(読み)ハク

デジタル大辞泉 「柏」の意味・読み・例文・類語

はく【柏】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ハク(漢) ヒャク(呉) [訓]かしわ
〈ハク〉木の名。コノテガシワ。「松柏側柏扁柏へんぱく
〈かしわ(がしわ)〉木の名。「柏木柏餅かしわもち赤芽柏
[補説]「栢」は異体字
[難読]柏手かしわで柏槙びゃくしん

かしわ〔かしは〕【×柏/×槲/×檞】

ブナ科の落葉高木。葉は短い柄をもち互生し、倒卵形で厚く、縁に波形の鋸歯きょしがある。秋に落葉せず、枯れたまま越年する。4、5月ごろ、新葉とともに雌花と雄花とをつける。実はどんぐりで、多数の鱗片りんぺんからなる殻をもつ。若葉はかしわもちに用いられる。かしわぎ。もちがしわ。
紋所の名。カシワの葉をかたどったもの。三つ柏・抱き柏・結び柏など種類が多い。
《カシワの葉に盛ったところから》上代、飲食物を盛るのに用いた木の葉。
「髪長比売に大御酒おほみきの―をとらしめて」〈・中〉

かしわ【柏】[地名]

千葉県北西部の市。昭和29年(1954)柏町が周辺町村と合併して東葛とうかつ市となったが、2か月後に改称。平成17年(2005)沼南町を編入。人口40.4万(2010)。

ひゃく【柏】[漢字項目]

はく

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精選版 日本国語大辞典 「柏」の意味・読み・例文・類語

かしわかしは【柏・槲・檞】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ブナ科の落葉高木。各地の山野に生え、また、庭木ともされる。高さは時に二〇メートルを超える。樹皮は厚く、縦に裂ける。新枝には軟毛が密布。葉は倒卵形で長さ一〇~二〇センチメートル、縁に波状の大きな鈍鋸歯(どんきょし)がある。若葉は両面に星状毛が密布するが、後に裏面だけに残り、表面はなめらかになる。雌雄同株。四~五月頃、新枝の基部から長さ約九センチメートルの黄褐色の雄花穂を垂下し、また新枝の葉腋(ようえき)に短い雌花穂をつける。秋、多数の鱗片から成る椀形の殻斗(かくと)に半分以上まで包まれた、長さ一・五~二センチメートルの卵球形の堅果をつける。殻斗の鱗片は外反している。材は薪炭用、樹皮はタンニン染色に用い、葉は柏餠を包む。もちがしわ。かしわぎ。
    1. [初出の実例]「柏(かしは)(さは)に生ふるに由りて、号(なづ)けて柏原と為」(出典:播磨風土記(715頃)讚容)
  3. 上代、飲食物を盛り、また祭祀具として用いられた木の葉の食器。
    1. [初出の実例]「髪長比売に大御酒(おほみき)の柏(かしは)を握(と)らしめて」(出典:古事記(712)中)
  4. 植物「ほおのき(朴木)」の異名。〔和訓栞後編(1887)〕
  5. かしわもち(柏餠)」の略。
    1. [初出の実例]「お柏餠(カシハ)…まア甘味(おいし)さうだこと」(出典:はやり唄(1902)〈小杉天外〉七)
  6. 紋所の名。柏の葉を図案化したもので三つ柏、抱き柏、丸に土佐柏、結び柏など種類は多い。
    1. 三つ柏@抱き柏@丸に土佐柏@結び柏
      三つ柏@抱き柏@丸に土佐柏@結び柏

柏の語誌

( 1 )古くカシワと呼んだものに、ヒノキ科のコノテガシワ、アスナロヒノキなど漢名に柏の字を持つ細い枝のものと、今のブナ科のカシワに代表される広い葉のものとがある。前者には、「万葉集」に、コノテカシワと、シダ類のイワヒバを指すイワドカシワとがあり、後者にはモクレン科ホオノキのホオガシワと、シダ類のオオタニワタリのミツナカシワがあり、いずれも日本に生える植物では大きな葉を持つ代表種である。
( 2 )カシワは広い「炊葉(かしいば)」であるとされるが、細い枝をもつ柏の仲間では、土器で食物を蒸すのに、イブキ(柏槇)が詰め物として用いられたという説もあり、広い葉のオオタニワタリは食物を包んで蒸焼きにするのに、ホオノキ、カシワ、アカメガシワ(別名菜盛葉)などは食物を盛るのに用いられたという。


かしわかしは【柏】

  1. 千葉県北西部、利根川右岸の地名。水戸街道の旧宿場町。現在はJR常磐線、東武野田線が通じ、東京の住宅衛星都市として発達。昭和二九年(一九五四)九月、東葛市として市制、同年一一月、柏市に名称変更。

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普及版 字通 「柏」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 9画

(異体字)栢
10画

[字音] ハク
[字訓] かえ・かしわ

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 形声
声符は白(はく)。〔説文〕六上に「鞠(きく)なり」とあり、〔爾雅、釈木〕に「椈(きく)なり」とする、「かえ」という木。〔論語、子罕〕に「うして、然る後、柏の後)なるを知るなり」とみえる。わが国では、かしわの木をいう、字はまた栢に作る。

[訓義]
1. かえ。
2. (はく)と通じ、うつ。
3. わが国では、かしわ。その字は槲に作る。

[古辞書の訓]
名義抄〕柏 カシハ・ナヅ・ウツ

[熟語]
柏椁・柏車・柏酒・柏樹・柏舟・柏城・柏席・柏台・柏府・柏葉・柏陵・柏歴
[下接語]
巌柏・棘柏・古柏・孤柏・香柏・剛柏・梓柏・紫柏・秀柏・松柏・椒柏・水柏・翠柏・石柏・霜柏・側柏・竹柏・樗柏・柏・貞柏・桐柏・墳柏・文柏・柏・茂柏・陵柏・列柏・老柏

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「柏」の意味・わかりやすい解説

柏(市)
かしわ

千葉県北西部、利根川(とねがわ)中流右岸の低地と、下総台地(しもうさだいち)に広がる市。1954年(昭和29)東葛飾(ひがしかつしか)郡柏(かしわ)町と小金(こがね)町、土(つち)村、田中村が合併して市制施行、東葛(とうかつ)市となり、同年、旧小金町の大部分は松戸市に分離編入され、南相馬(そうま)郡富勢(とみせ)村の一部を編入して柏市と改称。2005年(平成17)東葛飾郡沼南町(しょうなんまち)を編入。2008年中核市に移行。地名はカシワの木が多かったことに由来する。台地が広範囲に展開し、その上を複々線化されたJR常磐(じょうばん)線と国道6号が並行して走り、東武鉄道野田線と国道16号がこれを横切り、つくばエクスプレスが通じる。常磐自動車道の柏インターチェンジもある。807年(大同2)僧空海が開いたという布施弁財天(ふせべんざいてん)(東海寺)があり、中世には戸張(とばり)氏の戸張城や相馬氏の根戸(ねど)城が築かれた。江戸時代には幕府直轄の馬の放牧地「小金牧(こがねまき)」が置かれ、そのうちの上野牧と高田台牧に属しており、手賀沼沿岸の戸張は利根水運の港であった。明治以後、下総開墾会社によって小金牧への入植が進み、十余二(とよふた)、豊四季(とよしき)などの開拓集落が発生し、1890年(明治23)には利根川と江戸川を結ぶ利根運河が開削された。常磐線と東武野田線の結節点として柏の中心集落が発達し、一帯は日本初の大型公団住宅、光ヶ丘団地をはじめ、住宅団地や宅地の開発が著しく、機械・金属などの工業団地も形成された。1980年代以降、北部地域の開発が著しく、北西部に柏の葉公園が造成され、隣接して国立がんセンター(現、国立がん研究センター)東病院が1992年(平成4)に開設された。台地ではネギ、カブなど近郊野菜の生産が多く、利根川低地では米がつくられる。江戸時代に御用牧の牧士を務めた旧吉田家住宅は国指定重要文化財。利根川堤防には13キロメートルのサイクリング道があり、レクリエーションに適する。面積114.74平方キロメートル、人口42万6468(2020)。

[山村順次]

『『柏市史 資料編 1~11』(1969~1979・柏市)』




かしわ

青森県西部、西津軽郡(にしつがるぐん)、津軽平野のほぼ中央にあった旧村名(柏村(むら))。現在はつがる市の南東部に位置する地域。国道101号が通じる。1662年(寛文2)弘前(ひろさき)藩4代藩主津軽信政(のぶまさ)によって開拓された新田で、藩の直営工事として約40年かけて完成した。かつては広須村と称したが、1889年(明治22)村制施行の際、広須村のシンボルとされていたカシワの木にちなみ柏村と改称した。2005年(平成17)、西津軽郡木造(きづくり)町、森田(もりた)村、稲垣(いながき)村、車力(しゃりき)村と合併して市制施行、つがる市となった。米とリンゴが主産で、1878年に古坂乙吉が植栽した日本最古といわれるリンゴの古木3本が残っている。長寿リンゴといわれ、「紅絞(べにしぼり)」2本、「祝(いわい)」1本で、幹の周囲2~3メートルに及び、県の天然記念物。

[横山 弘]

『小野昇之進著『柏村郷土史』(1964)』

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改訂新版 世界大百科事典 「柏」の意味・わかりやすい解説

柏[市] (かしわ)

千葉県北西部の市。2005年3月旧柏市が沼南(しようなん)町を編入して成立した。人口40万4012(2010)。

柏市西部の旧市。両総台地の北西端を占め,北部を利根川が流れる。1954年柏町,小金町,土村,田中村が合体し東葛(とうかつ)市として市制を施行したが,同年旧小金町の大部分が松戸市に編入されたため柏市と改称。人口32万7851(2000)。中世の豪族が居城した増尾城,戸張城などがあり,中心地の柏は近世,水戸街道の宿場町で,3・8の日の六斎市が開かれていた。また利根川と江戸川を結ぶ運河に戸張,布施などの河岸があった。周辺の台地は江戸幕府の馬牧である小金五牧の高田・上野両牧で,明治初期に下総開墾会社によって開発され,十余二(とよふた),豊四季の開拓村が成立して畑作地となった。1949年の常磐線の電化や首都外郭環状線(国道16号線)の建設によって人口が急増し,住宅団地や工業団地が続々と開発された。常磐自動車道のインターチェンジがある。柏駅前に二つの大型百貨店が進出して駅前商店街が急速に発展し,商圏は県北西部,茨城県南西部まで拡大したが,水戸街道沿いの古くからの商店街は衰えた。野田市との境に利根運河が,布施に布施弁天(紅竜山東海寺)がある。東武野田線,つくばエクスプレスが通じる。
執筆者:

柏市東部の旧町。旧東葛飾郡所属。人口4万5927(2000)。手賀沼南岸に位置し,町域は手賀沼沿岸の低地と下総台地からなる。米作や野菜栽培を中心とした純農村であったが,1960年代末に国道16号線が整備され,沿線に工業団地や住宅団地がつくられた。住宅団地への入居が始まった70年代後半から人口が増加している。南西部を東武野田線が走るが,交通は旧柏市,松戸市へ通じるバス交通が主である。東京区部や周辺各市への通勤者がふえている。南に接する鎌ヶ谷市にかけて海上自衛隊下総航空基地がある。
執筆者:


柏(青森) (かしわ)

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百科事典マイペディア 「柏」の意味・わかりやすい解説

柏[市]【かしわ】

千葉県北西部の市。1954年市制。大部分は下総(しもうさ)台地で,北境を利根川が南東流する。中心市街は近世は水戸街道の宿場町であった。常磐線と東武野田線が交差し,1949年の常磐線電化以来東京近郊の住宅都市として急速に発展。柏駅周辺に大型店が進出し,広域商業都市となっている。1960年代以降造成された工業団地では電気機器,食品,金属などの工業が盛んである。常磐自動車道が通じる。農村部では野菜を栽培。2005年つくばエクスプレスが開業。2005年3月,東葛飾郡沼南町を編入。東日本大震災で,市内において被害が発生。114.74km2。40万4012人(2010)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柏」の意味・わかりやすい解説


かしわ

青森県西部,つがる市南東部の旧村域。津軽平野中央部の岩木川左岸にある。 2005年木造町,森田村,稲垣村,車力村と合体してつがる市となった。弘前藩の新田開発はこの地域から着手された。主産業は農業で,米作やリンゴ栽培が中心である。樹齢 100年をこす日本最古のリンゴの木がある。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「柏」の解説

柏 (カシワ・ハク)

学名:Quercus dentata
植物。ブナ科の落葉高木,園芸植物,薬用植物

柏 (カシワ)

植物。トウダイグサ科の落葉高木,園芸植物,薬用植物。アカメガシワの別称

柏 (カシワ)

植物。モクレン科の落葉高木,園芸植物,薬用植物。ホオノキの別称

柏 (カエ)

植物。児手柏・檜などの常緑針葉樹の総称,または榧の古名

柏 (ハク・カエ)

植物。ヒノキ科の常緑針葉高木,園芸植物。サワラの別称

柏 (ビャク)

植物。ヒノキ科の常緑針葉高木。イブキの別称

柏 (ハク)

植物。常緑針葉樹で針葉の短いもの

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【墓】より

…これは,盗掘者の手から守るためにまわりの森林と同化し墓をカムフラージュするためと,木への信仰に起因するものと考えられる。木は梓(しん),松(しよう),柏(はく)がとくに好まれたが,これらは古代から棺材としても選ばれた木々である。それらが霊のすみかである墓に植えられたのは,死骸の腐敗を防ぎ,その復活を促し,魂をつねにその霊のもとにつなぎとめる働きをもっていると信じられたからである。…

※「柏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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