日本歴史地名大系 「静岡市」の解説 静岡市しずおかし 面積:一一四六・一三平方キロ(境界未定)県の中央部、旧駿河国の西部に位置する県庁所在地。東は清水市、山梨県南巨摩(みなみこま)郡富沢(とみざわ)町・南部(なんぶ)町・身延(みのぶ)町・早川(はやかわ)町、北はわずかに同県中巨摩郡芦安(あしやす)村に接し、西は長野県上伊那郡長谷(はせ)村、同県下伊那郡大鹿(おおしか)村・上(かみ)村・南信濃(みなみしなの)村、榛原(はいばら)郡本川根(ほんかわね)町・川根町、藤枝市・志太(しだ)郡岡部(おかべ)町・焼津市、南は駿河湾に臨む。市域は安倍(あべ)川水系全域と北部の大井川上流井川(いかわ)地区からなり、市東部をフォッサマグナの西端にあたる糸魚川―静岡構造線が通る。市域北部は赤石山脈の主部をなし静岡・山梨・長野三県にそびえる間(あい)ノ岳(三一八九・三メートル)から長野県境へは荒川(あらかわ)岳の中(なか)岳(三〇八三・二メートル)・前(まえ)岳(三〇六八メートル)、赤石岳(三一二〇・一メートル)、聖(ひじり)岳の前聖岳(三〇一三メートル)・茶臼(ちやうす)岳(二六〇四メートル)・光(てかり)岳(二五九一・一メートル)など三〇〇〇メートル級の高峰が南へ続き、その稜線は南アルプス国立公園を構成する。間ノ岳から山梨県境へは農鳥(のうとり)岳(三〇二五・九メートル)・笊(ざる)ヶ岳(二六二九メートル)・安倍峠(標高一六四九メートル)・十枚(じゆうまい)山(一七二六メートル)が南へ連なる。当市の北部からは東と西を南北に山地が市街地にせまっている。そのため市域の八六パーセントが山地で、一五〇〇メートル以上の山地は二八パーセントに達する。市街地は安倍川・藁科(わらしな)川が形成した沖積平野の静岡平野に広がり、市域の東西最大幅は二〇キロ、南北の直線距離は八〇キロに及ぶ。気候は海洋性気候で、冬は温暖・乾燥、夏は高温・多雨。市名の静岡は、明治二年(一八六九)に駿河府中(駿府)から改称されたもので、市街北部に位置する賤機(しずはた)山にちなむ賤(しず)ヶ丘(おか)を静岡と改称したものという。〔原始・古代〕遺跡分布について、(一)大井川上流井川湖周辺、安倍川中流域、藁科川流域などの山間部、(ニ)安倍川左岸の静岡平野北部、(三)安倍川下流右岸、(四)静岡平野東部、(五)有度(うど)山西麓および北麓に分けて概観してみる。(一)の遺跡は中世城郭跡を除けば、大井川水系に比べてきわめて少ない。井川湖に水没した河岸段丘上にあった割田原(わんだばら)遺跡では縄文時代中期の住居跡が確認されており、同じく湖底に沈んだ大井原(おおいばら)遺跡では平安期の住居跡と須恵器が検出された。安倍川流域では中河内(なかごうち)川との合流点とその下流、足久保(あしくぼ)川下流、藁科川との合流点などに縄文時代の遺物散布地が点在する。(ニ)では巴(ともえ)川の水源である旧浅畑(あさばた)沼周辺に縄文早期から古墳時代の遺跡が散在し、湿地帯周辺で漁労を中心に生活が営まれていたことが推定される。 静岡市しずおかし 2006年3月31日:静岡市が庵原郡蒲原町を編入⇒【庵原郡】静岡県:庵原郡⇒【静岡市】[変更地名]静岡県 静岡市しずおかし 2008年11月1日:静岡市が庵原郡由比町を編入⇒【静岡市】[変更地名]静岡県⇒【庵原郡】静岡県:庵原郡 静岡市しずおかし 2003年4月1日:清水市・静岡市が合併⇒【清水市】静岡県⇒【静岡市】静岡県 静岡市しずおかし 2005年4月1日:静岡市が政令指定都市となる⇒【静岡市】[変更地名]静岡県 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「静岡市」の意味・わかりやすい解説 静岡〔市〕しずおか 静岡県中部,駿河湾に面する市。県庁所在地。北部は大井川,安倍川の上流域,身延山地南部を占めて山梨県と長野県に接する。1889年市制。1955年美和村,服織村,中藁科村,南藁科村の 4村,1969年大河内村,梅ヶ島村,玉川村,井川村,清沢村,大川村の 6村をそれぞれ編入。2003年清水市と合体。2005年政令指定都市となり,葵区,駿河区,清水区の 3区を設置。2006年蒲原町,2008年由比町を清水区に編入。中心市街地は安倍川下流左岸の扇状地に位置し,奈良時代には駿河国の国府が置かれ,戦国時代には今川氏が領し,駿府または府中と呼ばれた。天正10(1582)年徳川家康の領地となり,城下町として発展。また,諸大名の往来も激しく,東海道の宿場町としても繁栄した。特色ある家内工業が発達し,特に鏡台,家具,漆器,ひな道具など木工関連産業が行なわれ,今日では機械,金属,紡織,電気機器などの工業も進出。市内の茶町,安西地区に茶問屋が集中している。周辺の農村部ではチャ(茶),ミカンを多産し,久能山の石垣いちごは有名。沿岸ではサクラエビやシラスの水揚げが盛ん。名所旧跡に富み,久能山東照宮の社殿,霊山寺仁王門,神部神社・浅間神社・大歳御祖神社(3社を総称して静岡浅間神社と呼ばれる)の社殿,臨済寺本堂は国指定重要文化財。登呂遺跡は国の特別史跡,久能山,賤機山古墳,片山廃寺跡は国の史跡に指定。臨済寺庭園は国の名勝,龍華寺のソテツは国の天然記念物。柴屋寺庭園は国指定名勝および史跡。興津清見寺は境内が朝鮮通信使遺跡として国の史跡に,庭園が国の名勝に指定されている。葵区の有東木には国指定重要無形民俗文化財の有東木の盆踊が伝わる。市域北部の山間部は南アルプス国立公園および奥大井県立自然公園に,国指定名勝の日本平や三保の松原(2013世界遺産の文化遺産に登録)などの景勝地がある南東部は日本平・三保の松原県立自然公園に属する。南部の市街地を東海道新幹線,JR東海道本線,静岡鉄道が通り,西部の井川から大井川鉄道井川線が川根本町に通じる。国道1号線,52号線,149号線,150号線,362号線が通り,東名高速道路のインターチェンジがある。面積 1411.83km2(境界未定)。人口 69万3389(2020)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by