精選版 日本国語大辞典「心を許す」の解説
こころ【心】 を 許(ゆる)す
① 心の緊張をゆるめて人にうちとける。特に、愛情を受け入れる。
※万葉(8C後)四・六一九「年深く 長くし云へば まそ鏡 磨ぎし情乎(こころヲ) 縦(ゆるし)てし その日の極み」
※宇治拾遺(1221頃)三「なさけは交しながら、心をばゆるさず。つれなくて、はしたなからぬ程にいらへつつ」
② 心の緊張をゆるめて必要な注意を怠る。気を許す。油断する。
※源氏(1001‐14頃)夕霧「たはやすく心ゆるされぬことはあらじと、打解けたるぞかし」
※御伽草子・酒呑童子(室町末)「これにありあふ鬼どもよ、心ゆるして怪我するな」
③ 迷って心の本体を失う。心にまかせてほしいままにする。
※読本・雨月物語(1776)青頭巾「心放(ユル)せば妖魔となり、収むる則(とき)は仏果を得る」
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