男伊達(読み)オトコダテ

デジタル大辞泉 「男伊達」の意味・読み・例文・類語

おとこ‐だて〔をとこ‐〕【男伊達/男達】

男としての面目が立つように振る舞うこと。強きをくじき、弱きを助け、命を捨てても信義を重んじること。また、そういう人。侠客きょうかく。「頼まれて嫌とは言えぬ―」
[類語]侠客任侠遊侠の徒・壮士男性的男らしい雄雄しい男臭い男盛り男振り男前冥利みょうり男気男性美りりしい勇ましいたけだけしい精悍雄偉いなせ偉丈夫快男児好男子好漢硬骨漢正義漢熱血漢無頼漢

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精選版 日本国語大辞典 「男伊達」の意味・読み・例文・類語

おとこ‐だてをとこ‥【男伊達・男達】

  1. 〘 名詞 〙 男の面目を立て通したり、意地見えを張ること。また、そのような人。江戸時代、男気があり、強い者をくじき弱い者を助け、信義を重んじ、義のためには命をも惜しまない気風を誇ったが、実際には、単に腕力の強い者や無法の徒であった。⇔女伊達
    1. [初出の実例]「さればかしこきもいやしきも、これをもてあそぶは、おとこだてのひぢをいからかし、此つかをにぎらざるは、手もちなしのちりをひねりぬ」(出典:評判記・野郎大仏師(1667‐68)序)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「男伊達」の意味・わかりやすい解説

男伊達
おとこだて

いわゆる「旗本奴」「町奴」に代表される「かぶき者」,すなわち無頼の徒のこと,あるいは,それらの連中が身につけていた戦国の余風ともみえる男の風俗のことをいう。三升屋二三治の『紙屑籠』の「男達テ」の項には,「二代目団十郎栢莚,男達のやつしにも下に紅絹のむくを著る事,男達の襦袢はもみのゑりなし故に,荒事師のもみむくより出たるものか,りつぱにしてつよみあるを好むといふ」とある。慶長の末年頃 (1609~15) から寛文の頃 (61~73) と,ほぼ半世紀にわたって幅をきかせたが,その思考や行動が自由放縦で常軌を逸していたため,新時代の風教には好ましくないとみてとった江戸幕府によって一掃されてしまった。ただし,その気風は残り,「弱きを助け,強きをくじく」ということで,やがては男伊達をして侠客のことをさすようにもなってきた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「男伊達」の意味・わかりやすい解説

男伊達
おとこだて

男を立てるために、いったん心がけたことを貫き通す意地をもち、強きをくじき弱きを助ける義侠(ぎきょう)心に生きた人間像。男立とも書く。この風俗は、16世紀末より盛んになり、ひときわ目だつ異装、異様ないでたちで、世間我が物顔横行闊歩(かっぽ)し、その精神面においても、またその行動面においても、人に目だつことに誇りをもった。江戸前期に無頼の旗本がこの風に染まり、男伊達の本領を忘れて巷(ちまた)を横行したが、これを旗本奴(はたもとやっこ)といい、その乱暴狼藉(ろうぜき)に対抗して立ち上がった庶民を町奴(まちやっこ)とよんだ。やがてこれらが弾圧され、のちに侠客(きょうかく)と称する者が登場してくる。

稲垣史生

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世界大百科事典(旧版)内の男伊達の言及

【中山勘解由】より

…諱(いみな)は直守(なおもり)。1683年(天和3)正月に火付改加役(ひつけあらためかやく)(後の火付盗賊改)を拝命,江戸市中に横行していた火付,盗賊や〈男伊達(おとこだて)〉の取締りにらつ腕を振るった。捜査には〈目明し(めあかし)〉を活用,また拷問等による峻厳な吟味をもって〈鬼勘解由〉と恐れられ,伝説的な逸話が多い。…

※「男伊達」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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