デジタル大辞泉
「偏」の意味・読み・例文・類語
かた‐ほ【▽偏/片▽秀】
[形動ナリ]
1 完全に整っていないさま。未熟。不十分。⇔真秀。
「御心ばへ、人柄どもさへ、いささか―にて」〈大鏡・道長上〉
2 容貌が醜いさま。不器量。
「―にものし給はむ人の、居丈高に髪少なにて」〈栄花・根合〉
へん【偏】
1 漢字の構成部位の名称の一。左右の組み合わせからなる漢字の左側の部分。字形によって「亻(にんべん)」「氵(さんずい)」などと呼ぶ。⇔旁。
2 かたよっていること。公正でないこと。
「用捨―無し、弛張時あり、明王の士を撰ぶ徳なり」〈太平記・一九〉
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こず・む こづむ【偏】
〘自マ四〙
① 馬がつまずいてころびかける。馬が倒れる。→
かいこずむ。
※
名語記(1275)八「馬のしりさまにつつゐるをこつむといへり如何」
② 一か所にかたよって集まる。ぎっしりつまる。〔名語記(1275)〕
※俳諧・玉海集追加(1667)付句下「露置し屋根にや縄を張ぬらん こつめる町は物ほしもなし〈貞室〉」
④ 心が重くなる。気が沈む。
[
補注](1)各分肢の意味用法から、同語源と判断しかねるものもあり判然としない。
(2)古くは
清音「こつむ」であった可能性も強い。
へん【偏】
〘名〙
① (形動) かたよっていること。中正でないこと。また、そのさま。
※貞享版沙石集(1283)八「
雑行の行人の心ざまに似たり。いづれも偏也」
※太平記(14C後)一九「用捨偏
(ヘン)無し、弛張時有り、明王の士を撰ぶ徳也」 〔書経‐
洪範〕
② 漢字の字体構成上の名称の一つ。左右組み合わせて成った漢字の左の部分。意味上の
目印となる形が多く、それぞれ「にんべん」「
きへん」「うおへん」などの名がある。右にあって「とりへん」という類もある。
※名語記(1275)九「篇に、氵、かくかけるを、さむずい」 〔蘇軾‐石鼓詩〕
かた‐ず・む【偏】
[1] 〘自マ四〙 一つのところ、また一方へかたよる。せまくなる。かたずる。
※玉塵抄(1563)一九「太子の東宮にかたずみていらしむわ潜龍泥蟠の位ぞ」
[2] 〘他マ下二〙 一方に寄せる。かたよせる。
※天馬異聞(1637‐38)「急に大勢顕れ出で、手込手込に片つめて、何の苦もなく殺却す」
[補注]「ずむ」のかなづかいは未詳。「俚言集覧」には「偏づむ ツムは詞也カタツマル也マルの反ムなり」とあり、「詰む」と考えているが「黒ずむ」などと同様の「ずむ」とも見られる。
へん‐・する【偏】
〘自サ変〙 へん・す 〘自サ変〙 かたよる。一方に寄る。公平、平等でなくなる。
※養生訓(1713)一「陋儒は理に偏して気を養はず」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報