拙い(読み)ツタナイ

デジタル大辞泉 「拙い」の意味・読み・例文・類語

つたな・い【拙い】

[形][文]つたな・し[ク]
能力が劣っている。ふつつか。「―・い者ですがよろしく頼みます」
運が悪い。「武運―・く敗れる」
事を行うのに巧みでない。へたである。「―・い字」「―・いが読む人の心を打つ文章
[派生]つたなげ[形動]つたなさ[名]
[類語](1ふつつか不肖野育ち至らぬ半人前青臭い未熟不慣れ不調法不行き届き不十分不完全不備不徹底不敏浅はか浅薄浅慮浅才無考え愚か愚かしい足りない不見識無定見生半可/(3下手まずいへぼ下手くそから下手からっ下手稚拙拙劣拙悪未熟幼稚不細工無器用不得手不得意たどたどしいぎこちない

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「拙い」の意味・読み・例文・類語

つたな・い【拙】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]つたな・し 〘 形容詞ク活用 〙 物事が劣っているさまについて広く用いる。
  2. 能力が劣るさま。思慮分別に欠けるさま。おろかである。
    1. [初出の実例]「智の量り踈かに拙(ツタナク)して報土に生れむと欣ふいは分に越えて望む所なり」(出典:彌勒上生経賛平安初期点(850頃))
    2. 「世に女にかぎりは有まじ、いくたりも美人はあらんといふはつたなきこころ成(なる)べし」(出典:随筆独寝(1724頃)上)
  3. 品格が劣っているさま。下品である。いやしい。つまらない。
    1. [初出の実例]「わがつたなき娘の腹に、むまれ給へねば、かく知られぬ君もあるなり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上上)
    2. 「さて上にやんごとなき御かたがたをつらねたてまつりて、此巻にして、つたなきうかれめのことまで、書加へ侍る事」(出典:評判記・名女情比(1681)四)
  4. 運に恵まれないさま。不運である。不仕合せである。また、薄命であるさま。
    1. [初出の実例]「宿世つたなくかなしきこと、このをとこにほだされて、とてなん泣きける」(出典:伊勢物語(10C前)六五)
    2. 「武運拙く最後を遂げる船戦の条は」(出典:春寒(1921)〈寺田寅彦〉)
  5. 事を行なうのにたくみでないさま。下手である。拙劣である。まずい。
    1. [初出の実例]「五者如来の身は、飢渇有ること無く、亦便利羸(やせ)(ツタナキ)の相も無し」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一)
    2. 「泡吹く蟹と烏鷺を争ふは策の尤も拙(ツタ)なきものである」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉二)
  6. なさけない。遺憾である。残念である。
    1. [初出の実例]「身をおもふ心の中に悪業の鬼あり。一切の苦患有、八万四千の煩悩有、つたなきかなや」(出典:盲安杖(1619))

拙いの派生語

つたな‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

拙いの派生語

つたな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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