方行政区画として復活、巡撫、総督を地方長官とし、その駐在地を省会といい、北京周辺の直隷(ちょくれい)省のほか、地方を江蘇(こうそ/チヤンスー)、安徽(あんき/アンホイ)、山東(さんとう/シャントン)、山西(さんせい/シャンシー)、河南(かなん/ホーナン)、陝西、甘粛、福建(ふっけん/フーチエン)、浙江(せっこう/チョーチヤン)、江西、湖北(こほく/フーペイ)、湖南(こなん/フーナン)、四川、広東(カントン)、広西(こうせい/カンシー)、雲南、貴州(きしゅう/コイチョウ)に分けた。これを本部18省という。のちに周辺地域を中央化すると、遼寧(りょうねい/リヤオニン)、吉林(きつりん/チーリン)、黒竜江(こくりゅうこう/ヘイロンチヤン)、新疆(しんきょう/シンチヤン)など10省が加わり計28省となった。こうして省は行政区画の呼称として定着し、中華民国、中華人民共和国に及ぶが、その間、周辺部の省の改廃が行われ、省のほかに、少数民族のために設定された自治区(内モンゴル自治区など5自治区)も省とみなすべきであり、すべて27省に分けられていることになる。一級行政単位としては、22省、4直轄市(北京など)、5自治区である(2002年現在)。

[星 斌夫]


省(行政機関)
しょう

内閣の統轄下にある最高行政機関。法務・外務・財務・文部科学・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通・総務・環境・防衛の各省がある。各省の長は各省大臣である。その最高補助機関として、副大臣および大臣政務官が置かれている。大臣、副大臣、大臣政務官はいわゆる政治任用職であり、資格任用職の最高位である事務次官は、大臣政務官の下に置かれている。内部部局として官房および局・課が置かれ、外局として委員会・庁が置かれる。

[平田和一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「省」の意味・わかりやすい解説


しょう

(1) 律令制で,太政官に属した役所。中務省,式部省,治部省,民部省,兵部省,刑部省,大蔵省,宮内省の8省があり,職員には卿,輔,丞,録以下が置かれた。
(2) 国の行政機関の一つ。長は大臣である。省の設置,廃止,所掌事務の範囲,権限は法律で定められる (国家行政組織法) 。総務省法務省外務省財務省文部科学省厚生労働省農林水産省経済産業省国土交通省環境省防衛省の 11省がある。各省には,内部部局として官房,局,課,室などが置かれる。また外局地方支分部局審議会施設等機関特別の機関が設置されることもある。
(3) 中国の最高行政区画名。

省[ローマ教皇庁]
しょう[ローマきょうこうちょう]
Congregatio

教皇庁の中央行政機関。 1985年までは聖省 Sacra Congregatioと呼ばれた。コングレガチオとは集会の意で,もと教皇を補佐する枢機卿たちの恒常的委員会として散発的に生れたが,徐々に強化整備されて各国の行政省に類するものとなった。最初に制度的に明確化され,14聖省がおかれたのは 1588年シクスツス5世のとき。裁判所,諸官署などとともに教皇庁を構成する。長官は教皇が兼ねる場合を除いて枢機卿で,外交を含む全世界のカトリック教会の行政事務を担当する。省の名称,構成,数は必要に応じて改変され,1988年の改革を経て,現在は,信仰教理,東方教会,典礼秘跡,列聖,司教,福音宣教,聖職者,奉献生活者,教育の9省がおかれている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「省」の解説


しょう

大宝・養老令制官司の等級の一つ。8省ある。太政官の指揮をうけ,職(しき)・寮・司などを管轄。四等官の定員は卿1人・大少輔各1人・大丞1人(式部・刑部(ぎょうぶ)省は2人)・少丞2人・大録1人・少録3人(刑部・大蔵・宮内省は2人)からなり,これらの相当位は中務(なかつかさ)省が1級高く,式部・治部・民部・兵部・刑部・大蔵・宮内の7省がこれにつぐ格付けになっている。令外官(りょうげのかん)の造宮省・内豎(ないじゅ)省もこれに準じる。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【中華人民共和国】より

…石油は,東北,華北,西北などのほかに,渤海から南シナ海にかけての大陸棚などに豊富な油田が探査され,開発がすすんでいるが,重質油が中心であるのが難点である。天然ガスは,四川省に集中している。 このほか,地球上で知られている140種類あまりの有用鉱物資源はすべて中国にあるといわれ,マンガン,アルミニウム,スズ,モリブデン,鉛,亜鉛,タングステン,アンチモン,希土類元素,リチウム,マグネシウム,銅,ニッケルなど,埋蔵量で世界のトップクラスを占めるものが多い。…

【明】より

…これを南明という。
【皇帝独裁の統治機構】
 明朝成立当初の政治制度は,元制に倣った点が多いが,1376年(洪武9)に行中書省を廃して承宣布政使司(布政司,藩司)を設けたのをはじめ,中央では80年に丞相胡惟庸の謀反事件を機に中書省を,したがってその長官たる丞相を廃し,六部その他の政府機関を皇帝の直轄下に置くなど,一連の制度改革を行った。その方向は,官僚の権限分割による相互規制と地方分権化の防止を基礎にして,皇帝独裁の制度的確立をめざしたものであり,宋代に現れた中央集権的な方向をいっそう徹底したものである。…

※「省」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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