デジタル大辞泉
「打つ」の意味・読み・例文・類語
う・つ【打つ】
[動タ五(四)]
1 物を他の物に向けて強く当てる。
㋐たたく。ぶつ。「平手で―・つ」「滝に―・たれる」
㋑勢いよくぶつける。「後頭部を強く―・つ」
㋒たたいて鳴らす。打ち合わせて、音を立てる。「柱時計が一二時を―・った」「太鼓を―・つ」
㋓たたいて移動させる。当てて飛ばす。「ホームランを―・つ」
㋔強く刺激する。「鼻を―・つ消毒薬のにおい」
㋕心に強い感動を与える。「雄渾な筆致が読者を―・つ」
2 (1のようにして)物事をしたり、物を作ったりする。
㋐鍬などで耕す。「田を―・つ」
㋑たたいて、平たくのばしたり、鍛えたりして作る。「そばを―・つ」「箔を―・つ」「太刀を―・つ」
㋒キーをたたいて信号を送る。発信する。また、印字する。「電報を―・つ」「タイプを―・つ」「携帯でメールを―・つ」
㋓布・綿・わらなどをたたいて、つやを出したり、やわらかくしたりする。「わらを―・つ」
3
㋐広がるように投げる。「投網を―・つ」
㋑まいて散らす。まきかける。「庭に水を―・つ」
㋒目標めがけて投げる。「つぶてを―・つ」
4 (1のようにして)しっかりと取り付ける。
㋐たたいて、中へ入れ込む。「くいを―・つ」「梁を―・つ」
㋑さし入れる。突きさす。「鍼を―・つ」「注射を―・つ」
㋒付け留めて高く掲げる。「高札を―・つ」
㋓しるしをつける。「目盛りを―・つ」「読点を―・つ」
㋔しっかりと全体に張る。「掛け軸の裏を―・つ」
㋕ひも・糸などを組み合わせて、よる。「緒を―・つ」
㋖縄で縛る。縄をかける。「縄を―・たれた罪人」
5 ある事を行う。
㋐相撲・芝居などの興行をする。「芝居を―・つ」
㋑碁・ばくちなど、勝負事をする。「ばくちを―・つ」
㋒手段・方策を施す。「ストを―・つ」「手金を―・つ」「逃げを―・つ」
㋓そのような動作をする。「寝返りを―・つ」
㋔参拝をする。また、巡礼をする。「西国を―・つ」
6 動きが規則正しく繰り返される。「磯―・つ波」「脈―・つ」
7 火打ち石を強くぶつけて火をだす。
「をりをりに―・ちて焚く火の煙あらば心ざす香をしのべとぞ思ふ」〈貫之集〉
8 《鞭でたたくところから》馬を走らせる。
「佐々木判官時信は一里計り引きさがりて、三百余騎にて―・ちけるが」〈太平記・九〉
9 幕などを張る。
「生田の川のつらに、女、平張りを―・ちてゐにけり」〈大和・一四七〉
[可能]うてる
[動タ下二]《「打たれる」意から》
1 負ける。圧倒される。
「ことの葉は強く見ゆれどすまひ草露には―・つるものにざりける」〈源順集〉
2 誓いを守らず神仏の罰を受ける。
「いかに和僧、起請には―・てたるぞ」〈平家・一二〉
3 承服できる。合点がいく。
「小気味の悪い女郎ぢゃと、さすがの武士も―・てぬ顔」〈浄・天の網島〉
[補説]江戸時代には「うてる」という下一段形も行われた。
[用法]うつ・たたく――ほぼ同様の動作を表すが、「打つ」は「合図の太鼓を打つ」「時の鐘を打つ」「釘を打つ」のように、意志的な動作に重点をおいて用いられる場合がある。◇「たたく」は動作そのものを示す。「ボールをたたく」といえば、「打つ」よりも打撃の姿、勢いなどを想起させる。また、「太鼓をたたく」「鉦をたたいて経を読む」など、繰り返し打ち続けることをいうことが多い。◇類義語の「殴る」は怒り・興奮などの感情を込めて強く打つ場合に用いる。「ぶつ」もほぼ同じだが、「殴る」にくらべて、怒り・興奮は浅く、打つ力も弱い。「そんなにぶたないでよ」のような用法もあり、この場合「殴る」に置き換えることはできない。◇「はたく」は、平たいもので打つ感じが強く、払いのけるような動作を伴うことが多い。「ほこりをはたく」「蠅をはたく」などと用いる。
[類語]叩く・殴る・ぶつ・小突く・ひっぱたく・叩きのめす・打ち据える・ぶん殴る・殴り飛ばす・殴りつける・張る・食らわす・はたく・噛ます・ぶち噛ます・ぶっ叩く・張り飛ばす・張り倒す・伸す・ぶちのめす・ぶっ潰す・殴打する
ぶっ【▽打っ】
[接頭]《接頭語「ぶち」の音変化》動詞に付いて、その動詞の示す動作・作用を強める意を表す。「打っとばす」「打ったまげる」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ぶ・つ【打・撃・撲】
- 〘 他動詞 タ行五(四) 〙
- ① たたく。なぐる。また、からだを物に強く打ちつける。うつ。
- [初出の実例]「真額をぶてば、なまくら物は鍋の釣の様になるべい」(出典:雑兵物語(1683頃)上)
- 「三ちゃんを何故ぶつ」(出典:たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉五)
- ② 博打をする。賭事(かけごと)をする。うつ。
- [初出の実例]「ぶつに買愛想こそうつきたどら」(出典:雑俳・柳多留‐四(1769))
- ③ (時計が打って)時をしらせる。うつ。
- [初出の実例]「モウ起きなさいよ、十一時が打(ブ)ったから」(出典:菊池君(1908)〈石川啄木〉三)
- ④ 発射する。うつ。
- [初出の実例]「鉄砲を打(ブ)たなけりゃア乃公が殺される所だ」(出典:塩原多助一代記(1885)〈三遊亭円朝〉二)
- ⑤ 語る・演説する意を強めていう。「一席ぶつ」
- [初出の実例]「それぢゃ一つ芝居演(ブ)つこと連中(みんな)と相談打(ブ)つべエー」(出典:落語・田舎芝居(1899)〈六代目桂文治〉)
打つの語誌
( 1 )「うつ」の強調形ととらえることができ、「うつ」に比して口頭語的である。
( 2 )「ぶつ」が文献に現われるのは、一七世紀後半であるが、接頭語としてはそれより早く、「ぶっきり」という例が「申楽談義」にみえる。
( 3 )東国方言的要素の強いといわれる「雑兵物語」に多数の例がみられるが、近松の浄瑠璃や「狂言記」等にも用例がみられ、東国語に限らず庶民の間で使用されたものと考えられる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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うつ【打つ】
そば・うどんなどの麺を作ること。穀類の粉を水でこね、薄くのばして細長く切ったり、製麺機を用いたりして、麺の形状にする。
出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報
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