伸す(読み)ノス

デジタル大辞泉 「伸す」の意味・読み・例文・類語

の・す【伸す】

[動サ五(四)]

㋐伸びる。伸びひろがる。「枝葉四方へ―・す」
㋑他をおさえて地位などがあがる。勢力などが発展する。「急速に―・してきた企業」
㋒さらに遠くまで行く。足を伸ばす。「新潟へ行ったついでに佐渡まで―・す」
㋓釣りで、掛かった魚が釣り糸を強く引き込む。「大物に―・される」

㋐曲がったところを伸ばしてまっすぐにする。「腰を―・す」
㋑たたんであるものを広げる。
「小ぶりな蠅が…日向へおりて羽を―・したり」〈里見弴・今年竹〉
㋒均等に力を加えて、物を伸ばし広げる。「餅を―・す」「麺棒めんぼうで―・す」
㋓(「熨す」とも書く)アイロン・こてなどで熱を加えてしわなどを伸ばし、平らにする。「しわを―・す」
㋔勢い・力を伸ばす。発展させる。「勢力を―・す」
㋕なぐり倒す。うちのめす。のばす。「生意気だから―・してしまえ」
[可能]のせる
[類語](2)㋒ぺしゃんこぺちゃんこぐしゃっとぐしゃりぐちゃりぐちゃぐちゃぐしゃぐしゃぺらぺら薄っぺら平たい平べったいぺったんこぺたんこ潰す押し潰す踏み潰す叩き潰すひねり潰す/㋕殴る打つ叩くぶつ小突くひっぱたく叩きのめす打ち据えるぶん殴る殴り飛ばす殴りつける張る食らわすはたく噛ますぶち噛ますぶっ叩く張り飛ばす張り倒すぶちのめすぶっ潰す殴打する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「伸す」の意味・読み・例文・類語

の・す【伸・熨】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行五(四) 〙
    1. のびていく。のびてひろがる。
    2. 地位が進む。身代がゆたかになる。勢力・規模などが発展する。
      1. [初出の実例]「宗旨を立す可き人は堪忍精がなくては浅根劣器の者の未だのしたと云事無いぞ」(出典:巨海代抄(1586‐99)上)
    3. 遠くまで行く。また、ある所からさらに遠くまで行く。
      1. [初出の実例]「今日はまだ山の手へのさねへきゃアなりません」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)二)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
    1. しわやちぢみをのばして平らにする。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
      1. [初出の実例]「さばかりのしつれどもかみのたばいまだなほらず」(出典:あさぢが露(13C後))
    2. 折れ曲がったものを真っ直ぐにのばす。また、たたまれたものを大きくひろげる。
      1. [初出の実例]「セヲ nosu(ノス)〈略〉コシヲ nosu(ノス)」(出典日葡辞書(1603‐04))
    3. 勢力や規模などを発展させる。
      1. [初出の実例]「しかし、折角、こっちのはうで、これだけのして来てるのに惜しいやらう」(出典:受胎(1947)〈井上友一郎〉)
    4. なぐって倒す。また、気絶させる。
      1. [初出の実例]「のせ! のしちまへ!」(出典:蟹工船(1929)〈小林多喜二〉一〇)

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