いん〔ヰン〕【韻】
1 漢字の表す1音節のうち、頭子音を除いた部分の声調の違いによって、平(ひょう)・上(じょう)・去(きょ)・入(にゅう)の四声に分類した区別。これをさらに分けて、古くは206韻としていたが、のちに整理されて106または107韻となった。
2 詩歌で、同一または類似の音を、一定の位置に繰り返し用いること。
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いん ヰン【韻】
〘名〙
① 音声の響き。音色。
※申楽談儀(1430)音曲の心根「あなたの云をさめの字のゐんを、能能(よくよく)心えべし」 〔六書故〕
② 漢字音で、漢字一字の表わす音節の、最初の子音を除いた部分。また、それを類別したもの。声調の違いによって平・上・去・入の四声に分けられ、古くは二百余韻、のちに整理されて百余韻に類別される。前者を古韻または広韻、後者を今韻または平水韻という。また、平声に属する韻を平韻、上・去・入の三声に属する韻を仄韻
(そくいん)と呼んで、二大別することもある。→
四声(しせい)・
平仄(ひょうそく)。
※源氏(1001‐14頃)賢木「難きゐんの文字どもいと多くて、おぼえある博士どもなどの惑ふ所々を」 〔南史‐陸厥伝〕
③ 文学作品とくに詩歌で、各句の頭あるいは末に反復して置かれる同一または類似の音。また、それを用いた文章。
※菅家文草(900頃)七・未旦求衣賦一首「以二秋夜思レ政、何道済一レ民、為レ韻依レ次用之」
※俳諧・三冊子(1702)白双紙「留を韻といふ事、文字にて留るゆへ也」
⑤ おもむき。
※愚管抄(1220)三「その儘にたがえず心うべきにて有るを、つやつやとこの韻に入りて心得んとする人もなし」 〔陶潜‐帰田園居詩〕
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世界大百科事典内の韻の言及
【韻律】より
…
【詩歌と韻律】
文を形づくる音韻の配列に一定の人為的な規則を設け,これによって律動感や音の響き合いなど,聴覚上の美感をもたらそうとすることは,古くから行われていた。こうした規則の総体を韻律と呼ぶ。…
【音韻学】より
…中国語の語は原則として単音節から成り,その音節は一般に頭子音+介母音+主要母音+末子音(+声調)の構造をなしている。中国人はこの音節構造を頭子音と介母音以下の二つの部分に分析し,前者を音と呼び,後者を総括して韻と呼んだ。そこでこの音構造を研究する学問を音韻学と称した。…
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