(読み)カン

デジタル大辞泉 「監」の意味・読み・例文・類語

かん【監】[漢字項目]

常用漢字] [音]カン(漢) ケン(呉)
〈カン〉
見張る。取り締まる。「監禁監査監察監視監修監督
取り締まる役目・役人。「学監舎監総監統監
囚人を閉じこめておく所。「監獄監房収監未決監
〈ケン〉2に同じ。「監物けんもつ将監しょうげん
[名のり]あき・あきら・かね・ただ・てる・み
[難読]将監じょう軍監じょう

げん【監】

奈良時代、離宮の置かれた、畿内特別行政区芳野監和泉監の二監があった。
大宰府の第三等官。

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精選版 日本国語大辞典 「監」の意味・読み・例文・類語

げん【監】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 奈良時代、大和国と河内国に置かれた特別行政区。離宮の所在地で芳野監(よしののげん)と和泉監(いずみのげん)とがあった。のちに二監とも大和国、河内国に合併され、また和泉国として分立した。
    1. [初出の実例]「始置和泉監焉」(出典:続日本紀‐霊亀二年(716)四月甲子)
  3. 大宰府の判官(じょう)。大・少がある。大監は正六位下、少監は従六位相当で定員は各二員。
    1. [初出の実例]「まれまれのはらからはこのげむにおなじ心ならずとて仲たがひにたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)

かん【監】

  1. 〘 名詞 〙 監獄。刑務所
    1. [初出の実例]「この監には碌な奴は居ません」(出典:雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉上)

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普及版 字通 「監」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

[字音] カン
[字訓] かがみ・みる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
臥(が)+皿(べい)。臥は人が臥して下方を視る形。皿は盤。盤水に臨んでその姿を映す意で、いわゆる水鏡(みずかがみ)。すなわち鑑の初文。〔説文〕八上に「下に臨むなり。臥に從ひ、(かん)の省聲」とするが、下は水盤の形。〔詩、小雅、節南山〕「何を以て監(かんが)みざる」、〔詩、大雅、烝民〕「天、を監る」のように用いる。金文に「監(かんし)」(監司)という語があり、もと天より監臨することをいう。〔呉王夫差鑑〕に「自ら監を作る」とあり、鑑(水鏡)をいう。

[訓義]
1. かがみ。
2. かがみにうつす、上からみる、のぞみみる。
3. みる、みはる、めつけ、めつけの役人。
4. 監獄、牢。

[声系]
〔説文〕に監声として(藍)・籃・檻・襤・覽(覧)・濫・鹽(塩)・・鑑など十五字を収める。その音は覽・檻の二系に分かれるが、監の語頭子音に古くkl-のように二系に分化する音があったのであろう。

[語系]
監・鑑keamと(鏡)kyang、光kuang、景kyang、影yangは、それぞれ系列をなし、声義に通じるところがある。

[熟語]
監印監閲監戒・監観監羈・監禁・監護・監軍・監郡・監決・監言・監故監侯・監国・監獄・監査・監察・監史・監司・監市・監視・監試・監寺監事・監者・監守・監収監脩・監書監燭・監生・監・監送・監倉・監卒監択・監治・監中・監定・監典・監奴監統・監・監督・監犯監寐監撫監斃監謗・監房・監本・監門・監吏・監領・監臨
[下接語]
阿監・医監・技監・宮監・軍監・監・三監・司監・寺監・酒監・収監・丞監・総監・太監・台監・天監・都監・統監・入監・馬監・秘監・牧監・冶監・立監・臨監・老監

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【牢屋】より

…近代以降の牢屋すなわち監獄(刑務所)とは,懲役刑,禁錮刑を宣告された犯罪者が身体を拘束される場所を意味するが,その目的や機能には(1)犯罪者の自由を剝奪するという社会的制裁,(2)有益な労働を行わせて犯罪者の社会復帰に備えさせるという矯正の役割,(3)社会秩序を保つため社会の危険人物を隔離する役割,などがある。しかし,牢屋は人間の歴史とともに存在しており,その機能および社会的存在理由は,時代や諸地域の社会の進展とともに大きく変化し,当初から以上のようなものではなかった。…

【珍努宮】より

…智努離宮,和泉宮とも記す。《続日本紀》の霊亀2年(716)3月条に〈河内国の和泉・日根両郡を割(さ)き珍努宮に供せしむ(造営の人夫と費用を出させる)〉,同4月条に〈大鳥・和泉・日根三郡を割き和泉監(げん)を置く〉とあり,これまで三郡は河内国に含まれていた。監は,普通の国がもつ行政任務以外に離宮警衛の務も兼ねる管区(または役所)をさし,例に芳野監(よしのげん)があり,避暑用の芳(吉)野離宮(吉野宮)を管内に擁した。…

※「監」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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