(読み)サツ

デジタル大辞泉 「冊」の意味・読み・例文・類語

さつ【冊】[漢字項目]

[音]サツ(慣) サク(漢)
学習漢字]6年
〈サツ〉書物文書。「冊子書冊大冊分冊別冊
〈サク〉
書き付けのふだ。「短冊たんざく
天子が下す任命書。「冊立封冊ほうさく
[名のり]とみ・ふみ
[難読]冊子そうし

さく【冊】

昔、中国で天子が諸侯領地爵位を授けるとき、また、立后・立太子などの祭事に下したみことのり

さつ【冊】

[接尾]助数詞。書物などを数えるのに用いる。「雑誌二、三

さく【冊】[漢字項目]

さつ

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精選版 日本国語大辞典 「冊」の意味・読み・例文・類語

さつ【冊】

  1. ( 「さつ」は「冊」の慣用音 )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙 冊子。書物。
    1. [初出の実例]「是よりさき春廼舎氏始めて書生気質を出板するに冊を分ち雑誌風に発兌せしより」(出典:筆まかせ(1884‐92)〈正岡子規〉一)
  3. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 書物などを数えるのに用いる。
    1. [初出の実例]「甚だ美麗なる書籍一冊を得たり」(出典:尋常小学読本(1887)〈文部省〉六)

さく【冊】

  1. 〘 名詞 〙 昔、中国で天子が諸侯に爵位や封祿を授けるとき、また、立后、立太子などのときに下す詔勅。また、その文体。
    1. [初出の実例]「茲れ自り已降、空しく事を書す冊(サク)(〈別訓〉ふだ)を伝ふ」(出典:大唐西域記長寛元年点(1163)一)
    2. [その他の文献]〔釈名‐釈書契〕

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普及版 字通 「冊」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

(旧字)册
5画

(異体字)
11画

[字音] サツ・サク
[字訓] ふみ・かきもの

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
初形は木をならべてうちこんだ柵の形で、柵の初文。古くは柵(さく)の音でよみ、犠牲を養う牢閑の両扉の形。金文の図象に、両扉の間に牲獣の形を加えたものがある。また策の意に用い、卜辞や金文にみえる作冊(さくさく)はのちの作策、冊命(さくめい)は策命にあたる。冊を編簡の形とみて、のち書冊の意となり、その声義を以て用いられるようになった。〔説文〕二下字形を「其の札、一長一短、中に二有るの形に象る」というが、編簡の形に長短があるはずはない。また「冊は符命(天命しるし)なり。んで王より受くるものなり」とは、策命の意であろう。書冊とは声義ともに異なる用法であるが、のち冊を册・冊(策)の両字に用いる。

[訓義]
1. ふみ、かきもの、書冊、書冊を数える単位。
2. 策の初文、勅書、勅命。
3. はかりごと。

[古辞書の訓]
名義抄〕冊 カシヅク・エラブ 〔立〕冊 シルス・ヨシ・エラブ・フダ・カシヅク・カク

[部首]
〔説文〕に嗣・の二字をこの部に属し、〔玉〕になお(れい)に従う字を加える。嗣は司と冊とに従い、司は嗣の初文。金文に司・嗣を嗣続の意に用いる。冊は冊(策)祝・冊(策)告、すなわち祝詞・策命を示す字とみてよい。

[声系]
〔説文〕に冊声として(さく)・柵の二字を収める。は冊祝・冊告の意を以て曰(えつ)を加えたもので、〔説文〕五上に「ぐるなり」と訓し、卜文にもみえる。卜辞では、犠牲の数を神に告げ、あらかじめ修祓を加える意に用いる。柵は冊の形声字である。

[語系]
冊(策・筴)・柵tshekは同声。冊(册)は簡札・編簡の意。冊と册()tshekとはもと意象の異なる字であるが、のち通用する。語彙は策字条参照。

[熟語]
冊印・冊格・冊建・冊功冊匣冊誥・冊授・冊祝・冊書・冊奏冊拝・冊妃・冊府・冊文・冊宝冊封・冊命・冊名冊免・冊立・冊礼・冊案・冊勲・冊後・冊子・冊籍・冊贈・冊単・冊暦
[下接語]
易冊・合冊・簡冊・挟冊・玉冊・啓冊・顕冊・手冊・祝冊・書冊・小冊・詔冊・草冊・大冊・丹冊・短冊・竹冊・典冊・納冊・分冊・秉冊・編冊・奉冊・封冊・優冊・礼冊・綸冊

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【簡牘】より

…この1枚には1行で40字,2行で80字程度の文字が収まり,それ以上の長文になると,簡牘を並べてすだれのように麻や皮の紐でつなぎ合わす方法がとられた。これを冊とよぶ。そのほか形では長さ2尺のものを檄(げき),3尺を槧(ざん),多面体のものを觚(こ)といい,また用途に応じて符(証明書)とか(けい)(付け札)といった呼称があった。…

※「冊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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