ショー(Sir William Napier Shaw)(読み)しょー(英語表記)Sir William Napier Shaw

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ショー(Sir William Napier Shaw)
しょー
Sir William Napier Shaw
(1854―1945)

イギリスの物理学者気象学者。バーミンガムに生まれる。ケンブリッジ大学で物理学者マクスウェルの教えを受けた。1887年同大学の講師となる。1897年イギリス気象局に入り、1905年スコット(1833―1916)R.H.Scottの後を受け同局局長となった。局長の時代に若手の学者を同局に集め、沈滞していたイギリスの気象事業を改革し、気象学の研究を飛躍的に発展させた。たとえば局長就任後1年にしてレンプフェールドR.G.K.Lempfert(1875―1957)とともに発表した論文「地上気流の来歴」は気団論の先駆けとなった。1920年局長を退任し、イギリスで最初の気象学講座をロンドン大学で開いた(1920~1924)。短期間ではあったが藤原咲平(さくへい)はそこで教えを受け、彼の斡旋(あっせん)でイギリスの気象学雑誌に論文を発表している。1907~1923年には国際気象機関IMO(現在の世界気象機関WMOの前身)の会頭を務め、1915年にはサー爵位を贈られた。物理学者としては電気分解高温計の研究があるが、気象学の分野では『天気予報』(1923)、『空気とその流れ』(1923)、『大都市における煙』(1925)、『気象学便覧』Manual of Meteorology(全4冊・1926~1931)などの著作がある。1954年には生誕100年を記念して、ネイピア・ショー記念賞が英国気象協会Royal Meteorological Societyに設けられた。

根本順吉

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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