広義では,公の機関が人民に対して一定の事項(作為・給付・受忍または不作為)を命ずること。このうち不作為を命ずるものをとくに〈禁止〉と呼ぶ。下命は,立法作用たる下命(例,納税義務の法定,銃砲刀剣類所持の一般的禁止),司法作用たる下命(例,民事判決による金銭支払の命令,刑事判決による刑の言渡し)および行政作用たる下命に区別することができる。行政法学上の概念としての狭義の下命は,行政作用たる下命,すなわち〈行政庁がある具体的な場合において人民に対し一定の事項を命ずる行為〉をいい,行政法学にいう〈行政行為〉の性質をもつ。たとえば消防法上の建物改修命令(作為下命),納税の告知(給付下命),健康診断の受診命令(受忍下命),営業停止の命令(不作為下命すなわち禁止)などがその例である。行政庁が下命をなしうるためには原則として法律または条例の根拠が必要である。下命は相手方を法的に拘束する点で,単なる勧告その他のいわゆる〈行政指導〉と区別される。下命に従わない者については,強制執行または何らかの制裁(刑罰その他)を加える旨が定められていることが多い。
執筆者:小早川 光郎
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[行政行為の内容と効果]
以上の意味において,行政行為とは行政庁の種々の行為を包括する抽象概念であるが,具体的にみると,行政行為の内容としては次のようなものがありうる。(1)〈下命〉および〈禁止〉 人に一定の行動(作為,不作為,給付,受忍)を命ずることを下命,そのうちとくに不作為を命ずることを禁止という。行政行為による下命,禁止の例として,道路交通法に基づく違法駐車車両の移動命令,道路標識による通行禁止等がある。…
※「下命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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