デジタル大辞泉
「軟派」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
なん‐ぱ【軟派】
- 〘 名詞 〙
- ① 意見や主義が軟弱な党派。強硬な主張をすることのできない者。⇔硬派。
- [初出の実例]「査定案賛成者は自ら称して硬派といひ、反対党を目して軟派と呼び」(出典:東京日日新聞‐明治二五年(1892)一月三日)
- ② 新聞・雑誌で、社会面や文芸、またはつや物などの記事を担当する部門やその記者。⇔硬派。
- [初出の実例]「本社の職員は社長の外編輯員四十名にして、内硬派を十七名とし軟派を十六名とす」(出典:風俗画報‐二二八号(1901)三十間堀)
- ③ 異性との交遊や、華美な服装を好んでする青少年の一派。⇔硬派。
- [初出の実例]「その頃の生徒仲間には軟派と硬派とがあった」(出典:ヰタ・セクスアリス(1909)〈森鴎外〉)
- ④ ( ━する ) 転じて、俗に、街頭で声をかけて異性をさそうこと。
- [初出の実例]「街でナンパしたテレビに出たりしないフツーの女子大生や高校生です」(出典:金魂巻(1984)〈渡辺和博著者>・<著者>タラコプロダクション〉放送作家)
- ⑤ 取引市場で、相場が先ゆき下落すると見越して売りに出る人々。弱気筋。
軟派の語誌
( 1 )明治時代の新語で、当初は①のように政治用語であった。
( 2 )①を新聞などの担当部門や青少年の生活態度に応用して②や③の用法が生じた。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 
軟派 (なんぱ)
一般には〈強硬な意見を主張する硬派〉の対立概念として,意見や主張が軟弱な集団または個人,あるいはその属性を意味するが,個々の局面では,さまざまに対立する属性を〈硬と軟〉にわけて,隠喩的に表現するために用いられることが多い。例えば,いつの時代にも,一般市民の良識の世界からはみ出して,その顰蹙(ひんしゆく)を買うみずからの品行の悪さを誇ることにより,自己の存在証明を確かめようとするいわゆる“不良少年少女”が存在するが,彼らのライフスタイルを類型化する際に,主として〈腕力をふるい暴力行為に傾斜するもの〉を硬派と呼ぶのに対して,〈異性との交遊や華美な服装に流れるもの〉を軟派と呼び,現在では異性との交遊を求める行為を〈ナンパする〉などといい,動詞的にも用いられる。なお昭和50年代に入って以後,急増したいわゆる“暴走族”などのように硬軟両派の属性を合わせもつ不良青少年の類型もありうる。そのほか,各種の取引市場で,〈相場が先行き高騰すると見越して買いに出る人々〉を硬派と呼ぶのに対して,〈相場が先行き下落すると見越して売りに出る人々〉が軟派と呼ばれることがある。さらに新聞や雑誌などジャーナリズムの世界で,政治,経済,外信などの記事やそれを扱う記者を硬派と呼ぶのに対して,社会,文化,芸能あるいはつや物などの記事やそれを扱う記者が軟派と呼ばれることもある。
執筆者:高田 公理
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
Sponserd by 