コンセンサス(読み)こんせんさす(英語表記)consensus

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンセンサス」の意味・わかりやすい解説

コンセンサス
こんせんさす
consensus

重要問題(外交政策、憲法体系、基幹経済政策など)や、社会の基本的価値に関する広範な同意・受容をいう。システムの目標・目的、目標達成手段・方法、意思決定装置の構成、紛争処理技法・手続、意思決定者の補充方法などに関する広大なコンセンサスの存在は、社会的凝集力を強化・促進する統合力となるが、妥協の精神、限りあるものを分かち合う精神がメンバーやリーダーに備わっていなければ、その形成・維持は困難である。またある程度の社会的同質性が不可欠となる。コンセンサス範域が大きいシステムでは、同意の調達、複合的多数派の形成が容易で、分裂力を極小化するので政治的安定が現出しやすい。逆にディセンサスは対決型政治を助長する。

[岡沢憲芙]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンセンサス」の意味・わかりやすい解説

コンセンサス
consensus

人々がコミュニケーションを媒介してある命題を相互承認すること。意見または判断の一致を表わす英語にはコンセンサスとコンセント consentがあるが,前者は一般に合意後者は同意と訳される。単なる多数決投票の結果や契約書への調印といった現象を通常は同意と呼び,コミュニケーション過程と相互了承を伴う合意とは必ずしも同じ意味ではない。近代の社会契約論は,国家や社会の設立や存続とに関してのコンセンサスの理論でもある。利害調整対立意見の説得を通じてコンセンサスを拡大する政治手法をコンセンサス・ポリティックスと呼ぶこともある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

精選版 日本国語大辞典 「コンセンサス」の意味・読み・例文・類語

コンセンサス

〘名〙 (consensus) 合意。特に、国の政策などに対する、国民の同意、賛同。
※憲法講話(1967)〈宮沢俊義〉八「対立を超えた次元でのコンセンサス(一致)が存在しなくてはならない」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「コンセンサス」の意味・読み・例文・類語

コンセンサス(consensus)

意見の一致。合意。「社内のコンセンサスを得る」
[類語]合意意気投合以心伝心呼応息が合う反りが合う反り馬が合う気が合う肌が合う琴瑟きんしつ相和す打てば響くつうかあ応える共鳴同感共感拈華微笑ねんげみしょう心を合わせる心を一にする心を通わす心が通う気が置けない胸襟を開く腹を割る心を開く心を許す気を許す肝胆相照らす心を交わす心を以て心に伝う

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版 「コンセンサス」の意味・わかりやすい解説

コンセンサス【consensus】

政治に対する認知態度の基本的な点に関して,人々の間に高度の合意が存在することをいう。価値と利害の多元性を前提とする社会では,人々の間に多様な対立が存在するのが常態である。こうした対立を調整して社会の秩序を安定させることが,政治の機能の一つであるが,調整が効果的に行われるためには,人々の間にある程度の意見の一致がみられることが必要である。もちろん,こうした一致が対立や紛争を生み出している個々の争点に関して存在する必要はない。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

今日のキーワード

線状降水帯

線状に延びる降水帯。積乱雲が次々と発生し、強雨をもたらす。規模は、幅20~50キロメートル、長さ50~300キロメートルに及ぶ。台風に伴って発達した積乱雲が螺旋らせん状に分布する、アウターバンドが線状...

線状降水帯の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android