日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ウェルナー(Abraham Gottlob Werner)
うぇるなー
Abraham Gottlob Werner
(1749―1817)
ドイツの鉱物学者、地質学者。世界最初につくられた鉱山専門学校であるフライベルク鉱山学校の教授を40年以上も務めた。アグリコラの伝統を継ぐ実証主義的な鉱物学者であったが、一方、地質学の方面では水成論者の代表として知られている。一部の火山岩以外あらゆる岩石は海水から沈殿したと考えた。したがって、花崗(かこう)岩や片麻岩までも太古の海水から堆積(たいせき)したとした。有名なのは玄武岩(げんぶがん)の研究で、しばしば地層中に層状に挟まれていることから、疑うこともなく堆積岩としたことである。しかし、実際噴火している火山が各所にあるため、こういうものは例外として扱った。この現象は、地下にある石炭層が燃え、その熱で溶けた岩石が地上に出るものと説明した。現在では通用しない面も多いが、ドイツのザクセン地方の層序を確立するなど地質学的貢献も大きい。
[松原 聰]
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