乃至(読み)ナイシ

デジタル大辞泉 「乃至」の意味・読み・例文・類語

ない‐し【×乃至】

[接]
あるいは。または。「電話乃至手紙で知らせる」
数量などの上下・前後の限界を示して、その中間を省略するときに用いる語。「三年乃至五年かかる」
[類語]またはもしくはあるいはそれともはたはたまたもし仮にたとえもしかよしんばたといよしやもしも万一万一ばんいち万が一万万一もしやもしかしたらもしかするとひょっとするとひょっとしたらひょっとしてもしかしてどうかすると下手すると一つ間違えばことによるとあわよくばまかり間違うよもやまさか万万ばんばん夢かうつつ図らずもはしなくはしなくも思いがけず思いも寄らない思いのほか心外突然唐突案に相違する意表を突く意表予想外意想外ゆくりなくまぐれひょんなひょっとゆくりなし我にもなく期せずして悪くすると事と次第による事によるとともするとややもすれば何かにつけ何かと言えば折に触れて偶然たまさか時としてかも知れない思わず思わず知らず我知らず知らず知らず折もあろうに折悪しく慮外存外望外

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精選版 日本国語大辞典 「乃至」の意味・読み・例文・類語

ない‐し【乃至】

  1. 〘 接続詞 〙
  2. すべての事柄を列挙することをしないで、主な事柄を挙げたり、重いものと軽いものを挙げたりして、その他は省略することを示す。あるいは。または。
    1. [初出の実例]「放生する者は、北方无量浄土に生まる、一日斎食する者は、十年の粮を得、乃至善悪を造り、受くる所の報等の事を見て怖りて還り来り」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
    2. 「其々の川辺(ほとり)に、乃至其(それ)の岳の彼方面に、〈略〉臥たらめ」(出典:今昔物語集(1120頃か)二五)
  3. 同種順序だった事柄を列挙する場合、その中間の事柄を省略することを示す。…から…(まで)。
    1. [初出の実例]「阿みだ仏の名号を聞持ちて若一日、若二日、若三日、乃至七日、一心不乱臨終の時に心顛倒せずして即極楽に生る」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
  4. ( [梵語] yāvat または antaśas の訳語 ) 仏語。一般に二義があり、一つは物あるいは数などの下から上に至ることを示すもので、上至と同義であるとし、他は上から下に至ることを示すもので、下至と同義とする。また、前者を従少向多、後者を従多向少とも呼ぶ。
    1. [初出の実例]「復乃至者、一多包容之言」(出典:教行信証(1224)二)
    2. 「乃至(ナイシ)は、おほきをも、すくなきをも、ひさしきをも、ちかきをも、さきをも、のちをも、みなかねをさむることばなり」(出典:一念多念文意(1257))

乃至の語誌

漢文訓読において、「すなわち…に至るまでに」「すなわち…までに」とも訓読されたが、「ないし」と音読されることもあり、これが、やがて接続詞として主に和漢混淆文系の文章に用いられることになった。

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普及版 字通 「乃至」の読み・字形・画数・意味

【乃至】ないし

~から~まで。〔戦国策、趙二〕天下相、人臣乃至布衣の士、大王行義高賢とせざるは(な)し。皆へを奉じて、忠をに陳(の)べんことを願ふの日久し。

字通「乃」の項目を見る

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