精選版 日本国語大辞典「ぽっと」の解説
ぽっ‐と
〘副〙
① 火、煙、においなどが急に立ちのぼるさまを表わす語。
※多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「箪笥を啓けると茀然(ポッ)と起つ麝香の香に」
② 日が射したり、光がともったりするさまを表わす語。
※婦系図(1907)〈泉鏡花〉前「ぽッと腰障子へ暖う春の日は当るが」
③ ある表情や様子やイメージなどが不意に、無意識に生じるさまを表わす語。
④ 急に、あまり考えもなく、ある行動などをするさまを表わす語。「田舎からぽっと出てくる」
⑤ 顔や体がほてったり、赤くなったりするさまを表わす語。
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春「沢(つや)の無い頬が仄(ポッ)と赤味を帯んで来た」
⑥ 自分を失うさまを表わす語。特に、異性に気をうばわれるさまについていう。
※歌謡・端唄部類(1858‐65)大津ゑかへうた「かた気の男もぽっとして」
⑦ 生活の苦労もなくぼんやりとしているさまを表わす語。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報