デジタル大辞泉
「愚か」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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おろ‐か【愚か・痴か・疎か】
- 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「か」は接尾語 ) ものごとの程度の不十分なさま、心、気持のゆるんでいるさまを表わす。
- ① ( 疎 ) 認識、表現などの程度が不十分なさま。粗略なさま。
- (イ) まったく思っていないさま。知らないさま。
- [初出の実例]「是に月の夜に清談(ものかたり)して、不覚(オロカニ)天暁(あ)けぬ」(出典:日本書紀(720)継体七年九月(前田本訓))
- (ロ) 認識、愛情などが不足しているさま。思う気持が足りないさま。冷淡。おろそか。打消の助動詞「ず」を伴って、副詞的に用いることがある。また、あまり執着しないさま。淡白。あっさり。
- [初出の実例]「於呂可(オロカ)にぞわれは思ひし乎敷(をふ)の浦の荒磯のめぐり見れど飽かずけり」(出典:万葉集(8C後)一八・四〇四九)
- 「おろかなる人は、ようなきありきは、よしなかりけり、とて来ずなりにけり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- (ハ) ( 名詞として用いられる ) 疎略に思うこと。疎略に扱うこと。おろそかにすること。手ぬかり。なおざり。
- [初出の実例]「いづれも親なれば、おろかあるべからず」(出典:曾我物語(南北朝頃)一)
- (ニ) ( 「…と言えば」「…と言うも」「…とは」などの後にきて、その形容、その表現が不十分であるさま ) …と言うのでは不十分。…どころではないさま。
- [初出の実例]「袴一つ著て、所々あらはに、身につきたるをおもふに、いといみじとはおろかなり」(出典:落窪物語(10C後)一)
- (ホ) ( ①(ニ) の表現が変化して「…はおろかの事」「…はおろか」の形をとったもの ) …は言うまでもなく。…どころか。
- [初出の実例]「唐(から)高麗(かうらい)はおろかの事天竺雲の果までも」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)唐船)
- ② 頭のはたらきがにぶいさま。性質、状態が不十分であるさま。
- (イ) 愚鈍であること。賢くないこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「愚(オろかなる)も智(さか)しきも四山の怖りを離れず」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
- (ロ) 未熟であること。劣っていること。
- [初出の実例]「もとより不足なる手なるを、おろかなる下地に交ふれば、焔に薪を添ふるがごとし」(出典:至花道(1420)闌位の事)
愚かの語誌
( 1 )中古以前は、①の「気づかない」(認知、認識の不十分)の意であり、これを原義として①(ハ) の「なおざり」の意でも用い、これが「おろそか」と重なった。中世以後この意は主に「おろそか」が担当するようになる。
( 2 )「おろか」も近世ないし近代まで①(ホ)の「…と言うは(も)おろか」「…はおろか」の形で使われたが、「いつも認識が不十分だ」の意から、もっぱら②の意に用いられるようになった。→おろそか。
愚かの派生語
おろか‐げ- 〘 形容動詞ナリ活用 〙
愚かの派生語
おろか‐さ- 〘 名詞 〙
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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