普及版 字通 「鼎(漢字)」の読み・字形・画数・意味
鼎
人名用漢字 13画
[字訓] かなえ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
鼎の器形に象る。〔説文〕七上に「三足兩耳、五味を和する寶なり。昔、禹、九牧の金を收め、鼎を山の下に鑄(い)る。山林川澤に入るも、魅(ちみ)(まうりやう)、能く之れにふもの(な)し。以て天の休(さいは)ひに協承す」とあり、その神怪な文様に、辟邪(へきじや)の呪力があるとされたようである。神聖な彝器として、国家権力の象徴とされ、〔左伝、宣三年〕に、楚の荘王が(らく)(当時の周都)に臨んで兵を観(しめ)し、「鼎の輕重を問ひ」天下を窺う意を示したという話がある。のち、他人の実力を疑い問う意に用いる。鼎はもと烹(ほうじん)の器。当時の彝器に、器底に燻痕を残しているものがある。
[訓義]
1. かなえ、烹の器、円鼎・方鼎・分銅鼎などがある。
2. 宝器、神器。宝貴の意に用いる、貴顕。
3. 三脚のもの、三方分立。
4. 当と通じ、あたる、まさに。
5. 貞と通じ、ただしい。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕鼎 阿之加奈倍(あしかなへ)。三足兩耳、五味を和する寶なり 〔字鏡集〕鼎 アシガナヘ・マサニ・アヂハヒ・アシナヘ・カナヘ・カマフタ
[部首]
〔説文〕に(し)()・(だい)・(べき)の三字を属し、〔玉〕になお(しやう)の字を加える。は金文に「大鼎」のように用い、煮ることをいう。
[語系]
鼎tyeng、貞tiengは声近く、貞は貞問、卜して神意を問う意。貞の初文は、卜文では鼎に従っており、もと鼎を以て探湯(くかたち)するような卜法があったのであろう。當(当)tangも声近く、鼎と通用することがある。
[熟語]
鼎位▶・鼎彝▶・鼎運▶・鼎娥▶・鼎魁▶・鼎革▶・鼎角▶・鼎▶・鼎貴▶・鼎▶・鼎饋▶・鼎業▶・鼎言▶・鼎鉉▶・鼎甲▶・鼎羹▶・鼎坐▶・鼎士▶・鼎司▶・鼎耳▶・鼎峙▶・鼎▶・鼎臑▶・鼎実▶・鼎食▶・鼎新▶・鼎臣▶・鼎姓▶・鼎盛▶・鼎席▶・鼎俎▶・鼎祚▶・鼎足▶・鼎族▶・鼎▶・鼎鼎▶・鼎肉▶・鼎能▶・鼎沸▶・鼎分▶・鼎輔▶・鼎味▶・鼎命▶・鼎銘▶・鼎来▶・鼎立▶・鼎力▶
[下接語]
彝鼎・夏鼎・九鼎・金鼎・刑鼎・鼎・孔鼎・扛鼎・羹鼎・爨鼎・讒鼎・周鼎・羞鼎・鐘鼎・神鼎・瑞鼎・遷鼎・大鼎・台鼎・鋳鼎・陳鼎・定鼎・撤鼎・陪鼎・方鼎・宝鼎・鼎・銘鼎・列鼎・賂鼎
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報