退屈(読み)タイクツ

デジタル大辞泉の解説

たい‐くつ【退屈】

[名・形動](スル)
することがなくて、時間をもてあますこと。また、そのさま。「散歩をして退屈をまぎらす」「読む本がなくて退屈する」
飽き飽きして嫌けがさすこと。また、そのさま。「退屈な話」「退屈な人」
疲れて嫌になること。
「呪咀(じゅそ)することの及ばぬとて、かの后たち―し給ふ」〈伽・熊野の御本地〉
困難にぶつかってしりごみすること。
「聞きしにもなほ過ぎたれば、官軍御方(みかた)を顧りみて、―してぞ覚えける」〈太平記・一六〉
仏語。修行の苦難に負け、精進の気をなくすこと。
[派生]たいくつさ[名]

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大辞林 第三版の解説

たいくつ【退屈】

( 名 ・形動 ) スル [文] ナリ 
何もすることがなく暇をもてあます・こと(さま)。 「 -をまぎらす」 「 -な日々」
飽きること。つまらないこと。いやになること。また、そのさま。 「 -な講義」 「人生に-する」
疲れていやになること。 「寄手の兵多くは-してぞ見えたりける/太平記 7
困難におそれしりぞくこと。 「海上の兵船、陸地の大勢… 聞きしにも猶過ぎたれば… -してぞ覚えける/太平記 16
〘仏〙 修行の苦しさや困難さに、精進努力の心を失うこと。 〔
が原義〕
[派生] -さ ( 名 )

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

たい‐くつ【退屈】

〘名〙 (形動)
① くたびれて気力がおとろえること。いやになること。また、そのさま。
※毎月抄(1219)「か様に申せば、又御退屈や候はんずらめなれども」
※太平記(14C後)三四「息をも継がせず戦は令め極めて短気なる坂東勢共などか退屈(タイクツ)せで候べき」
② 何もする事がなくて、暇をもてあますこと。無聊(ぶりょう)で困ること。また、そのさま。つれづれ。
※玉塵抄(1563)三二「客人を物をひろうしにきた者を久う待すれば人がたいくつするぞ」
※人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)初「人情本の大古板を詮方なしに繰返し、怠屈してぞ居たりける」
③ なすべき事をしないこと。年貢納入、契約履行などの義務を怠ること。緩怠。
※高野山文書‐元中元年(1384)一二月七日・官省符庄年貢契状「及諸衆一同契約之上者、縦雖年月、無退崛之義、可其節
※どちりなきりしたん(一六〇〇年版)(1600)九「此けだいといふはでうすの御ほうこうのためにみだりなるかなしひ、たいくつの事なり」
④ 畏縮すること。おそれしりぞくこと。不安になること。
※満済准后日記‐永享五年(1433)閏七月五日「諸大名此間連夜河原警固、其外東山方々事馬借用心頗退屈仕之由種々周章」
※浄瑠璃・宇治の姫切(1658)五「らくちうをさはがせば、かたきたいくつの心つき、御門ゑんとうへうつさんは、ひつぢゃうなり」
⑤ 困りはてること。閉口すること。また、そのさま。
※中華若木詩抄(1520頃)上「色々胡人がきぶくあたりて退屈させて降参させんとすれどもならぬ也」
※町人嚢(1692)三「平家の奢(おごり)に万民退屈(タイクツ)迷惑せし折から」
⑥ 仏語。修行の苦しさ、むずかしさに、さとりを求める本志をおろそかにして、精進努力の心を失うこと。
※往生要集(984‐985)大文五「得菩提大利退屈
※正法眼蔵随聞記(1235‐38)五「亦退屈の心にて山林を出る時は、山林は悪しとおぼゆ」 〔大乗荘厳経論‐一二〕

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