一生懸命(読み)イッショウケンメイ

デジタル大辞泉 「一生懸命」の意味・読み・例文・類語

いっしょう‐けんめい〔イツシヤウ‐〕【一生懸命】

[名・形動]《「一所懸命」から》
命がけで事に当たること。また、そのさま。「一生懸命に働く」「一生懸命探しまわる」
引くに引けないせっぱ詰まった場合。瀬戸際
「―のかたきを防ぐ」〈風来六部集・放屁論〉
[類語]熱心一心不乱一心本気本腰真剣身が入る身を入れるシリアス懸命命懸け必死死に物狂い捨て身大わらわ躍起決死不惜身命ふしゃくしんみょう大車輪八面六臂一所懸命全力総力死力渾身入魂全身全霊

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精選版 日本国語大辞典 「一生懸命」の意味・読み・例文・類語

いっしょう‐けんめいイッシャウ‥【一生懸命】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「いっしょけんめい(一所懸命)」の変化した語 )
  2. ( 形動 ) 命がけで事にあたること。一心に骨折ること。いちずな気持になること。必死。
    1. [初出の実例]「憎い奴と飛かかり取って引起し、大君を殺さねば一生懸命(イッシャウケンメイ)の、親に替へて能う落したな、先を吐せと挫ぎつけ」(出典浄瑠璃・応神天皇八白旗(1734)四)
    2. 「両人はいっせうけんめいはたけのなかをとびいだし、くもをかすみとにげいだす」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉四)
  3. 引くに引けないせっぱ詰まった場合。ことの決するせとぎわ。
    1. [初出の実例]「今が一生懸命(ケンメイ)生死の境」(出典:浄瑠璃・摂津国長柄人柱(1727)四)
  4. 重大なこと。たいへん。
    1. [初出の実例]「揚代が無駄になっては一生懸命ぢゃ」(出典:歌舞伎・油商人廓話(1803)四幕)

一生懸命の語誌

中世の「いっしょけんめい(一所懸命)」が、近世に入って転じたもの。これには中世における武士主体の土地領有の観念が、近世の町人主体の貨幣経済主体の時代にはそれほど切実なものとは感じられなくなっていった、という時代の推移があること、「一生」という語が近世では、「一生にわたって」という長期的なものよりは、「一生の」という形で「生涯一度しかないほど重大な」という意味重点が移ったこと、などが大きく関与していたと考えられる。→「一所懸命」の語誌

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四字熟語を知る辞典 「一生懸命」の解説

一生懸命

命がけで事にあたること。一心に骨折ること。いちずな気持ちになること。必死。

[活用] ―な・―に。

[使用例] 母も精一ぱいの努力で生きているのだろうが、父もまた、一生懸命であった[太宰治桜桃|1948]

[使用例] 一生懸命に抵抗するけど、あんまり辛いんで、もういっそ成るままになって、らくになりたいって気が起きるんだ[幸田文*闘|1965]

[解説] 「一所懸命」の変化した語。もともとは中世の武士階級が、主君に奉公する上で、命を懸けて守るべき所領を「一所懸命の地」といったことによります。音の類似から「一所」「一生」が混用され、現在では「一生」と書くことが多くなっています。

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