精選版 日本国語大辞典「韻」の解説
いん ヰン【韻】
〘名〙
① 音声の響き。音色。
※申楽談儀(1430)音曲の心根「あなたの云をさめの字のゐんを、能能(よくよく)心えべし」 〔六書故〕
② 漢字音で、漢字一字の表わす音節の、最初の子音を除いた部分。また、それを類別したもの。声調の違いによって平・上・去・入の四声に分けられ、古くは二百余韻、のちに整理されて百余韻に類別される。前者を古韻または広韻、後者を今韻または平水韻という。また、平声に属する韻を平韻、上・去・入の三声に属する韻を仄韻(そくいん)と呼んで、二大別することもある。→四声(しせい)・平仄(ひょうそく)。
※源氏(1001‐14頃)賢木「難きゐんの文字どもいと多くて、おぼえある博士どもなどの惑ふ所々を」 〔南史‐陸厥伝〕
※菅家文草(900頃)七・未旦求衣賦一首「以二秋夜思レ政、何道済一レ民、為レ韻依レ次用之」
④ =いんじ(韻字)
※俳諧・三冊子(1702)白双紙「留を韻といふ事、文字にて留るゆへ也」
⑤ おもむき。
※愚管抄(1220)三「その儘にたがえず心うべきにて有るを、つやつやとこの韻に入りて心得んとする人もなし」 〔陶潜‐帰田園居詩〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報