デジタル大辞泉 「の」の意味・読み・例文・類語
の[格助・終助・間助・並助・準体助]
1 連体修飾格として諸種の関係を表す。
㋐所有。…の持つ。…のものである。「会社
「後徳大寺
㋑所属。…に属する。…のうちの。「財務省
「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲―いづこに月やどるらむ」〈古今・夏〉
㋒所在。…にある。…にいる。「大阪
「家―人々いと多かりけるに合はせて」〈竹取〉
㋓行為の場所。…における。…での。「異国
「
㋔時。…における。「10月
「夏―
㋕作者・行為者。…の作った。…のした。「校長
「
㋖関係・資格。…にあたる。…としての。「友達
「
㋗性質・状態。…のようすの。…の状態である。「
「
㋘材料。…で作った。…を使っての。「木造
「
㋙名称・人名。…という名の。…という。「富士
㋚数量・順序。…番目の。「多く
「一―
㋛対象。…に対する。「反乱軍
「まろ、この歌―返しせむ」〈土佐〉
㋜目標。…のための。「お祝い
「春―急ぎ(=準備)」〈徒然・一九〉
㋝比喩。…のような。「花
「ありさりて後も逢はむと思へこそ露―命も継ぎつつ渡れ」〈万・三九三三〉
2 動作・作用・状態の主格を表す。「交通
「月―
3 (「ようだ」「からに」「ごとし」「まにまに」などの上に付き)その内容を表す。「綿
「六日、きのふ―ごとし」〈土佐〉
4 同格を表す。…であって。「ジュース
「大きなる
5 連用修飾格を表す。
㋐比喩を表す。…のように。
「春日野の雪間をわけて
㋑(多くは「さまの」の形でサ変動詞に連なり)動作の対象を表す。…を。
「おしなべたるやうに人々のあへしらひきこえむは、かたじけなきさま―し給へれば」〈源・柏木〉
㋒(下に「ともに」「むた」などを伴って)その内容を表す。…と。
「白雪―ともに我が身はふりぬれど心は消えぬものにぞありける」〈古今・雑体〉
[補説]古語で1・2が人を表す語に付く場合、その人に対する敬意を含んでいることが多い。また、2は1の用法から転じたといわれ、現代語では、「枝の折れた木」「老朽化の激しい校舎」のように、「何のどうする(どんな)何」という形で用いられる。
[終助]活用語の連体形に付く。
1 (下降調のイントネーションを伴って)断定の言い方を和らげる意を表す。多く、女性が使用する。「伺いたいことがある
2 (上昇調のイントネーションを伴って)質問または疑問の意を表す。「君は行かない
3 強く決めつけて命令する意を表す。「余計なことを言わない
4 念を押すような気持ちで、詠嘆・感動の意を表す。「仲がよいことだ
「はて面倒な承り事でござる―」〈伎・幼稚子敵討〉
[補説]終助詞の「の」は、近世後期以降用いられ、現代語ではうちとけた対話に用いられることが多い。ただし、感動の意の4だけは中世後期にはすでに用いられ、現代語では古風な表現に用いられる。
[間助]文節の切れ目に付く。語勢を添える意を表す。ね。
「おれは―、去年まで五十九だっけが、取って六十だよ」〈滑・浮世風呂・二〉
[並助]
1 並列・列挙を表す。…だの…だの。「やかましい
「
2 (「の…ないの」の形で用い、「の」「ないの」のそれぞれ前に同じ形容詞をともなって)程度がはなはだしい意を表す。「寒い
[準体助]
1 (体言に付いて)下の名詞を表現せず、「のもの」「のこと」の意を表す。「この本、君
「せめて、この樽も人―を借ってきた」〈虎明狂・樽聟〉
2 (活用語に付いて)その語を名詞と同じ資格にすることを表す。「読む
「あんまり夫婦仲のいい―もこまったものだ」〈滑・浮世床・初〉