渋い(読み)シブイ

デジタル大辞泉 「渋い」の意味・読み・例文・類語

しぶ・い【渋い】

[形][文]しぶ・し[ク]
渋柿を食べたときなどの、舌がしびれるような味である。「―・いお茶
はででなく落ち着いた趣がある。じみであるが味わい深い。「―・い声」「―・い色のネクタイ」「目の付け所が―・い」
不愉快そうな、または、不満そうなようすである。「―・い顔をする」
金品を出すのを嫌がるようである。けちである。「―・い客」
動きが滑らかでない。「湿気ふすまが―・くなる」
[派生]しぶさ[名]
[類語](1苦いほろ苦い渋み苦み苦味くみえぐいえがらっぽいいがらっぽいえがらいえぐみビター/(4けち吝嗇りんしょくしみったれしわいしょっぱい細かいみみっちい貧乏臭い貧乏たらしいいじましいさもしい卑しいせこい陋劣ろうれつけちけちけち臭い世知辛いこすい安っぽい安手ちゃちみすぼらしいぼろい貧相貧弱むさくるしい所帯染みる(けちな人)けちん坊しわん坊握り屋締まり屋吝嗇漢守銭奴しゅせんど倹約家始末屋

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精選版 日本国語大辞典 「渋い」の意味・読み・例文・類語

しぶ・い【渋】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]しぶ・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 渋柿をかじったような、舌をしびれさせるような味である。
    1. [初出の実例]「苦く渋(シフク)して滋き味無けむ」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)八)
    2. 「さればこそしぶいが一定じゃ、そうじてしぶがきをくふては、うそがふかれぬと聞及ふだが誠じゃよ」(出典:虎明本狂言・合柿(室町末‐近世初))
  3. 声などがなめらかでない。ぎこちない。
    1. [初出の実例]「鶯の声またしぶく聞ゆなりすだちのをのの春のあけぼの」(出典:按納言集(1186‐87頃))
  4. 金を出すのをいやがるさまである。けちである。吝(しわ)い。
    1. [初出の実例]「さし鯖や渋き舅の酒きげん」(出典:俳諧・葎亭句集(1801)四)
  5. 華美でなく、地味で落ち着いた趣がある。落ち着いた深い味わいがある。くすんでいて美しい。
    1. [初出の実例]「人間も霜がかかると渋く成り」(出典:雑俳・柳多留‐一二三(1833))
    2. 「二上りの極渋(シブ)い元歌だ一番もうかるぜ」(出典:西洋道中膝栗毛(1874‐76)〈総生寛〉一二)
  6. 不平そうである。にがりきった表情である。不機嫌そうである。
    1. [初出の実例]「食へなんだ柿の銭払うた、しぶい顔して」(出典:咄本・新板一口ばなし(1839)三)
    2. 「主人の顔は渋い」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉三)
  7. 物がなめらかに動かない。
    1. [初出の実例]「車廂穏かなるも、転輪の猶渋きを覚ふなり」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)

渋いの派生語

しぶ‐がる
  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙

渋いの派生語

しぶ‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

渋いの派生語

しぶ‐さ
  1. 〘 名詞 〙

渋いの派生語

しぶ‐み
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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