蛇(読み)ヘビ

デジタル大辞泉 「蛇」の意味・読み・例文・類語

へび【蛇】

《「へみ」の音変化》有鱗ゆうりん目ヘビ亜目の爬虫はちゅう類の総称。体は円筒形で細長く、四肢を欠く。全身うろこにおおわれ、腹部のうろこを起伏させながら体をくねらせて進む。舌は先が二つに分かれ、空気の振動やにおい、温度差を感じ取る。目は1枚の膜に覆われ、まぶたは固着していて動かない。卵生または卵胎生。カエル・ネズミ・小鳥や鳥の卵を捕り、丸飲みする。アオダイショウなど無毒のもの、マムシ・ハブなど有毒のものがある。南極を除く各大陸に広く分布するが、熱帯・亜熱帯に多い。一般に、執念深いなどとして人に嫌われるが、神の使いなどともされる。くちなわ。ながむし。かがち。《季 夏》「―逃げて我を見し眼の草に残る/虚子」
[類語]蛇くちなわ・長虫・大蛇だいじゃ・大蛇おろち・うわばみ・毒蛇・錦蛇・青大将・縞蛇・ヤマカガシ・がらがら蛇・蝮・波布・コブラ・海蛇・盲蛇

じゃ【蛇】[漢字項目]

[常用漢字] [音]ジャ(呉) ダ(慣) [訓]へび くちなわ
〈ジャ〉
1 へび。「蛇身/大蛇・毒蛇」
2 へびの形に似たもの。「蛇口じゃぐち・蛇腹じゃばら」
〈ダ〉へび。「蛇蝎だかつ・蛇行・蛇足/長蛇・竜頭蛇尾」
〈へび〉「海蛇・毒蛇・錦蛇にしきへび」
[難読]蟒蛇うわばみ・大蛇おろち・赤楝蛇やまかがし

くち‐なわ〔‐なは〕【▽蛇】

《形が朽ちた縄に似ているところから》ヘビの別名。《季 夏》
[類語]蛇・長虫・大蛇だいじゃ・大蛇おろち・うわばみ・毒蛇・錦蛇・青大将・縞蛇・ヤマカガシ・がらがら蛇・蝮・波布・コブラ・海蛇・盲蛇

へみ【▽蛇】

「へび(蛇)」に同じ。
「四つの―五つの鬼ものの集まれる穢きたなき身をば」〈仏足石歌〉

じゃ【蛇】

1 大きなヘビの総称。おろち。うわばみ。「鬼が住むか蛇が住むか」
2 《「蛇之助」の略》大酒飲み。酒豪。
「どちらへ似ても―の子孫」〈浄・淀鯉〉

だ【蛇】[漢字項目]

⇒じゃ

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関連語 徒然草

精選版 日本国語大辞典 「蛇」の意味・読み・例文・類語

じゃ【蛇】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 大きなヘビの総称。また、古代中国の想像上の動物。龍に似て、手足がない。おろち。うわばみ。大蛇。だ。
    1. [初出の実例]「釈迦仏(さかほとけ)、道をおはしけるに、黄金(こがね)を多く埋みたるを御らんじて、そのじゃの上な踏みそと仰せられければ」(出典:古本説話集(1130頃か)五五)
    2. [その他の文献]〔詩経‐小雅・斯干〕
  3. ② 富士権現で土産として売っている麦わらのへビ。
    1. 蛇<b>②</b>〈駿河舞〉
      蛇②〈駿河舞〉
    2. [初出の実例]「みやげに買った蛇の舌でうそを付」(出典:雑俳・川傍柳(1780‐83)四)
  4. ③ 大酒飲みをいう。酒豪。大酒家。蛇之助(じゃのすけ)。うわばみ。
    1. [初出の実例]「親茂庵といふたも命を酒にかへられた、鯉殿の母ごぜももとはここにつとめた人、どちらへにても蛇(ジャ)のしそん」(出典:浄瑠璃・淀鯉出世滝徳(1709頃)上)
  5. ④ 取引市場付近で仲買人などによって行なわれる賭博の一つ。数枚の銅貨をかさね、一番下の銅貨の裏表にかけるもの。〔取引所用語字彙(1917)〕

へび【蛇】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 爬虫類有鱗(ゆうりん)目ヘビ亜目に属する動物の総称。体は細長い円筒形で、縄状を呈する。体表は小鱗でおおわれ、四肢は退化・消失している。口は大きく開き、きわめて大きな獲物でも飲みこむ。舌は細長く、先端は二またに分かれる。腹面のうろこは前進運動をたすける。口内に毒牙を持つもの(毒ヘビ)もあり、人畜に被害を与える。シマヘビ、アオダイショウ、ニシキヘビ、マムシ、コブラ、ハブなど。へみ。くちなわ。ながむし。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「大なる蛇(ヘビ)はひ出て、重盛の右の膝の下へはい入けり」(出典:源平盛衰記(14C前)一四)
  3. ② ( 比喩的に ) 執念深いこと。また、その人。

蛇の補助注記

上代には「へみ」と呼ばれていたが、平安時代に「くちなは」が現われ、「へみ」と共存した。


くち‐なわ‥なは【蛇】

  1. 〘 名詞 〙 「へび(蛇)」の異名。《 季語・夏 》 〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「大きなるくちなは、数もしらずこりあつまりたる塚ありけり」(出典:徒然草(1331頃)二〇七)

蛇の語誌

平安時代には「へみ」とともに無毒の蛇の総称であった。「へみ」はすでに「仏足石歌」などの資料に見えるが、「くちなは」は平安以降の和文脈で用いられることが多い。


へみ【蛇】

  1. 〘 名詞 〙 =へび(蛇)①《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「四つの閇美(ヘミ)五つの鬼(もの)の 集まれる穢(きたな)き身をば 厭(いと)ひ捨つべし 離れ捨つべし」(出典:仏足石歌(753頃))

だ【蛇】

  1. 〘 名詞 〙 ヘビ。じゃ。
    1. [初出の実例]「繊(ほそ)き蛇(ダ)の」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一七)

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普及版 字通 「蛇」の読み・字形・画数・意味

蛇
常用漢字 11画

(異体字)
9画

[字音] ジャ・ダ・イ
[字訓] へび

[説文解字]

[字形] 形声
声符は它(た)。它は蛇の象形。蛇はその形声の字。〔説文〕十三下に它を正字として「虫なり」とし、重文として蛇の字形を録している。它はのち他などの意に用いられ、它・蛇の字が区別されるようになった。他・池の従う也(い)も蛇形。蝎(さそり)と合わせて蛇蝎(だかつ)という。

[訓義]
1. へび、くちなわ、ながむし。
2. 委蛇は、うねりゆくさま。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕蛇 倍美(へみ)、一名、久知奈波(くちなは)、日本紀私記に云ふ、、乎路知(をろち)〔名義抄〕委蛇 ウルハシ 〔字鏡集〕蛇 ヘビ・クチナハ・ハミ・ヲロチ

[部首]
蛇の正字它を〔説文〕に部首とし、蛇はその異文。〔玉〕に(ち)の異文としてを録している。

[声系]
〔説文〕に它声として詑・佗・沱・鉈など九字を収めている。它にまるくわだかまる形の意がある。

[語系]
蛇()djyai、它thaiはもと同字であるが、区別して用いられるに及んで声にも少異を生じた。佗(駄)・駝daiは荷駄を負う意。蛇がまるく身を巻くことから、その形に類したものを它声を以てよぶ。

[熟語]
蛇蛇▶・蛇医▶・蛇蜴▶・蛇解▶・蛇殻▶・蛇蝎▶・蛇▶・蛇亀▶・蛇魚▶・蛇筋▶・蛇穴▶・蛇結▶・蛇交▶・蛇虹▶・蛇行▶・蛇豕▶・蛇師▶・蛇珠▶・蛇章▶・蛇蛻▶・蛇祖▶・蛇足▶・蛇頭▶・蛇年▶・蛇婆▶・蛇皮▶・蛇▶・蛇腹▶・蛇蝮▶・蛇竜▶
[下接語]
委蛇・逶蛇・角蛇・蛇・亀蛇・巨蛇・懸蛇・玄蛇・交蛇・黄蛇・蛟蛇・鉤蛇・斬蛇・珥蛇・修蛇・神蛇・青蛇・双蛇・走蛇・操蛇・戴蛇・大蛇・断蛇・蟄蛇・長蛇・蛇・闘蛇・毒蛇・巴蛇・白蛇・盤蛇・蝮蛇・文蛇・捕蛇・両蛇・竜蛇・弄蛇

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世界大百科事典(旧版)内の蛇の言及

【能面】より

…ほかに阿形では天神,黒髭(くろひげ),顰(しかみ),獅子口など,吽形では熊坂(くまさか)がある。能面の鬼類では女性に属する蛇や般若,橋姫,山姥(やまんば)などのあることが特筆される。(3)は年齢や霊的な表現の濃淡で区別される。…

※「蛇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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