デジタル大辞泉
「許」の意味・読み・例文・類語
がり【▽許】
《「かあ(処在)り」の音変化という》
[接尾]人を表す名詞または代名詞に付き、その人のいる所へ、…のもとに、の意を表す。
「妹―と馬に鞍置きて生駒山うち越え来ればもみち散りつつ」〈万・二二〇一〉
[名]《
が形式名詞化したもの》人を表す名詞に助詞「の」を介して付き、その人のもとに、の意を表す。
「約束の僧の―ゆきて」〈宇治拾遺・七〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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がり【許】
- [ 1 ] 〘 接尾語 〙 ( 「が‐あり」または「か(処)‐あり」の変化した語 ) 代名詞または人を表わす名詞に付き、その人の許(もと)に、その人の所に、の意を表わす。格助詞「に」や「へ」を伴わないで、移動の意を含む動詞に直接に続く。
- [初出の実例]「広橋を馬越しがねて心のみ妹我理(ガリ)やりて我(わ)はここにして」(出典:万葉集(8C後)一四・三五三八)
- 「典薬頭、清麿がり行きてしかじかと歎きいひければ」(出典:御伽草子・福富長者物語(室町末))
- [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( [ 一 ]の用法から変化したもの ) 人を表わす名詞に、格助詞「の」を介して付き、その人の許(もと)に、その人のいる所に、の意を表わす。形式名詞のように使われるようになったもの。
- [初出の実例]「つとめてもなほいみじう降るに、ある人のがりやりし」(出典:阿波国文庫旧蔵本伊勢物語(10C前)A)
- 「這ひ起きて約束の僧のがりゆきて、物をうち食ひてまかり出でけるほどに」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)七)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「許」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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許【ゆるし】
日本の伝統芸能用語。技芸や技能の伝承において,その相伝内容に初許(はつゆるし)・裏許・中許・奥許などの段階を設け,各段階ごとに,師匠から弟子に伝授の印可証明(免状)を与える制度。とくに江戸時代中期以降,家元制度の確立に伴って,素人の被教習者が多い芸能諸種目において,免許組織の体系化が進んだ。免状取得には金銭の授受が伴ったが,免状は,被教習者にとっては個々の技芸の到達度と,同門の仲間内での位置を明確にするものであり,一方の教授者にとっては,自らの知的所有権の確保と経済保護につながるものであった。また,免状を与えられた弟子は,さらに自分の弟子に同様な免状を与えることができるようになり,家元制度をより確固たるものにすることにつながった。こうした免許制度は,謡曲・地歌・箏曲をはじめ,茶道・花道・香道・囲碁・将棋など,数多くの実演芸能種目に及んだ。とくに地歌・箏曲などでは,免許に対する金銭的謝礼を〈許し金〉などといい〈曲許し〉と称して,場合によっては1曲だけの伝授も行われた。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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