精選版 日本国語大辞典 「蛇」の意味・読み・例文・類語
へび【蛇】
〘名〙
① 爬虫類有鱗(ゆうりん)目ヘビ亜目に属する動物の総称。体は細長い円筒形で、縄状を呈する。体表は小鱗でおおわれ、四肢は退化・消失している。口は大きく開き、きわめて大きな獲物でも飲みこむ。舌は細長く、先端は二またに分かれる。腹面のうろこは前進運動をたすける。口内に毒牙を持つもの(毒ヘビ)もあり、人畜に被害を与える。シマヘビ、アオダイショウ、ニシキヘビ、マムシ、コブラ、ハブなど。へみ。くちなわ。ながむし。《季・夏》
※源平盛衰記(14C前)一四「大なる蛇(ヘビ)はひ出て、重盛の右の膝の下へはい入けり」
② (比喩的に) 執念深いこと。また、その人。
[補注]上代には「へみ」と呼ばれていたが、平安時代に「くちなは」が現われ、「へみ」と共存した。
くち‐なわ ‥なは【蛇】
〘名〙 「へび(蛇)」の異名。《季・夏》 〔十巻本和名抄(934頃)〕
※徒然草(1331頃)二〇七「大きなるくちなは、数もしらずこりあつまりたる塚ありけり」
[語誌]平安時代には「へみ」とともに無毒の蛇の総称であった。「へみ」はすでに「仏足石歌」などの資料に見えるが、「くちなは」は平安以降の和文脈で用いられることが多い。
へみ【蛇】
〘名〙 =へび(蛇)①《季・夏》
※仏足石歌(753頃)「四つの閇美(ヘミ)五つの鬼(もの)の 集まれる穢(きたな)き身をば 厭(いと)ひ捨つべし 離れ捨つべし」
だ【蛇】
〘名〙 ヘビ。じゃ。
※虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一七「繊(ほそ)き蛇(ダ)の」
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