(読み)カン

デジタル大辞泉 「干」の意味・読み・例文・類語

かん【干】[漢字項目]

[音]カン(呉)(漢) [訓]ほす ひる たて
学習漢字]6年
水がひく。水をひかす。ほす。「干魚干拓干潮干満
(「かん」の代用字)日照り。「干害干天
武器の一。たて。「干戈かんか干城
突き進み犯す。「干犯
無理に他とかかわりを持つ。「干渉干与
求める。「干禄
えと。「干支十干
いくらか。「若干
てすり。「欄干
[名のり]たく・もと
難読干支えと射干しゃが若干そこばく

ふ【干/乾】

[動ハ上二]上代語》「ひ(干)る」に同じ。
「妹が見しあふちの花は散りぬべしわが泣く涙いまだなくに」〈・七九八〉
[補説]上代では、未然形連用形に乙類の仮名が用いられているので、上二段活用であったと考えられる。平安時代以降は上一段化する。

かん【干】

横笛の指孔の一。6指孔の笛では1番先端に近い穴、7指孔の笛では先端から2番目の穴。

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精選版 日本国語大辞典 「干」の意味・読み・例文・類語

ふ【干・乾】

  1. 〘 自動詞 ハ行上二段活用 〙 かわく。干(ひ)る。また、潮が引く。
    1. [初出の実例]「荒妙の 衣の袖は 乾(ふる)時もなし」(出典万葉集(8C後)二・一五九)

干の補助注記

平安時代以降は上一段化して「ひる」となるが、上代では、未然・連用形に特殊仮名づかいの乙類の仮名が使われており、また、「書紀‐景行一二年一二月」の、「市乾鹿文」という人名に「乾、此云賦」と訓注があって「ふ」の語形の存在が認められる点などから上二段活用であったと考えられる。


ひ【干・乾】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ふ(干)」、または「ひる(干)」の連用形の名詞化 ) ひること。かわくこと。かわき。「ひ(干)が良い、悪い」などと用いられるほか、「ひがた(干潟)」「ひざかな(干魚)」などと熟して用いられる。

かん【干】

  1. 〘 名詞 〙 横笛の指穴の名。七つの穴のうち、一番下の穴をいう。
    1. [初出の実例]「横笛〈略〉干の穴は平調」(出典:徒然草(1331頃)二一九)

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普及版 字通 「干」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 3画

[字音] カン
[字訓] たて・ふせぐ・おかす・ほとり

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
長方形の盾(たて)の形。〔説文〕三上に「犯すなり」と干犯の意とするが、盾は身を護るもので、金文の〔毛公鼎〕に「王の身を干吾(かんぎよ)せよ」とあり、扞(かんぎよ)の意。金文の〔小臣宅〕に戈と合わせて、「畫干戈九」を賜うことがみえる。方形の盾に画飾を加えたものは(周)、その飾を(彫)・雕という。円形の盾には羽飾りなどをつけて單(単)の形にしるし、戰(戦)・獸(獣)(狩の初文)などはその形に従う。

[訓義]
1. たて。
2. ふせぐ、まもる。
3. おかす、もとめる、みだす、もとる、たがう。
4. かかわる、あずかる。
5. 岸・と通じ、きし、たに、ほとり。
6. 乾と通じ、かわかす、ほす。
7. 竿と通じ、さお。
8. 奸と通じ、くるう、たわける。
9. 幹と通じ、十幹十二枝、干支の意に用いる。
10. 箇と通じ、不定数を若干という。

[古辞書の訓]
名義抄〕干 ヲカス・モトム・ユク・ツクル・ヲハル・ホトリ・ホス・カハク・ミル・ツネ・アト・ツクス・サヲ・ホコ/干 ソコバク

[部首]
〔説文〕に(じん)・(ぎやく)をこの部に属する。は用例なく、字義が明らかでない。は大(人の正面形)の倒さまにした形で、向こうより人の来ることをあらわす。

[声系]
〔説文〕に干声として・訐・刊・旱・岸・扞・奸・軒など二十八字を収める。干声の字に強悍の意をもつものが多いようである。旱声の字にもその義がある。

[語系]
干kanは名詞。扞・hanはその動詞形。xan、岸nganは角ばったところ、悍han、奸kanは悍悪。keanとも声近く、「ほとり」の意に用いる。

[熟語]
干羽・干謁・干越・干嘔・干戈・干・干紀・干休・干係・干乾・干・干索・干支・干遮・干・干殳・干証・干将・干霄・干渉・干擾・干城・干色・干触・干進・干請・干戚・干掫・干沢・干黷・干・干突・干犯・干飯・干媚・干舞・干・干冒・干旄・干没・干名・干与・干予・干誉・干預・干揚・干乱・干闌・干欄・干櫓・干鹵・干弄・干禄
[下接語]
河干・画干・学干・江干・支干・若干・十干・上干・水干・総干・舞干・満干・野干・闌干・欄干

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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