心得(読み)ココロエ

デジタル大辞泉 「心得」の意味・読み・例文・類語

こころ‐え【心得】

理解していること。また、理解してとりはからうこと。「心得のある処置
常に心がけていなければならないこと。心構え。「日ごろの心得がよくない」
技芸を身につけていること。たしなみ。「茶の湯心得がある」
ある事をするにあたって注意し、守るべき事柄。「接客心得」「冬山登山の心得
下級の者が上級役職代理または補佐するときの職名。「課長心得
[類語]素養嗜み常識教養知識蘊蓄学識造詣学問該博学殖碩学篤学博学博識博覧強記有識物知り生き字引博覧

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精選版 日本国語大辞典 「心得」の意味・読み・例文・類語

こころ‐え【心得】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 心得ること。物事の細かい事情などを理解していること。理解。会得
    1. [初出の実例]「おほかたの殿上人などの心得にしつつ、あまた参らせし扇をば、さるものにて」(出典:承応版狭衣物語(1069‐77頃か)四)
    2. 「以此趣蔵本え雖申聞候、一向心得不行候」(出典:政基公旅引付‐文亀元年(1501)閏六月二二日)
  3. 事情を理解して取りはからうこと。
    1. [初出の実例]「さあらば供養に舞を舞はうずるよし申し候ふが、それのおん心得にてそとお場(には)へ入れられ候へかし」(出典:謡曲道成寺(1516頃))
    2. 「それにも入道殿承引なくは一門の心得にて、中国備前の辺迄呼のぼせ時節を見よ」(出典:浄瑠璃・平家女護島(1719)二)
  4. 心中に思い決めること。心づもり。覚悟。決心
    1. [初出の実例]「人は皆死ぬるをいやかるに、我れはよろこふは、あはれ我か不明なによって、心得はし、ちかうたかそ」(出典:史記抄(1477)七)
  5. 常に心がけていなければならないこと。用意。たしなみ。
    1. [初出の実例]「御こころえのために細かに申す也」(出典:椿葉記(1434))
  6. 技芸などを一通り身につけていること。たしなみがあること。「武芸の心得」
    1. [初出の実例]「古人の詩は、いづれも、この意得ありて、つくる也」(出典:中華若木詩抄(1520頃)中)
  7. 気持。意志。考え方。
    1. [初出の実例]「恐れ入りて候へども悪しき御こころへと存じ候」(出典:曾我物語(南北朝頃)五)
  8. 用心をすること。注意すること。
    1. [初出の実例]「有御意得、可養生也」(出典:庭訓往来註(室町中‐後))
  9. こころえしょ(心得書)」「こころしだい(心得次第)」の略。
  10. 下級の者が、仮に一時上級の者の職務をつかさどる時の名称
    1. [初出の実例]「歩兵科大尉を以て歩兵大隊長と為すときは大隊長心得と称し」(出典:明治八年一〇月達第八五号陸軍武官命課規則(1875)二条)
  11. 今後どうするかの見当。あて。
    1. [初出の実例]「町人などの様なるものは、いかほど持丸長者といはるるとても、心得なきもの也」(出典:随筆・独寝(1724頃)上)

こころ‐・う【心得】

  1. 〘 他動詞 ア行下二段活用 〙こころえる(心得)

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普及版 字通 「心得」の読み・字形・画数・意味

【心得】しんとく

心に会得する。〔呂覧、先己〕心に得て聽くこと得られ、聽くこと得て事得られ、事得られて、而る後功名得らる。

字通「心」の項目を見る

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