普及版 字通 「冊(漢字)」の読み・字形・画数・意味
冊
常用漢字 5画
(旧字)册
5画
(異体字)
11画
[字訓] ふみ・かきもの
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
初形は木をならべてうちこんだ柵の形で、柵の初文。古くは柵(さく)の音でよみ、犠牲を養う牢閑の両扉の形。金文の図象に、両扉の間に牲獣の形を加えたものがある。また策の意に用い、卜辞や金文にみえる作冊(さくさく)はのちの作策、冊命(さくめい)は策命にあたる。冊を編簡の形とみて、のち書冊の意となり、その声義を以て用いられるようになった。〔説文〕二下に字形を「其の札、一長一短、中に二有るの形に象る」というが、編簡の形に長短があるはずはない。また「冊は符命(天命のしるし)なり。侯んで王より受くるものなり」とは、策命の意であろう。書冊とは声義ともに異なる用法であるが、のち冊を册・冊(策)の両字に用いる。
[訓義]
1. ふみ、かきもの、書冊、書冊を数える単位。
2. 策の初文、勅書、勅命。
3. はかりごと。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕冊 カシヅク・エラブ 〔立〕冊 シルス・ヨシ・エラブ・フダ・カシヅク・カク
[部首]
〔説文〕に嗣・の二字をこの部に属し、〔玉〕になお(れい)に従う字を加える。嗣は司と冊とに従い、司は嗣の初文。金文に司・嗣を嗣続の意に用いる。冊は冊(策)祝・冊(策)告、すなわち祝詞・策命を示す字とみてよい。
[声系]
〔説文〕に冊声として(さく)・柵の二字を収める。は冊祝・冊告の意を以て曰(えつ)を加えたもので、〔説文〕五上に「ぐるなり」と訓し、卜文にもみえる。卜辞では、犠牲の数を神に告げ、あらかじめ修祓を加える意に用いる。柵は冊の形声字である。
[語系]
冊(策・筴)・柵tshekは同声。冊(册)は簡札・編簡の意。冊と册()tshekとはもと意象の異なる字であるが、のち通用する。
[熟語]
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[下接語]
易冊・合冊・簡冊・挟冊・玉冊・啓冊・顕冊・手冊・祝冊・書冊・小冊・詔冊・草冊・大冊・丹冊・短冊・竹冊・典冊・納冊・分冊・秉冊・編冊・奉冊・封冊・優冊・礼冊・綸冊
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報