デジタル大辞泉
「含む」の意味・読み・例文・類語
ほほ・む【▽含む】
[動マ四]花がつぼみのままでいる。ふふむ。〈新撰字鏡〉
[動マ下二]ふくむようにする。ふくめる。
「ほととぎす鳴かぬ嘆きの杜に来ていとども声を―・めつるかな」〈散木集・二〉
ふふ・む【▽含む】
[動マ四]
1 花や葉が芽やつぼみのままである。
「卯の花の咲く月立ちぬほととぎす来鳴きとよめよ―・みたりとも」〈万・四〇六六〉
2
㋐口の中に入れて持つ。ふくむ。
「(玉ヲ)口に―・みて」〈記・上〉
㋑内に包み持つ。
「鶏の子のごとくして、ほのかにして牙を―・めり」〈神代紀・上〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ふく・む【含】
- [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙
- ① 中に包み持っているような形になる。ふくらむ。ふくれて柔らかになる。
- [初出の実例]「指貫の裾つかた、すこしふくみて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- ② 植物がつぼみをもつ。
- [初出の実例]「忘るやと野に出でて見れば花ごとにふくめるものはあはれなりけり〈素性〉」(出典:古今和歌六帖(976‐987頃)二)
- [ 2 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
- ① 内に物事を包み持つ。また、ある範囲の中に別の物をいっしょに込める。「手数料を含む」
- [初出の実例]「
を以て香山を銜(フクミ)て」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一)
- ② 口の中に物を入れる。
- [初出の実例]「盛夏に凍を含(フクム)」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
- ③ 思い、感情などを心中に抱く。また、他の命令、意志などを守ろうとして心にとめる。
- [初出の実例]「此人、内には悪の心を含めりけれど、外かには猶僧の姿なり」(出典:観智院本三宝絵(984)上)
- ④ 内に包みもっている感情、思いなどを表面に表わす。また、様子、色あいなどを帯びる。
- [初出の実例]「蘭菊含レ咲而不レ凋」(出典:続浦島子伝記(920))
- 「エミヲ fucumu(フクム)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- ⑤ 謡曲で「つ」の音を、唇を閉じて鼻へ抜き発音する。のむ。ふくめる。
- ⑥ 数学で、集合Aが集合Bをその部分集合にもつこと。すなわち、集合Bの要素がすべて集合Aの要素になっていること。また、集合Aがものaを要素としてもっていることをさすこともある。
- [ 3 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 ⇒ふくめる(含)
ふふ・む【含】
- [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 花や葉がふくらんで、まだ開かないでいる。つぼみのままである。ふくむ。
- [初出の実例]「卯の花の咲く月立ちぬ霍公鳥(ほととぎす)来なき響(とよ)めよ敷布美(フフミ)たりとも」(出典:万葉集(8C後)一八・四〇六六)
- [ 2 ] 〘 他動詞 マ行四段活用 〙 ( 「ふぶむ」とも )
- ① 口の中に入れて持つ。ふくむ。
- [初出の実例]「血が多て流るるを蹈と云心ぞ。喋(フフメリ)とも、喋(すする)とも、喋(ふむ)とも点じたぞ」(出典:史記抄(1477)一三)
- ② 内に包みもつ。ふくむ。
- [初出の実例]「渾沌(まろか)れたること、鶏(とり)の子の如(こと)くして、溟涬(ほのか)にして牙(きさし)を含(フフメ)り」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
- ③ ある感情を内に抱く。多く、怒り、怨みなどの感情を抱く場合にいう。ふくむ。
- [初出の実例]「五瀬の命矢に中(あた)りて薨(かむさ)りませり。天皇銜(フフミもち)たまふて常に憤懟(いかかみうらむること)を懐(いた)きて」(出典:日本書紀(720)神武即位前戊午年一二月(熱田本訓))
- ④ とざす。つぐむ。
- [初出の実例]「舌を巻きて口を鉗(フフム)で黙して閑居す」(出典:将門記承徳三年点(1099))
- [ 3 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 口の中にはいるようにする。ふくませる。
- [初出の実例]「沐浴し懐抱(はう)し、乳哺(〈別訓〉フフメ)し、支節を按摩し、乃至、戯笑し」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)二)
ほほ・む【含】
- [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 つぼみのままでいる。ふふむ。ふくむ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
- [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 ふくむようにする。ふくめる。ふふむ。
- [初出の実例]「時鳥なかぬなげきの杜に来ていとども声をほほめつるかな」(出典:散木奇歌集(1128頃)夏)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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