捧げる(読み)ササゲル

デジタル大辞泉 「捧げる」の意味・読み・例文・類語

ささ・げる【×捧げる】

[動ガ下一][文]ささ・ぐ[ガ下二]《「さしあぐ」の音変化》
両手に持って目の高さより上にあげる。「優勝カップを高々と―・げる」「賞状を―・げてうしろにさがる」
慎みの心をもって、神仏目上の人などに物をさし出す。たてまつる。献上する。「神前五穀を―・げる」「この小著を亡き母に―・げます」
まごころ愛情を示して相手に尽くす。「戦没者の霊に黙祷もくとうを―・げる」「変わらぬ愛を―・げる」
自分の持つすべてを惜しみなくある対象につぎこむ。「伝染病研究に一生を―・げる」
高くあげる。
つばくらめ子産まむとするときは、尾を―・げて七度めぐりてなむ産み落とすめる」〈竹取
高い大きな声を出す。
「おとど御声を―・げて泣きののしり給へど」〈栄花・本の雫〉
[類語](1持つとる握る携える捧げ持つ手にする/(2供える献ずる奉る差し上げる貢ぐ奉ずる奉奠/(3ボランタリー自発的公共心公徳心犠牲犠牲的サービス献身献身的挺身ていしん捨て石利他利他心志願慈善篤志有志殉ずるボランティア奉仕奉公寄与貢献裨益ひえき尽力尽くす骨身を惜しまず粉骨砕身身をにする身を削る骨身を削る命をささげるケアアフターケア篤志家

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「捧げる」の意味・読み・例文・類語

ささ・げる【捧・&JISEAFA;】

  1. 〘 他動詞 ガ下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ささ・ぐ 〘 他動詞 ガ下二段活用 〙 ( 「さしあげる」の変化した語 )
  2. 両手にもち、目の高さ近くまで上げる。
    1. [初出の実例]「吾が背子が捧(ささげ)て持てるほほがしはあたかも似るか青き蓋(きぬがさ)」(出典万葉集(8C後)一九・四二〇四)
    2. 「主の頭中将、さかづきささげて御台まゐる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)
  3. 上へ高くあげる。高くさしあげる。かかげる。
    1. [初出の実例]「此の尼拘律の樹は手を挙(ササクレ)ば頭に及べりき」(出典:小川本願経四分律平安初期点(810頃))
  4. ( から ) 得意になって見せびらかす。誇示する。
    1. [初出の実例]「人としてわが誉(ほまれ)をささぐる時は、人の憎みをかうむりて」(出典:仮名草子・伊曾保物語(1639頃)下)
  5. 神仏、あるいは死者供物をたてまつったり、祈ったりする。供える。
    1. [初出の実例]「釈迦(さか)の御足跡(みあと)(いは)に写し置き敬ひて後の仏に譲りまつらむ 佐々義(ササゲ)まうさむ」(出典:仏足石歌(753頃))
    2. 「泣く泣く祈りを捧げたのぢゃ」(出典:奉教人の死(1918)〈芥川龍之介〉一)
  6. 目下の者から目上の者へ物をたてまつる。献上する。献納する。
    1. [初出の実例]「庭に顛仆(たふ)れて、擎(ササケ)る所の饌(みつけもの)を覆(こほ)しつ」(出典:日本書紀(720)雄略一二年一〇月(図書寮本訓))
  7. 高い大きな声を出す。声をはりあげる。
    1. [初出の実例]「御声をささげて泣きののしり給へど」(出典:栄花物語(1028‐92頃)もとのしづく)
  8. 自分の真心や愛情、大切なものなどを相手に示し、さし出す。相手に尽くす。また、自分の持っている力を対象にすべてそそぐ。
    1. [初出の実例]「晩年を社会事業に捧げてゐた」(出典:脱出(1935)〈福田清人〉一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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