(読み)マゴ

デジタル大辞泉 「孫」の意味・読み・例文・類語

ま‐ご【孫】

《「うまご」の音変化》
子の子。
もとのものから間を一つ隔てること。また、そのような関係。「弟子」「引き」
[類語]ひこ内孫外孫初孫はつまご初孫ういまご嫡孫令孫曽孫ひ孫ひこ孫曽孫ひこ玄孫やしゃご・ひいひい孫

そん【孫】[漢字項目]

[音]ソン(呉)(漢) [訓]まご
学習漢字]4年
〈ソン〉
子の子。まご。「愛孫外孫子孫児孫従孫曽孫そうそん
同じ血筋を引く者。子孫。「天孫末孫
〈まご〉「孫娘初孫ういまご
[名のり]さね・ただ・ひこ・ひろ

ひ‐こ【孫】

子の子。まご。〈和名抄
[類語]内孫外孫初孫はつまご初孫ういまご嫡孫令孫曽孫ひ孫ひこ孫曽孫ひこ玄孫やしゃご・ひいひい孫

うま‐ご【孫】

《「むまご」とも表記》
まご。
「翁の、いといみじきぞいで来たる。むすめにや―にや」〈末摘花
子孫。
「又、この山のぞう七人にあたる人を、三代の―に得べし」〈宇津保・俊蔭〉

そん【孫】

子孫。「当家五代の
血筋。血統。
「姉は父御の―を継ぎ」〈浄・堀川波鼓

むま‐ご【孫】

うまご

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精選版 日本国語大辞典 「孫」の意味・読み・例文・類語

ま‐ご【孫】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「うまご(孫)」の変化したもの )
  2. 子の子。また、子孫のことをもいう。
    1. [初出の実例]「皇孫(すめマコ)(〈別訓〉すめみま)」(出典:日本書紀(720)神代下(兼方本訓))
  3. (あいだ)を一つへだてること。また、そのような関係をいう。「孫弟子」「孫引き
    1. [初出の実例]「小さな部品を、これまでにも孫下請けに出したことはある」(出典:いつか汽笛を鳴らして(1972)〈畑山博〉六)
  4. 取引市場で孫株をいう。〔取引所用語辞彙(1917)〕
  5. 羽子板の大きさをいう。
    1. [初出の実例]「羽子板には大さによって〈略〉孫(マゴ)(一尺六寸)尺八(二尺より二尺五寸位迄)の差別あり」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉一月暦)

そん【孫】

  1. 〘 名詞 〙
  2. まご。うまご。
    1. [初出の実例]「讚岐の守正盛が孫(そン)刑部卿忠盛の朝臣の嫡男也」(出典:平家正節(1776)小秘巻)
    2. [その他の文献]〔爾雅‐釈親〕
  3. 子孫。末孫。後裔(こうえい)。後胤(こういん)
    1. [初出の実例]「桓武第五の皇子葛原親王に、三代の孫(ソン)平将軍貞盛より十三代」(出典:太平記(14C後)一〇)
    2. [その他の文献]〔幽明録‐劉晨・阮肇〕
  4. 血筋。血統。遺伝。
    1. [初出の実例]「親に劣らぬ長命は、家のそんかと目出たけれ」(出典:浄瑠璃・三浦大助紅梅靮(1730)一)

うま‐ご【孫】

  1. 〘 名詞 〙 ( 平安以降「むまご」とも表記 )
  2. 子の子。まご。
    1. [初出の実例]「隣に耆(おきな)(おうな)有りて各鰥(をのこやも)(やもめ)に居りて、曾(かつ)て子息(ウマコ)(な)し〈国会図書館本訓釈 息 于万古〉」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
    2. 「翁の、いといみじきぞいで来たる。むすめにやむまごにや、はしたなる大きさの女の」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
  3. 子孫。まごこ。
    1. [初出の実例]「又この山のぞう七人にあたる人を、三代のむまごにうべし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)

ひ‐こ【孫】

  1. 〘 名詞 〙 子の子。まご。うまご。〔二十巻本和名抄(934頃)〕

孫の語誌

( 1 )コ(子)にヒを冠したものと考えられ、類例にヒヒコ(曾孫)などがあり、ヒは一代隔てた親族をあらわすと思われる。
( 2 )「観智院本名義抄」には「孫」字に「ムマコ 鄙語云ヒコ」とあって、平安時代末期ないし鎌倉時代中央では一般的でなくなっていたようである。
( 3 )→「ひこ(曾孫)」の語誌


むま‐ご【孫】

  1. 〘 名詞 〙うまご(孫)

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改訂新版 世界大百科事典 「孫」の意味・わかりやすい解説

孫 (まご)

孫とは2世代下の子孫の総称であり,日本人はこれを内孫(うちまご)と外孫(そとまご)に区別している。内孫とは婿養子の場合を除いて一般に男の子どもたちの子をいい,外孫とは婚出した子どもたちの子をさす。嫁入婚を基礎とする典型的な3世代家族は祖父母から見れば内孫と同居し,外孫とは同居しない家族形態であるが,婿入婚を基礎とする場合には逆に内孫と別居し,外孫と長く同居する例がある。孫との同居という視点から日本の家族構造を見ると,孫との同居をともなう拡大型や直系型の家族,孫との同居を忌避する核心型家族に分けることができる。直系型家族は家族内の人間関係として,夫婦関係,親子関係,兄弟姉妹関係のほかに祖父母と孫の関係があり,これが家族の強固な統合を形成するうえで強い機能を果たしている。

 イギリスの社会人類学者ラドクリフ・ブラウンは親子関係のように隣接する世代間の人間関係はしばしば対立的関係であるとして,このような傾向を世代原理と呼んだ。これに対して2世代はなれた祖父母と孫の関係はつねにきわめて親和的であり,これを隔世代合同の原理と名付けた。これとは別にラドクリフ・ブラウンは人間関係の一般的傾向として,相互に避け合う忌避的関係avoidance relationshipと相互に冗談をいい合ったり,からかい合ったりする冗談関係joking relationshipの二つを設定したが,世代原理は忌避的関係に対応し,隔世代合同原理は冗談関係に対応している。隣接する世代が対立的な緊張関係をもつのは,伝統維持のための権威の必要性にもとづくものであり,一方祖父母と孫が親和的関係をもつのは,人間が生まれ,やがて死んでいくという社会生活の時の流れの中で,祖父母と孫は交替していく存在であるからであるとラドクリフ・ブラウンは説いている。

 ラドクリフ・ブラウンの主張からも明らかなように祖父母と孫の親和的関係はどの民族の人間関係にも共通した傾向であり,日本の場合にも例外ではない。日本における祖父母と孫の関係としてとくに注目されるのは,育児がしばしば父母ではなくて祖父母によって担われることである。親夫婦と子ども夫婦が同一家族であっても別々の生活単位を形成する隠居型家族においてとくにこの傾向が強く見られる。この場合隠居屋の祖父母に育てられた孫たちのことをインキョムスメ,インキョムスコといい,これらの孫たちは甘く育てられることから,結婚にあたっては〈インキョムスメは300円安い〉といわれた。しかしながらこの孫たちは隠居(いんきよ)制によってある程度分離した親夫婦と子ども夫婦の統合をはかる重要な存在である。この孫の存在によって3世代家族は強い統合を獲得することができるのである。したがって孫の同居を拒否した核心型家族には,3世代家族のような強い統合が見られないのである。

 祖父母と孫の親和的関係をこれ以外の関係にも拡大して,隔世代間の強い関係を設定する制度もしばしば見られる。その一つは祖父母からの個人名の継承(祖名継承)である。祖父母の世代の名前を継承して生児に命名する方法は,日本では近畿地方から西の地域で広く行われており,その典型は長崎県五島の名取り慣行である。五島ではたいていの祖父母は2~3人の孫たちに名を取られており,孫ではない2世代下の子どもに名を取られることもある。名前を取った孫をとくにかわいがる傾向があり,またその孫は名前をもらった祖父母に似るといわれている。つまり名前を取った者と取られた者との間には,社会的にも心理的にもとくに親密な関係が形成されるといえる。また東北地方一部では,出産の際取りあげた産婆とその夫をトリアゲバアサントリアゲジイサンと呼び,取りあげられた子との間に祖父母と孫の関係に似た親和的関係が設定され,その交際が一生つづく例もある。
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デジタル大辞泉プラス 「孫」の解説

日本のポピュラー音楽。歌と作曲は男性演歌歌手、大泉逸郎。1999年発売。作詞:荒木良治。第42回日本レコード大賞優秀作品賞、2000年、第14回日本ゴールドディスク大賞特別賞(演歌・歌謡曲部門)受賞。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【老人】より

…このように老人は青年,成人,壮年とは異なる社会的価値をもち,社会の重要な構成員のひとつであった。そしてこの老人はやがて死とともに,きたるべき社会を担うたちと交替して,それらの中に霊魂が再生する存在でもあった。【上野 和男】
[日本の老人]
 現行の法律,老人福祉法,老人保険法においては65歳以上の男女をさすが,一般に〈年寄り〉として認識されているのは,この限りではない。…

※「孫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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