幾何(読み)イクバク

デジタル大辞泉 「幾何」の意味・読み・例文・類語

いく‐ばく【幾何/幾許】

数量程度の不明・不定なことをいう語。どれほど。「―の利益を得たか」
(「いくばくか」の形で)ある程度。若干。「旅費はまだ―か残っている」
あとに係助詞「も」と打消しの語を伴って、数量・程度が多くないことを表す。あまり。「余命―もない」「その後―もなくして事故が再発した」
[類語]どれ程いか程幾らいかばかりほのかささやかわずかせいぜいたかだかたかが微塵みじん些細ささいまばらいささかほんのあるかなきかちょっと一縷いちる一抹少し心ばかりしるしばかり形ばかり少ない少少いくらかいくぶんややちとちっとちょっぴりなけなし若干心持ち気持ち多少二三少数少量僅僅きんきん数えるほどたったただ少なめ軽少軽微微弱微微微少僅少きんしょう些少さしょう最少微量ちびちびひとつまみひと握りすずめの涙ちょこっとちょこんとちょっこりちょびちょびちょびっとちょぼちょぼちょろりちょんびりちょんぼり爪のあか寸毫すんごうプチ

き‐か【幾何】

幾何学」の略。
[類語]算数代数数学解析算術

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「幾何」の意味・読み・例文・類語

いくば‐く【幾何・幾許】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 数、量、程度などの不明であることを表わす。どれほど。いくらぐらい、どのくらい。また、それのはなはだしいこと。副詞的にも用いる。
    1. [初出の実例]「わが背子と二人見ませば幾許(いくばく)かこの降る雪のうれしからまし」(出典万葉集(8C後)八・一六五八)
    2. 「さはありとも、院の御世の残りすくなしとて、ここには又いくばくたちおくれ奉るべしとてか、その御後見のことをば受け取り聞えむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
  3. 下に打消の表現を伴って、数、量、程度などが、それほどはなはだしくないことをあらわす。どれほども。それほど。いくらも。
    1. [初出の実例]「幾時(いくばく)も生けらじものを」(出典:万葉集(8C後)九・一八〇七)
    2. 「御随身、舎人して取りにつかはす。いくばくもなくて持て来ぬ」(出典:伊勢物語(10C前)七八)
  4. ( 「いくばくか」の形で用い ) 数量がわずかである。「いくばくかの金を包む」

き‐か【幾何】

  1. 〘 名詞 〙
  2. きかがく(幾何学)」の略。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
    1. [初出の実例]「代数をやったり、幾何の問題を解いたりするだけであった」(出典:彼女と少年(1917)〈徳田秋声〉五)
  3. どれほど。どれくらい。いくばく。〔音訓新聞字引(1876)〕

幾何の語誌

は、近世中国の洋学書に由来し、「geometry」の訳語として用いられた。用字の由来は、「geo」をギリシャ語で読んだ場合の音(土地の意味)を近世中国語音で音訳したものと考えられるが、さらに「幾何」の「いくばく」の意味に「metry」(測ること)の意味を掛けているともいわれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「幾何」の読み・字形・画数・意味

【幾何】きか

いくばく。どれほど。〔墨子、兼愛下〕人の地上に生くること、何も無きこと、之れを譬ふるに、ほ駟(し)の馳せて隙をぐるがごときなり。

字通「幾」の項目を見る

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