刑事収容施設法で定められ、主に逮捕から起訴までの間、証拠隠滅や逃亡を防ぐため容疑者を一時的に留め置く施設。2018年の警察白書によると、全国の警察に1140あり、1日平均で約8600人が留置されている。1980年以降、居室は共同室で1人当たり2・5平方メートルを基準としている。容疑者はまず身体検査を受け、日常は担当官の付き添いや護送の下、警察や地検の取り調べに向かう。家族や弁護士が接見する時間もあり、衣服や本などの差し入れを受けることもできる。起訴されると拘置所に移り、裁判で実刑が確定すれば刑務所に入ることが原則となっている。
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被疑者の身柄を収容する警察署の施設。刑事手続の捜査実務では,警察官が被疑者を逮捕し警察署に引致後,必要ありと認められた場合にはその身柄は一定時間,警察署の留置場に収容される。また,勾留状を執行された被疑者の大半についても,実際上,勾留場所として警察署の留置場が活用されている。
起訴前段階における被疑者勾留の場所として留置場をあてる実務運用の根拠は監獄法1条3項にあり,これを一般に代用監獄という。近時,監獄法改正作業の過程において,本制度活用の当否をめぐり激しい争いが生じ,それらを受けて,1980年4月より従来刑事部門が所掌していた留置業務を捜査を担当しない行政管理部門に移管するとともに,留置場の構造設備の充実,看守勤務員の教養訓練の強化が進められつつあるが,いぜん捜査機関である警察が,同時に勾留された被疑者の身柄を確保することに問題はないかという本質論・実質論は検討の余地を残している。
ところで,これまであまり議論されていないが,捜査実務上,警察署の留置場は被逮捕者の本来的な留置場所とされていたといえる。刑事訴訟法上必ずしも明確な規定はないものの,引致後の留置は刑事訴訟法203条によって根拠づけられ,被疑者を逮捕状記載の引致場所に引致したのちに(200条参照),必要があれば当然のごとく引致場所として記載された警察署の留置場への留置が認められると考えられていたのであろう。しかしこれに対して,最近では刑事訴訟法75条(および209条によるその準用)を根拠に,被逮捕者は原則として〈監獄〉に留置されるべきであって,警察署の留置場は代用監獄としてのみ留置場所とされるとの説も有力である。
留置場に被疑者が留置された場合,被疑者は凶器の検査,捜査上・保安上支障のある物の保管など諸種の処分を受ける。そのほか留置場における法規制は,主として被疑者留置規則(国家公安委員会規則)および同実施要綱に基づき行われているのが現状とされるが,それらの法的拘束力・対外的効力についても,立法論と関連して,論議が盛んになりつつある。
執筆者:三井 誠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…自由刑の執行を行う懲役監・禁錮監・拘留場と,死刑囚や刑事被告人・被疑者などを拘禁する拘置監とがある。警察の留置場は,これらの監獄に代用されるが,この代用監獄には人権保障上批判も多い。監獄法のほか,刑法や刑事訴訟法も〈監獄〉の語を用いているが,大正期の行刑刷新以来,〈~監〉は〈~場〉に,施設の名称としては刑務所や拘置所などに変えられた。…
… 1880年の旧刑法はフランス法に範をとり,士族の特別扱いを廃し,犯罪を重・軽・違警罪に三分し,それぞれに複雑な自由刑を配したが,イギリス,ドイツにならって仮出獄をも導入した。翌年の監獄則は,自由刑の執行につき,拘留場,懲役場(懲役,禁錮),集治監(徒刑,流刑,禁獄)を定め,ほかに未決監たる監倉と裁判所・警察署に付属する留置場,および幼年者等を入れる懲治場をおき,相互の区別を建前とした。同年には樺戸集治監の開設など北海道開拓のための囚人利用が始まり,旧刑法下の自由刑長期化もあって,鉄鎖でつないだ外役や,大規模な刑務所工場の出現もみられた。…
…法律上も,監獄法では,たとえば,作業につくか否かは本人の希望にまかせ(26条),なるべく独居拘禁に付することとしている(監獄法施行規則24条)ほか,衣類・寝具や糧食の自弁を許し(監獄法33,35条),接見や信書の発受に関してその相手方,度数などに制限をおかず(監獄法45,46条,監獄法施行規則123,129条1項参照),調髪の自由を認める(監獄法36条)など,受刑者とは違った配慮がみられる。 監獄法は〈警察官署ニ付属スル留置場〉を監獄に代用することを認めている(1条3項)。これを代用監獄という。…
…監獄法によれば,監獄は,懲役監,禁錮監,拘留場,拘置監に分かれ,被告人・被疑者の勾留場所は拘置監とされる(1条1項)。しかし,同法は,一方で〈警察官署ニ付属スル留置場ハ之ヲ監獄ニ代用スルコトヲ得〉と定める。これを代用監獄という。…
※「留置場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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