徒然(読み)つれづれ

精選版 日本国語大辞典 「徒然」の意味・読み・例文・類語

つれ‐づれ【徒然】

[1] 〘名〙
[一] 次から次へと物思いにふけること。ひとり寂しくはてしない物思い。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
[二] (形動) 変化がなくて単調なさま。また、その結果、つまらないと思う精神状態をいう。
① やるべき事がなくて、手持ち無沙汰なさま。所在ないさま。退屈無聊
落窪(10C後)一「いとつれづれなるをなん、慰めつべくておはせ」
何事もなく物寂しいさま。寂寥。
源氏(1001‐14頃)東屋「いと、つれつれに、人目も見えぬ所なれば、引き入れてかくなんまいりきつる」
[2] 〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)
① 一つの状態、ことがら、動作などが、変化も中断もなく、長く続くさまを表わす語。そのままずっと。
伊勢物語(10C前)四五「まどひ来たりけれど死にければつれづれとこもり居りけり」
② 一つの動作に集中したり念を入れたりするさまを表わす語。つくづく。つらつら。
※三体詩素隠抄(1622)三「つれつれ我身の上を按ずるに」
※浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)下「顔をつれづれ眺むれば」
つれづれ‐が・る
〘自ラ四〙
つれづれ‐げ
〘形動〙

と‐ぜん【徒然】

〘名〙 (形動)
① むなしいこと。何もすることがなくて手持ち無沙汰であること。無為に時を過ごすこと。退屈であること。また、そのさま。つれづれ。
※凌雲集(814)奉和観佳人蹋歌御製〈小野岑守〉「泣眼看々不曾厭、徒然奪魂亦損明」
太平記(14C後)七「軍を止められければ、徒然(トゼン)に皆堪兼て」
② 空腹であること。また、そのさま。
※玉塵抄(1563)二一「せうずこともなうてうえてとせんな腹中五臓六腑すみきって」

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デジタル大辞泉 「徒然」の意味・読み・例文・類語

つれ‐づれ【徒然】

《「れ」の意》
[名・形動]
することがなくて退屈なこと。また、そのさま。手持ちぶさた。「読書をして病床徒然をまぎらわす」
「―な舟の中は人々の雑談で持切った」〈藤村破戒
つくづくと物思いにふけること。
「―も慰めがたう、心細さまさりてなむ」〈賢木
しんみりとして寂しいこと。また、そのさま。
「いと―に人目も見えぬ所なれば」〈・東屋〉
[副]
長々と。そのままずっと。
「―と降り暮らして、しめやかなる宵の雨に」〈帚木
しんみりと寂しいさま。
「―とこもり居りけり」〈伊勢・四五〉
よくよく。つくづく。
「言ふ顔―うちながめ」〈浄・手習鑑
[類語]1徒然とぜん手持ち無沙汰退屈所在ない持て余す無聊ぶりょうひま手透き手明き用無し閑散開店休業寂寥せきりょう寂寞せきばく寂しい

と‐ぜん【徒然】

[名・形動]何もすることがなく、手持ちぶさたなこと。また、そのさま。つれづれ。無聊ぶりょう
「―の日を退屈そうに暮らしている」〈漱石虞美人草
[類語]徒然つれづれ手持ち無沙汰退屈所在ない持て余す無聊ぶりょうひま手透き手明き用無し閑散開店休業寂寥せきりょう寂寞せきばく寂しい

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普及版 字通 「徒然」の読み・字形・画数・意味

【徒然】とぜん

ただそれだけ。漫然。〔後漢書、朱浮伝〕災異ほ見(あら)はるるは、豈に徒然ならんや。天は信なり。察せざるべからず。

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