座頭(ざがしら)(読み)ざがしら

  • 座頭

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

歌舞伎(かぶき)や人形浄瑠璃(じょうるり)において、一座の長となる俳優、または劇団を代表する格の俳優。江戸時代における座頭は、一座の役者を統率し、舞台・楽屋生活に関するいっさいを統轄する権利と責任をもっていたばかりでなく、上演にあたって実質上の演出の仕事をも受け持った。座元(太夫元(たゆうもと))と相談し、興行・脚本・経済の面にも関与した。座頭となる役者は、人気と実力を兼ね備え、信望の厚い人物でなければならなかった。しかし、厳然たる門閥制度のために、名門の出身でない者は習練の機会に恵まれず、結果的に座頭も名門出身者で占められることが多かった。下積みから出世して実力だけで座頭となるのは、江戸中期以降では至難の業であった。初世中村仲蔵、4世市川小団次らは、その希有(けう)な例である。原則として、女方(おんながた)はその任につかないことになっていたが、立女方(たておやま)は実質上の副座頭であった。明治以後の歌舞伎は一興行ごとに座のメンバーがかわるのが普通になったため、座頭の権限は小さくなった。

[服部幸雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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