賢しい(読み)サカシイ

デジタル大辞泉 「賢しい」の意味・読み・例文・類語

さかし・い【▽賢しい】

[形][文]さか・し[シク]《「盛さかし」と同語源か》
1 才知がすぐれ判断力があるさま。かしこい。賢明である。「―・いやり方」「競争社会を―・く生き抜く」
2 才知のあるように見せかけるさま。こざかしい。「―・い口をきく」
3 心がしっかりしている。気丈である。
「心―・しき者、念じて射むとすれども」〈竹取〉
4 すぐれて見えるさま。じょうずである。気がきいている。
「異こと人々のもありけれど、―・しきもなかるべし」〈土佐〉
5 健康であるさま。
「おのが―・しからむときこそ、いかでもいかでもものし給はめと思へば、かく死なば」〈かげろふ・上〉
[派生]さかしげ[形動]
[類語](1)賢い・利口・鋭敏・機敏・俊敏・明敏・敏・鋭い・聡さとい・目聡い・過敏・敏感・炯眼けいがん・利発・聡明・怜悧れいり・慧敏・穎悟えいご・英明・英邁・賢明・犀利さいり・シャープ・耳聡い・耳が早い・早耳・地獄耳・目が早い・先見の明・予覚・飛耳長目・気が利く・嗅ぐ・嗅ぎ付ける・嗅ぎ出す・嗅ぎ当てる・嗅ぎ取る・嗅ぎ分ける・虫の知らせ・虫が知らせる・第六感・予感・直感・勘・ひらめき・察知・インスピレーション・ぴんと・ぴんと来る・鼻が利く・感じ取る・気が付く/(2)小利口・あざとい・ずるい・こすい・こすっからい・あくどい・狡猾・ずる賢い・小賢しい・賢しら・悪賢い・老獪・海千山千・抜け目が無い・要領がいい・悪い・悪辣・奸悪・邪悪・奸佞・陰険・性悪・悪性・俗悪・凶悪・極悪・悪・罪悪・悪徳・背徳・悪行・悪事・悪逆・巨悪・諸悪・暴悪・卑劣・陋劣ろうれつ・邪よこしま・さがない・腹黒い・腹汚い・人悪い・人が悪い・人悪・口さがない・悪たれ・悪たれる・意地悪い・意地悪・邪慳・突っ慳貪・けんけん・つんけん・とげとげしい・つんつん・素気無すげない・そっけない・つれない・よそよそしい・にべない・けんもほろろ・冷たい・気がない・ぎすぎす・ぶっきらぼう

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精選版 日本国語大辞典 「賢しい」の意味・読み・例文・類語

さかし・い【賢】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]さかし 〘 形容詞シク活用 〙 ( 「さかし(盛)」と同語源か )
  2. [ 一 ] 才知、分別があって、しっかりしている。
    1. ① 知徳が衆にぬきんでて優れている。
      1. [初出の実例]「古(いにしへ)の七の賢(さかしき)人たちも欲(ほ)りせしものは酒にしあるらし」(出典:万葉集(8C後)三・三四〇)
    2. ② 理性的ですきがない。かしこい。賢明である。
      1. [初出の実例]「景戒性を禀(う)くること儒(サカシク)あらず、濁れる意澄(すま)し難し。〈興福寺本訓釈 儒 左可之久〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
      2. 「さかしき人も、女の筋には乱るるためしあるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉)
    3. ③ 判断力がしっかりしていて、心がまどわない。強気である。気丈である。正気である。
      1. [初出の実例]「心さかしきもの念じて射んとすれどもほかざまへいきければ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
      2. 「神の鳴りひらめくさま更にいはむ方なくて、落ちかかりぬとおぼゆるに、ある限りさかしき人なし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
    4. ④ 気がきいていて、とりえがある。
      1. [初出の実例]「こと人々のもありけれど、さかしきもなかるべし」(出典:土左日記(935頃)承平四年一二月二六日)
  3. [ 二 ] なまいきな才知、分別があって、すきがない。
    1. ① 才知、分別だけあって、人間味が欠けている。かしこぶって、さしでがましい。こざかしい。
      1. [初出の実例]「まさにさかしき事せんや」(出典:落窪物語(10C後)一)
      2. 「さかしきもの、今様の三歳児(みとせご)。〈略〉下衆の家の女あるじ」(出典:枕草子(10C終)二五九)
    2. ② 他人のことについて、あれこれと口ぎたなくいうさまである。小うるさいさまである。
      1. [初出の実例]「たそがれを横にながむる月ほそし〈杜国〉 となりさかしき町に下り居る〈重五〉」(出典:俳諧・冬の日(1685))
  4. [ 三 ] 丈夫である。頑健である。壮健である。
    1. [初出の実例]「おのがさかしからん時こそ、いかでもいかでもものし給はめと思へば、かくて死なばこれこそは見奉るべき限りなめれなど」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
    2. 「ここもともみなみなさかしく候」(出典:貴理師端往来(1568頃))

賢しいの補助注記

原義については、「しっかりとすきのないさま」「判断力に自信を持っているさま」「精神的に自立しているさま」などと諸説あるが、いずれにせよ、本来は頭脳の明晰さを表わす語ではないとされる。多く肯定的に用いられるが、体言形「さかしら」、また、中世以降に見られる、接頭辞のついた「こざかし」は、多くマイナスの意味で用いられる。

賢しいの派生語

さかし‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙

賢しいの派生語

さかし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

賢しいの派生語

さかし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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