デジタル大辞泉
「辛」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
つら・い【辛】
〘形口〙 つら・し 〘形ク〙
[一] 非情であるさま。
① 他に対する態度・
仕打ちなどが、むごい。非情だ。
※
書紀(720)神代上(兼方本訓)「其の中
(なか)に一の児最
(いと)悪
(ツラク)して
教養(をしへこと)に順はず」
※土左(935頃)承平五年二月一六日「いとはつらくみゆれど、こころざしはせんとす」
② 主に男女の
間柄で、態度・仕打ちなどが冷たい。薄情だ。すげない。
※
古今(905‐914)恋五・七九四「よし野がはよしや人こそつらからめはやくいひてしことはわすれじ〈
凡河内躬恒〉」
[二] 耐えがたく思うさま。
① 人の
気持を考えない冷たい仕打ちや態度などが、耐えがたく、
恨めしい。
※伊勢物語(10C前)一三「
武蔵鐙(あぶみ)さすがにかけて頼むにはとはぬもつらしとふもうるさし」
② ある
事柄・
情況・環境などが、身を切るように耐えがたい。
※古今(905‐914)雑下・九四一「世の中のうきもつらきもつげなくにまづしる物は涙なりけり〈よみ人しらず〉」
[
語誌](1)他を苦しめるようなむごさ、非情さについていう(一)の意から、そのような状態を恨めしく思う気持、あるいは何かによって受ける耐えがたい苦しみなど(二)の意を表わすようになる。
(2)同じく平安期に例の多い類義語に「
うし」「つれなし」があるが、「うし」は、自分で情けなく苦しいと思う
感情を表わし、「つらし」は、
他人の冷酷な仕打ちによって起こる、耐えがたい苦しみを表わす。また、「つれなし」は、「
万葉集」に「連れもなし」の形で現われることからわかるように、他から無縁なものとして無関心、無表情に遇せられたときの感情を表わす。しかし、中世以降、「うし」の
勢力の衰えとともに、「つらし」が「うし」の意味領域をも兼ね表わすようになっていった。
つら‐が・る
〘他ラ五(四)〙
つら‐げ
〘形動〙
つら‐さ
〘名〙
か‐の‐と【辛】
〘名〙 (「金
(かね)の弟
(おと)」の意) 十干の第八番目。
五行説(ごぎょうせつ)によって、庚、辛に
五行の金を配したもの。
※
曾丹集(11C初か)「かのと 人つまにわがのとふたつ思ふにはなれにし袖ぞあはれなりける」
※土井本周易抄(1477)二「辛(カノト)壬(みつへ)癸(みつと)すぎて甲(きのへの)日に始むる程にぞ」
からく【辛】
① (苦しくつらいほど)一心に。必死に。
※土左(935頃)承平五年一月三〇日「
多奈川といふところをわたる。からくいそぎて、和泉の灘といふところにいたりぬ」
② (苦しくつらい思いをして不可能に思われたことが成立する意から) やっとのことで。ようやく。
※土左(935頃)承平五年二月一日「ふなぎみのからくひねりいだして、よしとおもへることを」
しん【辛】
〘名〙
① 十干の第八位。五行に配当すると金にあたり、また陰数であるところから、日本ではかのと(金弟)と称する。〔
白虎通‐五行〕
② からいこと。からさ。
※十善法語(1775)八「辛醎苦甘みな苦なり」
③ つらく苦しいこと。心が痛みうずくこと。つらさ。苦しさ。
づら・い【辛】
〘接尾〙 (形容詞型活用) づら・し
(形容詞ク活型活用) 動詞の連用形に付いて、その動作をすることに困難を感じる意を表わす。「面目なくて行きづらい」「恥ずかしくて入りづらい」などのように、心理的抵抗が大きい意に使う場合もあり、「字が小さくて読みづらい」「反射して見づらい」などのように、物理的に困難である意を示すこともある。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二「ゑらふ聞づらいナ」
つらまし【辛】
〘形シク〙 つらく思われる。耐えがたい。
※洒落本・二筋道後篇廓の癖(1799)二「いやましき客人にていとどつらましく」
みか・し【辛】
〘形ク〙 しおからい。また、からい。
※享和本新撰字鏡(898‐901頃)「鹹 弭加支阿地波比 又 加良志」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
辛
十干の一つ。五行の金行のうち、陰の金をあらわす。自然界では、加工された金属製品、砂金・珠玉に例えられる。洗練されて華やかな性質がある。
辛
十干の一つ。五行の金行のうち、陰の金をあらわす。自然界では、加工された金属製品、砂金・珠玉に例えられる。洗練された華やかな性質がある。
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