愚か(読み)オロカ

デジタル大辞泉 「愚か」の意味・読み・例文・類語

おろ‐か【愚か】

[形動][文][ナリ]《「疎か」と同語源》
頭の働きが鈍いさま。考えが足りないさま。「彼の言葉愚かにも信じてしまう」
ばかげているさま。「戦争など愚かなことだ」
未熟なさま。
「この芸に―なるを見て」〈徒然・一九三〉
[派生]おろかさ[名]
[類語](1低能馬鹿阿呆あほう魯鈍ろどん愚鈍無知蒙昧もうまい愚昧ぐまい愚蒙ぐもう暗愚頑愚薄のろ盆暗ぼんくらまぬけとんまたわけ馬鹿者馬鹿野郎馬鹿たれ与太郎抜け作おたんこなすおたんちんあんぽんたんべらぼう/(2笑止千万ばかばかしい馬鹿らしい馬鹿臭い詰まらない馬鹿愚かしい阿呆らしい阿呆臭い下らない馬鹿げる愚劣無思慮ぶしりょ無考え浅はか浅薄せんぱく軽はずみ軽率笑い事笑止片腹痛い噴飯物噴飯笑い大笑い高笑い哄笑爆笑呵呵大笑抱腹絶倒笑い崩れる笑いける笑い転げる吹き出す腹の皮をよじ腹の皮を腹を抱える御中おなかを抱えるおとがいを解く愚にも付かぬへそで茶を沸かすへそ茶聞いてあきれるちゃんちゃらおかしい/(3不束ふつつかつたない不肖野育ち至らぬ半人前青臭い未熟不慣れ不調法不行き届き不十分不完全不備不徹底不敏浅はか浅薄浅慮浅才無考え愚かしい足りない不見識無定見生半可

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「愚か」の意味・読み・例文・類語

おろ‐か【愚か・痴か・疎か】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「か」は接尾語 ) ものごとの程度の不十分なさま、心、気持のゆるんでいるさまを表わす。
  2. ( 疎 ) 認識、表現などの程度が不十分なさま。粗略なさま。
    1. (イ) まったく思っていないさま。知らないさま。
      1. [初出の実例]「是に月の夜に清談(ものかたり)して、不覚(オロカニ)天暁(あ)けぬ」(出典:日本書紀(720)継体七年九月(前田本訓))
    2. (ロ) 認識、愛情などが不足しているさま。思う気持が足りないさま。冷淡。おろそか。打消の助動詞「ず」を伴って、副詞的に用いることがある。また、あまり執着しないさま。淡白。あっさり。
      1. [初出の実例]「於呂可(オロカ)にぞわれは思ひし乎敷(をふ)の浦の荒磯のめぐり見れど飽かずけり」(出典:万葉集(8C後)一八・四〇四九)
      2. 「おろかなる人は、ようなきありきは、よしなかりけり、とて来ずなりにけり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    3. (ハ) ( 名詞として用いられる ) 疎略に思うこと。疎略に扱うこと。おろそかにすること。手ぬかり。なおざり。
      1. [初出の実例]「いづれも親なれば、おろかあるべからず」(出典:曾我物語(南北朝頃)一)
    4. (ニ) ( 「…と言えば」「…と言うも」「…とは」などの後にきて、その形容、その表現が不十分であるさま ) …と言うのでは不十分。…どころではないさま。
      1. [初出の実例]「袴一つ著て、所々あらはに、身につきたるをおもふに、いといみじとはおろかなり」(出典:落窪物語(10C後)一)
    5. (ホ) ( (ニ) の表現が変化して「…はおろかの事」「…はおろか」の形をとったもの ) …は言うまでもなく。…どころか。
      1. [初出の実例]「唐(から)高麗(かうらい)はおろかの事天竺雲の果までも」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)唐船)
  3. 頭のはたらきがにぶいさま。性質、状態が不十分であるさま。
    1. (イ) 愚鈍であること。賢くないこと。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「愚(オろかなる)も智(さか)しきも四山の怖りを離れず」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
    2. (ロ) 未熟であること。劣っていること。
      1. [初出の実例]「もとより不足なる手なるを、おろかなる下地に交ふれば、焔に薪を添ふるがごとし」(出典:至花道(1420)闌位の事)

愚かの語誌

( 1 )中古以前は、の「気づかない」(認知、認識の不十分)の意であり、これを原義として(ハ) の「なおざり」の意でも用い、これが「おろそか」と重なった。中世以後この意は主に「おろそか」が担当するようになる。
( 2 )「おろか」も近世ないし近代まで(ホ)の「…と言うは(も)おろか」「…はおろか」の形で使われたが、「いつも認識が不十分だ」の意から、もっぱらの意に用いられるようになった。→おろそか

愚かの派生語

おろか‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

愚かの派生語

おろか‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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