嘗める(読み)ナメル

デジタル大辞泉 「嘗める」の意味・読み・例文・類語

な・める【×嘗める/×舐める】

[動マ下一][文]な・む[マ下二]
1 舌の先でなでるように触れる。「切手を―・めてはる」「猫が毛を―・める」
2 舌の先で味をみる。また、そのようにして酒を少しずつ飲む。口に含んだものを舌で味わう。「砂糖を―・める」「ウイスキーを―・める」
3 つらいことや苦しいことを経験する。「辛酸を―・める」
4 (炎の動きを舌の動きに見たてて)炎がはうようにして燃え広がる。「炎が家並みを―・める」
5 映画・テレビなどの撮影技法の一。主となる被写体の手前に、他の人や物を置いて撮影する。
6 《形容詞「なめし」の動詞化かともいう》かるくみなす。甘く見る。みくびる。「若造に―・められる」「―・めたことを言うな」
[下接句]肝きもを嘗める・苦汁を嘗める・苦杯を嘗める・辛酸を嘗める・糟粕そうはくを嘗める
[類語](1)しゃぶる・舐め回す・ねぶる・しゃぶり付く・舌の上で転がす・ぺろっと・ぺろぺろ・べろべろ・舐めずる・舌舐めずり/(6)おとしめる・嘲る・見下す・見くびる・侮る・見下げる・卑しめる・蔑む・辱める・虚仮こけにする・馬鹿にする・泥を塗る・愚弄・翻弄・嘲弄・軽蔑・軽侮・自嘲・侮蔑・侮辱・陵辱・蔑視

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精選版 日本国語大辞典 「嘗める」の意味・読み・例文・類語

な・める【嘗・舐】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]な・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. [ 一 ] 舌先で物にさわる。転じて、比喩的にも用いる。
    1. ① 舌の先で物にふれる。舌でなでてぬらす。舌先でふれて口にする。しゃぶる。ねぶる。
      1. [初出の実例]「天皇徃(さき)に、厳瓮粮(いつへのをもの)を甞(ナメ)たまふて」(出典:日本書紀(720)神武即位前(北野本訓))
      2. 「壺なる御薬たてまつれ〈略〉とてもて寄りたれば、いささかなめ給ひて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. ② 味をみる。あじわう。
      1. [初出の実例]「悉に長老(おきな)は愛(めくい)児を失へるが如くして、塩酢の味口に在れども甞(ナメ)ず」(出典:日本書紀(720)推古二九年二月(図書寮本訓))
    3. ③ 男が女を、もてあそぶ。手をつける。
      1. [初出の実例]「伴頭がなめると御用触れ歩き」(出典:雑俳・柳多留‐一〇(1775))
    4. ④ つらい事や苦しい事を経験する。体験する。
      1. [初出の実例]「僕、辛苦を嘗め艱難を経る既に数年、又何をか堪へざらむ」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一)
    5. ⑤ 火が一面を焼き尽くす。
      1. [初出の実例]「本堂から出火、〈略〉駿河台に飛火し鞘町、茅場町、八丁堀、鉄炮洲、霊岸島から海中の船舶を渡って石川島に延び伝馬町の牢屋を䑛(ナ)め」(出典:江戸から東京へ(1921)〈矢田挿雲〉五)
    6. ⑥ 製本で、本の端を、わずかに切りおとす。
    7. ⑦ 風や波や光が物の表面をなでるように吹いたり揺れたり照らしたりする。
      1. [初出の実例]「暖い風が地上をなめる頃になると広漠たる桑園は一声に笑ひ始め」(出典:女工哀史(1925)〈細井和喜蔵〉一)
    8. ⑧ ビリヤードで、手球をついて第一の的球にかする程度に当てる。
    9. ⑨ 映画・テレビなどの撮影で、対象物を右から左へ、あるいは上から下へというふうに、視線が動くような感じでカメラを動かす。
  3. [ 二 ] ( 「無礼」の字をあてても用いられる ) 人や物事を、軽く見る。あまく見る。馬鹿にする。みくびる。
    1. [初出の実例]「やうありかくなりと申せど、なまじいに、立合節(たちあいぶし)をなめたる者の書きたる也」(出典:申楽談儀(1430)別本聞書)
    2. 「この隣へ近頃来た相借屋の烏帽子折り、この井戸がへも立ち合はず、あんまりなめた奴ぢゃないか」(出典:浄瑠璃・妹背山婦女庭訓(1771)四)

嘗めるの補助注記

[ 二 ]は[ 一 ]の比喩的な用法の範囲に含まれる点があるので、同一項目で扱ったが、形容詞「なめし(無礼)」の語幹が活用するようになったもの、あるいは形容詞「なめし」の語尾「し」が助動詞と混同されて、「なめ」が動詞化し、それまでの「なめる[ 一 ]」の用法の中に混入してきたものとも考えられる。


なめ・る【嘗・舐】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙 下一段活用動詞「なめる(嘗)」を四段活用化したもの。
    1. [初出の実例]「鉛筆をなめり、なめり書いた手紙が出た」(出典:蟹工船(1929)〈小林多喜二〉三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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