精選版 日本国語大辞典 「マグマ」の意味・読み・例文・類語
マグマ
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
岩漿(がんしょう)ともいう。地下(地球あるいは惑星の内部など)で形成された高温で溶融状態の岩石質物体。これが冷却固結してできたのが火成岩である。また、これが地上に噴出して形成されたものが火山である。マグマは液状の溶融体のみをさし、結晶を多量に含んだものは別の名称でよぼうという考え方もある。しかし、現実には純粋に液状のものとして地下から上昇してくるとは限らず、また冷却の過程で結晶が増加していくので、結晶を含めて広義で用いることが多い。このほか、「地下で発生した高温の流動性物体」という説明も可能である。デイサイト(石英安山岩)質の場合のように、ほとんど固体に近いような状態で地上に押し上げられてくる場合があるが、これもマグマとよぶことがある。
[矢島敏彦]
マグマの中にはほとんどあらゆる元素が含まれているが、そのなかでも多いものは酸素、ケイ素、アルミニウム、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リン、マンガン、水素などである。火山岩ではマグマが急冷してできたチルドマージンchilled margin(急冷周縁相)がマグマの組成を示すものと考えられている。マグマの中に含まれていた水分、二酸化炭素その他の揮発性成分は大部分空中あるいは周囲に放出される。そこで、岩石の分析値はそのままマグマの化学組成を示すものではない。逃げ去った揮発性成分を推定して元の組成を復原しなければならない。
揮発性成分としては炭素、硫黄(いおう)、フッ素、塩素などが含まれる。地域によっては、炭酸塩を主成分とするマグマ、硫化物を多量に含むマグマなどがある。地上に噴出するマグマの種類はさまざまであるが、地下で最初に発生するマグマの種類は限られていると考えられており、この親マグマのことを本源マグマとよぶ。おもな本源マグマは玄武岩質マグマ、花崗岩(かこうがん)質マグマであるが、このほかにも安山岩質マグマもあり、さらに、玄武岩質マグマにもソレアイト質のもの、アルカリ質のものなど、いくつかの系統があると推定されている。先カンブリア時代には超塩基性マグマも存在したらしい。
[矢島敏彦]
地下浅所でのマグマの温度はおおよそ650~1300℃の間である。マグマは地殻下部からマントル上部(地下数十~数百キロメートル)の深さで発生する。この深さの位置に地震波の速度が周辺より遅くなるところ(低速度層)があって、これがマグマ発生帯であるとされている。地下の温度の上昇とか、圧力の減少などによって部分溶融がおこりマグマが発生し、それが集まると、マグマの密度は周辺の岩石の密度よりわずかに低いので、浮力によって徐々に上方に向かって移動してゆくことになる。周囲の岩石の密度と同じところまでくると、マグマ溜(だま)りをつくる。マグマ溜りには地表近く(火山直下)に位置するものから、かなりの深所に位置するものまで、いくつかの種類のものがあるらしい。マグマ溜りの中で結晶化が進むと、未固結の部分の水などの揮発性成分の圧力が高くなり、ふたたび地上にマグマを押し上げようとする力が働く。マグマ溜り付近に働く広域的圧力(プレートを押す力)はマグマ上昇の引き金となる。マグマがさらに上昇して周辺の圧力が低下すると、揮発性成分が飽和して気相として分離して発泡することになる。マグマが発泡をおこすと体積が増大し、それが急激におこると噴火作用となる。マグマ発生のより巨視的原因としては、マントル内の圧力解放とマントル対流の上昇、マントル沈み込みの際の粘性摩擦熱、ホットスポットhot spotなどの熱源が考えられている。
[矢島敏彦]
『久城育夫・荒牧重雄編『岩波講座 地球科学3 地球の物質科学Ⅱ』(1978・岩波書店)』▽『横山泉・荒牧重雄・中村一明編『岩波講座 地球科学7 火山』(1979・岩波書店)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
岩漿(しょう)ともいう.天然に出現する溶融ケイ酸塩.地下深部には炭酸塩類を主体とするマグマも存在しうるとされる.その化学組成により,玄武岩マグマ,安山岩マグマ,流紋岩マグマなどに区別される.これらのうち,玄武岩マグマは分別結晶作用によって,より酸性な安山岩質,あるいは流紋岩質マグマを生成すると考えられている.玄武岩マグマはその組成にもとづいて,トレイ岩マグマ,アルカリ岩マグマ,および高アルミナ玄武岩マグマに分類されている.これら3種類の玄武岩マグマは,それぞれ本源マグマとよばれ,組成上ではトレイ岩,高アルミナ,アルカリ玄武岩マグマの順にアルカリの含量が多くなる.一般に,(Na2O + K2O)/SiO2比をパラメーターにとって区別される.玄武岩マグマの温度は1200 ℃ と推定され,酸性になるにつれ(SiO2の量が多くなることを意味する)マグマの温度は低下し,水蒸気圧が大きくなると考えられている.地下深部のマグマは多量の水を溶解しているが,マグマの上昇によって圧力が下がると,水は急激にマグマより放出され,脱ガス作用によって火山の噴火が起こるとされている.とくに安山岩質マグマの噴出ではこれが大きな噴火の要因とされる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
(井田喜明 東京大学名誉教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
…草津3万4240l/min,別府2万2200l/min,箱根1万8474l/min,熱海1万6290l/min,蔵王1万5000l/min,登別1万0390l/minなどが日本の湧出量の大きい温泉地である。プレート生産地帯ではマグマの生産量がプレート沈み込み地帯の数倍に達しているので,降水量や地質条件に恵まれていると大きな温泉湧出量を示すことになる。その好例がアイスランドである。…
…火成岩とは地下深部で発生するマグマが地表に噴出したり,あるいは地殻中に貫入し,冷却・固結して生じた岩石の総称である。マグマが地表に噴出して生じた火成岩を噴出岩または火山岩と呼ぶ。…
…マグマの発生からその上昇,冷却・固結にいたる間に,マグマによってひきおこされる現象の総称。火成作用は火山作用volcanismと深成作用plutonismに大別される。…
…晶出分化作用ともいう。化学組成の均一なマグマから化学組成の異なる種々の火成岩が生ずることをマグマの分化と呼ぶ。特に,結晶作用によって,もとのマグマとは異なる化学組成の岩石が生ずることを結晶分化作用という。…
※「マグマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
他の人にすすめること。また俗に、人にすすめたいほど気に入っている人や物。「推しの主演ドラマ」[補説]アイドルグループの中で最も応援しているメンバーを意味する語「推しメン」が流行したことから、多く、アイ...
11/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/26 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典を更新
10/19 デジタル大辞泉プラスを更新
10/19 デジタル大辞泉を更新
10/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新