出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
[音]セイ(漢) ショウ(シャウ)(呉) [訓]かえりみる はぶく
[学習漢字]4年
〈セイ〉
1 振り返ってよく考えてみる。「省察/三省・自省・内省・反省」
2 安否をたずねる。「帰省」
3 はぶく。「省文」
〈ショウ〉
1 中央官庁。「本省」
2 中国の行政区画の一。「省都/山東省」
3 はぶく。「省力・省略」
[名のり]あきら・かみ・み・みる・よし
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中国の最高行政区画の名称。省の原義は宮中のことで,魏・晋のころから禁中におかれた天子の秘書室を中書省,尚書省などと呼ぶようになった。13世紀,モンゴル王朝は支配領域の拡大とともに,中央政府中書省の出先機関として行中書省,略して行省を各地に置いた。これが南宋の併合ののち,広い行政区域を持つ独立官庁となり,その管轄区域を省と呼ぶようになる。13世紀末には元帝国の領域は,河北,山西,山東は腹裏といって大都の中書省が直轄するほか,河南,陝西,四川,甘粛,遼陽,江浙,江西,湖広,雲南の9行省があり,のちモンゴリアの嶺北行省が加わった。
国の基本的な行政機関。明治初期に大宝令にならって採用されて以来用いられている名称。第2次世界大戦後の行政組織の基本法である国家行政組織法の下では,府と省が基本的な行政機関であり,現在,1府(総理府のみ),12省(法務省,外務省,大蔵省,文部省,厚生省,農林水産省,通商産業省,運輸省,郵政省,労働省,建設省,自治省)が設置されている。これらが内閣の統轄の下に行政事務を分担し,全体として国の行政組織を構成する。
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〘名〙
① 令制での官制の一つ。太政官に属し、中務、式部、治部、民部、兵部、刑部、大蔵、宮内の八省がある。職員として、卿、大・少輔、大・少弁、大・少主典(だい・しょうさかん)などが置かれた。
② 明治二年(一八六九)の官制改革で設けられた中央行政機関。同一八年の内閣制度に引き継がれ、変遷を経たのち、昭和二三年(一九四八)制定の国家行政組織法によって、法務、外務、大蔵、文部、厚生、農林(のち農林水産)、通商産業、運輸、郵政、労働、建設、自治の一二の省が置かれ、平成一三年(二〇〇一)には再編されて、総務、法務、外務、財務、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、環境の十の省となった。
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉四「いつしかさる省(シャウ)へ召出されつ」
③ 古代中国で、中央政府、中央官庁の呼び名。とくに、中書省をさす。〔新唐書‐百官志〕
④ 中国の行政区画の一つ。地方行政区画のうち、最上位のもの。元のころ、中書省の地方機関として行中書省(行省)を置き、その地方の行政をつかさどったことから、地方行政区の名称となった。現在は区の管轄のもとに置かれている。
〘他サ変〙 せい・す 〘他サ変〙
① 自分の行ないなどをかえりみる。反省する。
※足利本論語抄(16C)学而第一「此三つを日に三つ省するぞ」
② 様子を問う。様子を問うために尋ねる。特に、親を見舞う。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉三「僕が行って母を省(セイ)する毎に」
[1] 〘他カ五(四)〙
① 不要のもの、あるべからざるものとして取り除く。いらないものとして排除する。
※新訳華厳経音義私記(794)「筆削 下音、刪玄也、刪音讚、訓波夫久、筆謂二増益一也」
※歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)三「連の悪者共をはぶかんが為」
② 簡単・簡素にするために、全体から一部を減らす。簡略にする。倹約する。省略する。
※源氏(1001‐14頃)帚木「家のうちに、足らぬ事など、はた、なかめるままに、はぶかず」
※鳥羽家の子供(1932)〈田畑修一郎〉「面倒を省く為に」
③ 分かち与える。分配する。
※平家(13C前)七「かの庄園を没取(もっしゅ)して、みだりかはしく子孫にはぶく」
④ 仲間から除く。仲間はずれにする。
※滑稽本・八笑人(1820‐49)三「おいらも跡で連中をはぶかれても仕方がねへ」
[2] 〘他カ下二〙 身だしなみなどを省略する。手を抜く。
※早雲寺殿廿一箇条(17C初)七条「髪をばはやくゆふべし。はふけたる躰にて人々にみゆる事慮外、又つたなきこころ也」
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世界大百科事典内の省の言及
【中華人民共和国】より
…石油は,東北,華北,西北などのほかに,渤海から南シナ海にかけての大陸棚などに豊富な油田が探査され,開発がすすんでいるが,重質油が中心であるのが難点である。天然ガスは,四川省に集中している。 このほか,地球上で知られている140種類あまりの有用鉱物資源はすべて中国にあるといわれ,マンガン,アルミニウム,スズ,モリブデン,鉛,亜鉛,タングステン,アンチモン,希土類元素,リチウム,マグネシウム,銅,ニッケルなど,埋蔵量で世界のトップクラスを占めるものが多い。…
【明】より
…これを南明という。
【皇帝独裁の統治機構】
明朝成立当初の政治制度は,元制に倣った点が多いが,1376年(洪武9)に行中書省を廃して承宣布政使司(布政司,藩司)を設けたのをはじめ,中央では80年に丞相胡惟庸の謀反事件を機に中書省を,したがってその長官たる丞相を廃し,六部その他の政府機関を皇帝の直轄下に置くなど,一連の制度改革を行った。その方向は,官僚の権限分割による相互規制と地方分権化の防止を基礎にして,皇帝独裁の制度的確立をめざしたものであり,宋代に現れた中央集権的な方向をいっそう徹底したものである。…
※「省」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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