マクドナルド(Ranald MacDonald)(読み)まくどなるど(英語表記)Ranald MacDonald

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

マクドナルド(Ranald MacDonald)
まくどなるど
Ranald MacDonald
(1824―1894)

1848年(嘉永1)6月末に鎖国令下の北海道利尻(りしり)島に単身上陸したアメリカ人冒険家。毛皮交易商のスコットランド人を父に、アメリカ先住民チヌークの首長の娘を母に、今日のワシントン州アストリアで生まれる。1840年、16歳のとき東部カナダを出奔して船乗りとなり、47年捕鯨船プリマス号でハワイを出帆し、翌48年6月27日、ボートでまず北海道焼尻(やぎしり)島に上陸、ついで利尻島付近でアイヌ人漁夫に助けられたが、捕らえられて宗谷(そうや)、松前を経て長崎に護送され、大悲庵(あん)の座敷牢(ろう)に軟禁された。ここで同年10月から49年4月までの半年間、森山栄之助ら14名のオランダ通詞(つうじ)に英語を教え、日本最初の英語教師となった。森山は後年ペリー来航時に主任通詞を務めている。マクドナルド自らも日本語を学び、英和対照語彙(ごい)集を書き残した。49年4月26日、アメリカ艦プレブル号に引き取られて長崎を去り、53年にカナダに帰国。晩年はワシントン州フォート・コルビルに定住し、幕末の日本を鋭く観察した『日本回想記』を完成した。同州トロダに墓がある。

[富田虎男]

『ウィリアム・ルイス、村上直次郎編、富田虎男訳訂『日本回想記――インディアンの見た幕末の日本』補訂版(1981・刀水書房)』『吉村昭著『海の祭礼』(1986・文芸春秋)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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