デジタル大辞泉 「簾」の意味・読み・例文・類語
れん【簾】[漢字項目]
〈レン〉
1 すだれ。「簾中/
2 たれているもの。「馬簾」
〈すだれ〉「玉簾・縄簾」
[難読]
竹やヨシ(葦)などをすきまをあけて並べ編んだもの。室内の仕切り,日よけなどに用いる。〈すだれ〉は簀垂(すだれ)であり,〈す(簀)〉は〈すきま〉から出た言葉でもとは敷物である。簀とみられる遺物は縄文時代からある。《万葉集》に〈わがやどの簾動かし秋の風吹く〉などをはじめとしてすだれをよんだ歌が数多くあって,すだれは日本で古くから使われていた。材料にはほかに篠(しの),萱(かや),菅(すげ),薦(こも)などがある。伊予竹で作った伊予すだれは古来最高級品とされているが,伊予竹は伊予山中で採れる篠竹で,幹が細く軽いうえ光沢が美しいのですだれ材として最適である。すだれは一般には縁(へり)がつかないが,縁つきの高級品を御簾(みす)という。すだれは戸口や軒先など外部に面した場所にかけ,御簾は室内にかけるというが,特にきまりはない。すだれは光や風をとおすと同時に外から内部(暗部)が見えないという効用があり,扱いもかんたんで安価な屛障具として広く用いられた。ヨシで作ったすだれには2種類あり,葦(あし)すだれとよぶものは大喪中に使う御簾のことで,鈍色(にびいろ)(濃いねずみ色)の縁がつく。もう一種は〈よしず〉で,アシはヨシの異称である。よしずは太く長いヨシ(口径約1.5cm,長さ3~4m)をすだれ状に編んだもので商店などの店先に立てかけて日よけ,囲いなどに使い,養蚕,農・漁業用にも利用される。
執筆者:小泉 和子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
この名は「簀垂(すだ)れ」からおこったとみる説と、住むところの巣(す)の出入口に垂れ下げて風雨湿気を避けたのでという説がある。細い茎の葦(あし)や竹を細かく割ってつくった「ひご」を簀のように糸で編んでつくった屏障(へいしょう)具。外部から見えないよう、また強い外光よけや室内の仕切りに用いるが、通風性がよく、涼しい気分になるので、普通夏季に戸口や窓などに掛ける。巻き上げたとき、鉤(こ)という金物に掛けて下がらないようにし、鉤に丸緒の総(ふさ)を下げる。この名称は古く『万葉集』にみえるが、細い茎の葦を材料とした伊予(いよ)簾は平安時代に出現する。御簾(みす)は竹のひごを編み、周囲の縁を萌黄(もえぎ)地に黒の窠文(かもん)を染めた絹で巡らし、上部の縁は帽額(もこう)といって、やや幅広い。身分のある人の住居の、簀子(すのこ)と庇(ひさし)の間との境、あるいは庇と母屋(おもや)との境を仕切るため、一間ずつの長押(なげし)の下端に掛け連ねた。現在もっぱら宮殿や神殿に使うことが多い。変形なものに縄簾があるが、近世初期の風俗画にみえる。
[郷家忠臣]
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